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第1205回
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平成26年1月31日(金)公表

日本放送協会第1205回経営委員会議事録
(平成26年1月14日開催分)

第1205回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1205回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成26年1月14日(火)午後1時30分から午後5時5分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  浜 田 健一郎 上 村 達 男 石 原   進
    上 田 良 一   中 島 尚 正 長谷川 三千子
    百 田 尚 樹   本 田 勝 彦 美 馬 のゆり
    宮 田 亮 平   室 伏 きみ子 渡  惠理子
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔役  員〕

  松 本 会 長 小 野 副会長 塚 田 専務理事
  吉 国 専務理事 石 田 専務理事 木 田 理 事
  久保田 技師長 板 野 理 事 上 滝 理 事
  福 井 理 事 下 川 理 事 森 永 理 事

 

 

<場   所>
放送センター  22階経営委員会室 21階役員会議室

 

<議   題>

○次期会長選任の経緯等の総括について

 

付議事項

1 視聴者のみなさまと語る会(山口)開催報告(資料)

 

2 監査委員会報告

 

3 議決事項

 (1) 平成26年度収支予算、事業計画及び資金計画
(資料1)(資料2)(資料3)(資料4)(資料5)

 (2) 日本放送協会放送受信規約の一部変更について(資料1)(資料2)

 (3) 平成26年度国内放送番組編集の基本計画について(資料)

 (4) 平成26年度国際放送番組編集の基本計画について(資料)

 (5) NHKネットラジオ「らじる★らじる」に関する総務省への再認可の申請について(資料1)(資料2)

 

4 報告事項

 (1) 平成26年度国内放送番組編成計画について(資料1)(資料2)

 (2) 平成26年度国際放送番組編成計画について
(資料1)(資料2)(資料3)(資料4)(資料5)

 

 

 

議事経過

 

 浜田委員長が開会を宣言し、経営委員会を開催。

 

○次期会長選任の経緯等の総括について
 昨年行った次期会長任命の経緯について意見交換を実施した。次回の経営委員会でとりまとめることとした。

 

<会長、副会長、専務理事、技師長、理事入室>

 

 本日の付議事項および日程について説明。第1203回(平成25年12月20日開催)および第1204回(平成25年12月24日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成26年1月17日に公表することを決定した。

 

 

1 視聴者のみなさまと語る会(山口)開催報告(資料)

 (鈴木経営委員会事務局長)

 平成25年度、6回目の実施となる山口での「語る会」は、11月9日(土)、山口放送局で開催しました。時間は午後2時から4時までの2時間です。登壇者は、経営委員会が石原委員、上田委員の2名、執行部が石田専務理事、下川理事、山口放送局の氏原局長の3名の合計5名で、司会は、山本哲也アナウンサーでした。事前の申し込みが62名からあり、全員に参加案内をお送りしました。当日は48名の方にご参加いただきました。
 終了後に行ったアンケートでは、参加者47名から回答をいただきました。満足度については、「大変満足」は8名(17.0%)、「満足」と回答いただいた方は31名(66.0%)あり、「普通」という回答は7名(14.9%)、未記入は1名(2.1%)で、「不満」、「大変不満」という回答はありませんでした。また、回答者の48.9%にあたる23名の方が「経営委員会の仕事を知らなかった」としていましたが、「語る会」の終了後には、「知っていた」と答えていた方も合わせて80.9%にあたる38名の方が「経営委員会の活動について理解が深まった」と回答しています。
 「語る会」終了後には、「朝の連続テレビ小説『ごちそうさん』制作の舞台裏」と題して、大阪放送局の木村隆文専任ディレクターによるトークショーを開催しました。概要や反響等については、報告書の1〜2ページに記載しています。
 冒頭、協会の基本方針や重要事項の説明として、上田委員から経営委員会の役割、平成24年〜26年度NHK経営計画、25年度の収支予算・事業計画について説明しました。その内容は2〜5ページに記載しています。
 意見聴取は「経営全般」と「放送」の2つのテーマで実施し、「受信料額」「NHKオンデマンドの無料化」「報道姿勢」「災害報道と風評被害」など、多岐にわたる意見や提言がありました。これらは5ページ以降に掲載しています。終了後の参加者当日アンケートの結果とアンケートに記された具体的内容は26ページ以降に記載しています。

 

 

2 監査委員会報告

 (上田委員)

 放送法に規定されている、監査委員会が選定する選定監査委員についてご報告します。12月24日開催の経営委員会において、新たに室伏委員が監査委員に任命されましたので、同日開催の監査委員会において、放送法に規定されている調査権、報告徴収権、ならびに経営委員会への報告義務を持つ選定監査委員として、室伏委員を選定しました。その結果、これまでの渡委員、上田に加えて室伏委員の3名が選定監査委員となります。報告は以上です。

 

 

3 議決事項

 (1) 平成26年度収支予算、事業計画及び資金計画
(資料1)(資料2)(資料3)(資料4)(資料5)

 (福井理事)
 それでは、「平成26年度収支予算、事業計画及び資金計画」についてご説明します。
 NHKは、放送法第70条の規定により、年度ごとに「収支予算、事業計画及び資金計画」、いわゆる予算書を作成し、経営委員会の議決をいただいたのちに、総務大臣に提出することになっています。本日議決をいただけましたら、来週22日に総務大臣に提出する予定です。
 平成26年度の予算については、昨年8月からこれまで、予算編成方針や収支予算編成要綱など、計5回にわたって審議をいただきました。今回はこれまでの議論を踏まえ、最終的に放送法及び放送法施行規則にのっとった予算書として内容を取りまとめました。内容の説明に入る前に、お手元の資料をご説明します。資料は予算書のほか、3つの参考資料を添付しています。
 まず、「平成26年度収支予算、事業計画及び資金計画」は、NHKが作成して総務大臣に提出し、総務大臣はこの予算に意見を付して、内閣を経て国会に提出し、国会の承認を受けなければならない旨を放送法で規定しています。
 「平成26年度収支予算と事業計画の説明資料」は、12月10日の経営委員会でご説明した「平成26年度収支予算編成要綱」をベースにした内容になっています。「収支予算編成要綱」からの変更点は、12月24日にご説明した政府予算案の決定による収支予算案の調整を織り込んでいる点です。新たに資料を追加し、表現やレイアウトも少し変更していますので、簡単に変更点をご説明します。
 まず、「平成26年度収支予算と事業計画の説明資料」の5ページをご覧ください。12月24日にもご説明しましたが、国際放送関係交付金の増額により、交付金収入と国際放送費をそれぞれ0.5億円増額しています。
次に、7ページをご覧ください。(参考2)に「建設積立資産(建設積立金)の26年度予算の積立てについて」を記載しています。12月10日の経営委員会でご説明した際、3,400億円はあくまで建設積立資産を積み立てるにあたって試算した想定であるということをきちんと表現すべきという意見をいただきました。今回の資料では、そのご意見を踏まえ、詳しい説明を加えるとともに、「想定建設費」として記載したものを「積立てにあたっての参考」という表現に見直し、経費は積み立てにあたって試算した参考値であるということを明確に記載しています。
 次に、11ページをご覧ください。下段の「ジャンル別の番組制作費」は新たに追加した事項です。これは、番組を「生活・社会情報」や「ドラマ」などのジャンルに区分し、それぞれの出演料や美術セット費などの直接制作費と番組の制作に要する職員の人件費、編集設備などの機材費を合わせた、番組1本あたりの制作単価の目安を幅で示しています。
 40ページと41ページをご覧ください。こちらは内容の変更ではありません。これは12月10日にご説明した際、41ページの(参考9)は「8.共通管理費、減価償却費」のみの参考資料に見えるというご指摘をいただきました。今回の説明資料では、(参考9)を別のページに記載することで、この事項が予算、事業計画全体にかかっているということが分かるように変更しています。
 最後は、49ページの「平成26年度末予定貸借対照表」です。これも収支予算編成要綱から新たに加えた資料です。貸借対照表の25年度末の見込みに対して、26年度予算が予算どおりに施行されることを前提に、資産および負債、純資産の増減を反映し、26年度末の財務状況の見込みを作成したものです。説明資料の変更は以上です。
 次に、「平成26年度収支予算と事業計画〔要約〕」についてご説明します。これは26年度の収支予算や事業計画の柱となる4つの重点事項の主な内容などを簡略にまとめたものです。記者発表などの外部への説明の際には、主にこの資料を使って説明します。
 「平成26年度収支予算、事業計画及び資金計画に関する資料」は、予算書の参考資料として、国会の審議にも添付する資料で、収支予算等の内容を詳細に記載しています。
 「平成26年度収支予算、事業計画及び資金計画」、いわゆる予算書についてご説明します。
 まず、1〜14ページは「26年度収支予算」です。3ページから始まる予算総則は、受信料額や予算の使用・流用など運用に関して規定しています。第1条では、7ページから10ページの別表第1のとおり26年度の収入及び支出を定めています。第2条は、契約種別ごとの受信料額および割引額等について規定し、第1項から第5項まで記載しています。第3条では予算の目的外使用の禁止について定めています。第4条では予算の流用について規定しています。第5条は、資本支出における予算の繰越について、第6条は予備費の使用について、第7条は事業量の増加等で増収となる場合の使用方法について規定しています。第8条では、減価償却費が減少し、設備投資資金が不足する場合の事業収支差金の受け入れについて規定しています。第9条では、減収により事業収支差金が赤字になった場合の補方法について規定しています。第10条は、26年度予算で新設した条文で、事業収支差金が増加した場合の建設積立資産への繰入れについてです。これまでは、その年度の収支改善額を建設積立資産に繰り入れる場合は、翌年度にこの予算総則の第11条の規定を適用して対応していましたが、第10条を設けることにより、経営委員会の議決を経て、当年度の決算で建設積立資産へ繰り入れることが可能となります。第11条は前年度の決算で繰越金が増加した場合の使用方法です。第12条は交付金が増加した場合の支出予算への充当です。第13条は調査研究等の交付金、補助金等があった場合の支出予算への充当について規定しています。なお、予算総則については、一部を除いて、経営委員会の議決を経て適用することになっています。
 続いて、7〜10ページは、第1条に定める収支予算書です。7ページは一般勘定の事業収支です。8ページは一般勘定の資本収支です。資本支出の建設費750億8千万円の財源として減価償却資金などを充てます。また、事業収支差金から80億円を受け入れ、建設積立資産に繰り入れます。
 9ページは、NHKオンデマンド事業の収支にかかる番組アーカイブ業務勘定です。20年度のサービス開始以降初めてとなる黒字予算を編成しています。
 10ページは、協会の保有する施設の賃貸等による受託業務等勘定について記載しています。
 11〜14ページは、第2条に関連して、受信契約の契約種別や受信料額、団体一括支払における割引額などを記載しています。受信料額は、消費税率8%への引上げに対応した消費税込額を示しています。
 15ページからは「事業計画」です。これまで収支予算編成要綱などでご審議いただいた26年度の重点事項と予算をまとめています。放送法施行規則の定めに従い、「計画概説」「建設計画」「事業運営計画」「受信契約件数」「要員計画」の5項目について記載しています。
 17ページからの「1 計画概説」には、予算・事業計画の概要を記載しており、加えて建設計画や国内放送等の事業運営の基本的な考え方を記載しています。
 19ページの上段の(4)をご覧ください。受信料額については、4月からの消費税率および地方消費税率の引上げに対応して、税を適正に転嫁することを記載しています。
 20ページの(10)は、放送センター建替えのために建設積立資産を積み立てることを記載しています。25年度の予算書にはありませんでしたが、26年度は予算の段階から事業収支差金を確保して繰り入れるために新たに記載しています。「2 建設計画」では、テレビジョン放送網整備計画、放送番組設備整備計画といった予算の科目別に、重点事項と金額をそれぞれ記載しています。公共放送の機能強化やスーパーハイビジョンの実用化に向けた設備整備を含め、総額750億8千万円を計上しています。
 22ページの「3 事業運営計画」では、国内放送、国際放送などの科目別に重点事項と金額をそれぞれ記載していますので、主な項目についてご説明します。
 (1)国内放送については、地上放送・衛星放送・ラジオ放送のチャンネルごとに記載しています。(ア)地上のテレビジョン放送では、まず、総合テレビジョンについて記載しています。最後の段落で教育テレビジョンについて記載しています。23ページの(イ)衛星テレビジョン放送では、上段でBS1について記載しています。中段にはBSプレミアムについて記載しています。下段の(ウ)は、ラジオ放送について記載しています。まず、ラジオ第1放送について、最終行からはラジオ第2放送について記載しています。24ページの4行目からは、FM放送について記載しています。中段には、インターネットによりラジオ放送を提供する「らじる★らじる」を継続することを記載しています。同じページの中段の(エ)は地域放送について記載しています。一番下の(オ)の補完放送については、データ放送、字幕放送、解説放送、ワンセグ放送等を実施します。25ページの下段の(カ)には、放送番組の提供等を記載しており、最後の段落に、25年9月に総合テレビで始めた、放送と通信を連携させたハイブリッドキャストのサービスについて、26年度は教育テレビ、BS1、BSプレミアムに拡大することを記載しています。
 続いて、26ページの(2)は、国際放送について記載しています。外国人向けと邦人向けのテレビジョン国際放送およびラジオ国際放送を実施するとともに、インターネットによるサービス等を行います。外国人向けのテレビジョン国際放送は、番組編成の基本単位を4時間から6時間に拡大することで番組のラインナップを拡充します。27ページの下から2行目は、ラジオ国際放送について記載しています。日本の最新情報や幅広い情報を伝えるニュース・番組の充実を図り、短波、中波、FM放送など地域の特性に応じた多様な手段で伝えます。
 28ページ中段は、(3)契約収納についてです。受信料の公平負担の徹底に向けて、契約収納活動を強化するとともに、受信料制度に対する理解促進を図り、支払率と収納率の向上および受信料収入の確保に努めます。(4)受信対策については、27年3月末の衛星セーフティネットの終了に向けて、新たな難視聴対策や混信への対策等を着実に実施します。
 29ページの(6)調査研究について、実用化に向けたスーパーハイビジョンの研究開発や普及促進に取り組むことを記載しています。(7)給与については、要員や給与制度の見直し等により、いっそうの抑制に努めます。また、全国ネットワークを含む公共放送の役割を果たすための要員体制の構築・整備を進めます。
 次に、30ページの下段の(12)では、経営計画の重点目標の1つでもある、効率的な経営の推進による公共放送の価値の最大化を記載しています。計画の進捗状況を適切に評価・管理し、マネジメントの強化を図るとともに、業務の棚卸し等により効率的かつ効果的な業務体制を構築します。
 32ページからの「受信契約件数」には、地上契約と衛星契約、特別契約という契約種別ごとの有料契約見込件数と受信料免除見込件数を記載しています。
 続いて、34ページの(参考1)は、これらをまとめて記載しています。26年度初頭の有料契約見込件数は総数で3,862万9千件であり、26年度は49万件を増加させて、最終的には3,911万9千件とする計画です。この49万件の内訳として、地上契約が衛星契約への契約変更等で19万件減少し、一方、衛星契約は68万件の増加を見込んでいます。
 続いて、36ページは「要員計画」を記載しています。業務の効率化を積極的に推進し、100人の純減を見込んでいます。その結果、予算人員は1万292人になります。
 37ページ以降は、「資金計画」についてです。39ページの資金計画の概要は、入金と出金の概要について記載しています。資金計画は、一般に決算の際に作成しているキャッシュ・フロー計算書とは異なり、放送法施行規則の定めに従い、資金の動きを入金と出金に区分して、四半期ごとに増減を把握し、記載しているものです。
 具体的には、40ページをご覧ください。25年度末の資金有高745億4,545万6千円は、貸借対照表上の現金および預金に相当する資金の残高です。入金については、受信料などの事業収入に加えて、有価証券の償還額等が計上されます。一方、出金については、実際の出金を伴わない減価償却費などを除いた事業支出や建設費に加えて、有価証券の購入額や納付消費税等を計上しています。これらの入金・出金の結果、26年度末の資金有高は625億6,880万5千円となる見込みであり、全体として資金が不足することなく、事業運営を行える計画になっています。以上が予算書の説明です。
 続いて、26年度の事業計画と収支予算のポイントをご説明します。
 「平成26年度収支予算と事業計画〔要約〕」の1ページをご覧ください。「予算・事業計画のポイント」を記載しています。26年度は3か年経営計画の最終年度として、4つの重点目標の達成に向けた取り組みを推進します。次に、収支予算については、まず事業収入は6,629億円となり、前年度に対して150億円の増収となります。このうち受信料は、受信契約件数の増等により207億円の増収を確保します。その他の事業収入については、固定資産売却益などの減などにより56億円の減収を見込んでいます。一方、事業支出は6,539億円とし、前年度に対して60億円の増となります。主な内訳として、国内放送・国際放送を充実するほか、公共放送の機能強化の拡充・前倒しを行います。また、調査研究費でスーパーハイビジョンなど次世代のサービスの開発・推進を実施します。一方で、給与の削減や受信対策費の減をはじめ、事業運営のいっそうの効率化を推進します。以上により、90億の事業収支差金を確保し、このうち80億円を、老朽化の進む渋谷の放送センターの建替え等に備えて、建設積立資産に繰り入れます。
 2ページの上段は、経営計画との比較を示しています。3か年の合計では、表の右側の緑の囲みにあるとおり、413億円の収支改善になりますが、47億円を25年度の計画で想定した赤字の解消に充当し、残る366億円の全額を建設積立資産に繰り入れています。
 それ以降は、受信料収入や公共放送の機能強化への取り組み、26年度の主な番組、国際発信力の強化、スーパーハイビジョンへの取り組みなどについて記載しています。
 「平成26年度収支予算、事業計画及び資金計画」についての説明は以上です。

 (浜田委員長)

 今まで議論を積み重ねていますので、これをもって議決としたいと思います。

 採択の結果、原案どおり議決。

 (浜田委員長)

 議決にあたり一言申し上げます。平成26年度収支予算、事業計画案は、松本会長のリーダーシップのもとで執行部が積み重ねてきた経営努力を反映したものであり、適切な内容になっていると評価します。この予算については国会の承認を得たうえで、着実に実行していただくことを経営委員会として期待します。一方で、この予算は現3か年経営計画の最終年度のものであり、経営委員会としては、放送と通信の融合に向けたサービスの展開や、国際放送の強化、グループ経営の推進、放送センターの建て替えなど、NHKにとって重要な経営課題は継続するものと認識しています。予算の執行にあたっては、これらの重要課題に鋭意取り組んでいただくとともに、次の時代を見据え、次期経営計画をどのような形で策定していくのかについても十分に検討をしながら進めていただきたいと思います。

 

 (2) 日本放送協会放送受信規約の一部変更について(資料1)(資料2)

 (福井理事)
 日本放送協会放送受信規約の一部変更について、議決事項として提出させていただきます。受信規約とは、放送受信契約の締結方法や単位など、受信契約の条項について規定しているものであり、放送法第64条第3項により、これを変更するときには、総務大臣の認可が必要となります。
 今回提出した受信規約の変更は、「放送受信料額の改定」「放送受信料立替払いの取扱事業者の拡大」「放送受信料口座振替利用届等の提出の省略」等に伴う内容となっており、施行日は平成26年4月1日としています。具体的な内容については、資料にある新旧対照表をご覧ください。右が現行の受信規約、左が変更後の受信規約です。
 まず、1ページをご覧ください。変更部分に下線を引いています。第5条については第1項の料額表を変更します。これは平成26年4月1日からの消費税率の引き上げに伴い、税率引き上げ分を適正に転嫁するための変更です。なお、受信料額は放送法に基づき、国会がNHKの収支予算を承認することによって決定されます。本内容は、今後国会へ提出予定の平成26年度収支予算にも記載していますが、受信規約でも同様の内容を規定するものです。続いて、第5条の2の多数一括割引および2ページの第5条3の団体一括割引については、料額変更に伴い必要なくなった特例措置を削除する等の変更となります。2ページの第6条については、第9号の「クレジットカードにより」を「クレジットカード会社等に立て替えさせることによって」に変更するものです。これは、クレジットカード会社に加え、他の決済サービスを提供する事業者による立替え払いを可能とするためのものです。あわせて第11項を新設します。これは、放送受信料口座振替利用届等の提出について、書面に代えて、電話やインターネット等の通信手段を利用した所定の方法により提出できることを規定するものです。続いて、付則については、第1項の施行日を平成26年4月1日に変更します。あわせて、第2項の普通契約に関する経過措置について、適用期間が終了したため削除し、これに伴い、以降の項番号を整理するものです。最後に別表については、沖縄県の受信料額も同様に変更するものです。
 受信規約の一部変更についての説明は以上です。
 受信規約の変更には、総務大臣の認可が必要となります。本日の経営委員会において決定をいただきましたら、総務大臣に申請します。
 採択の結果、原案どおり議決。

 

 (3) 平成26年度国内放送番組編集の基本計画について(資料)

 (石田専務理事)
 それでは、定款第13条第1項第1号クの規定により「平成26年度国内放送番組編集の基本計画」の議決をお願いします。
 12月10日の経営委員会での説明の繰り返しになりますが、この「編集の基本計画」には、3か年の経営計画「豊かで安心、たしかな未来へ」を、最終年である平成26年度に、社会情勢やメディア環境の変化を見据えた上で、国内放送番組としてどのように実現していくかについて記載しています。基本計画の作成にあたっては、経営方針に基づいて、来年度、NHKの国内放送各波は、どういう使命を担うかについて、全役員が参加する「改革と活力委員会」をはじめ、さまざまなレベルでの議論を積み重ねてきました。また、現経営計画で取り入れた指標による四半期ごとの視聴者のNHKの放送への評価、中央放送番組審議会での審議などを反映したものとなっています。さらに、昨年12月の経営委員会と中央放送番組審議会でのご審議を受け一部書き換えました。全体については前回説明していますので、変更した部分を説明します。12月の経営委員会の審議では、重点事項4の「東日本大震災からの復興を支援し、課題を掘り下げる番組」についてご意見がありました。「非常に重要なことであり、新しいものを生み出し前に向かう表現を一言入れられないか」「被災地は未来を映し出す鏡であり、高齢化や人口の減少などの課題に、日本の未来を見据えた上で取り組んでほしい」などのご意見をいただきました。これらのご意見を受け、重点事項4を「被災地の人たちの心を癒やし、励ます番組を制作するとともに、復興に向け課題を深く掘り下げる番組、復興を成し遂げようとする人々の姿を伝える番組を制作し、活力ある東北の未来につなげます。」と「活力ある東北の未来につなげます」という文言を加え、より前向きな内容にしています。また、中央放送番組審議会では、国際的・長期的視点に立ってさまざまな課題に取り組んでほしいとの意見がありました。そのため、重点事項の2番目「日本が直面する課題をグローバルな視点で報道」としていた文を、「日本や世界の課題にグローバルな視点で取り組む報道」と、表現を変えました。この2つのポイントを変更した「平成26年度国内放送番組の基本計画」を、昨年12月16日の中央放送番組審議会に諮問し、同日、全員一致で可とする旨の答申をいただきました。
 平成26年度はこの「基本計画」のもと、NHKは、正確・迅速で公平・公正な報道や見ごたえのある番組を視聴者に届け、NHKでしか見られない、人々の心を豊かにする魅力にあふれた放送の実現を目指していきたいと思います。説明は以上です。よろしくお願いいたします。

 (中島委員)

 大変魅力的な企画がいろいろ盛り込まれていると思いますが、新しいサービスを始めると、特に受信者側の電力消費、あるいはピーク電力時の電力が高まる可能性があり得ると思います。公共放送としては、エネルギーの公共性という観点からアセスメントが必要な気がしますが、これまでどのように配慮されてきたのでしょうか。

 (石田専務理事)

 今回の新しいサービスとしては、例えばハイブリッドキャストが該当しますが、現在ハイブリッドキャストに対応しているテレビの機種が少ないので、電力の消費量全体に大きな影響を与えることにはならないと思います。

 過去電力不足のときに、例えば、夏の甲子園の放送時間帯と電力消費量のピーク時間帯が重なった際は、NHKではなく日本高等学校野球連盟が試合の開始時間を早めたりしました。また、オイルショックの昭和40年代には、放送終了時間を繰上げたりして対応したことはありますが、26年度の基本計画が要因で大きく電力消費が伸びるようなことは想定されないと思います。

 (中島委員)

 ありがとうございました。

 (浜田委員長)

 基本計画について異議があるわけではありませんが、地方の放送局長からいただいたお手紙の一部をご紹介したいと思います。「地域の課題や再生・活性化の取り組み、地域の資源・文化等をローカルで報じてもあまり意味がないと思います。全国に、あるいは世界に発信して初めて地域の助けとなり、公共放送の役割が果たせるのだと思います」という内容です。特に編集方針等がおかしいという趣旨の意見ではありませんが、先ほど石田専務理事から、「編集の重点事項」の2つ目に関して、「日本が直面する課題をグローバルな視点で報道」から「日本や世界の課題にグローバルな視点で取り組む報道」という表現に変更したというご説明がありました。双方を読み比べてみて、改めて地方の再生に向けて「日本の課題、日本の再生」という観点で具体的に取り組んでいただきたいと感じましたので、ぜひよろしくお願いします。

 (石田専務理事)

 ご指摘のとおり、「編集の重点事項」の7つ目に「地域の再生、地域活性化への貢献」を掲げており、NHKは放送法で地域放送を行うよう定められています。またNHKの方針としても、ローカルの課題を全国・世界に発信していくことは非常に重要なことだと思っています。中央放送番組審議会でのご指摘は、グローバルな視点で取り組むことに日本が直面しているのではないかということです。いわゆる地理的な意味でのグローバルも必要だし、時間的なスパンとして長期的に見ることも重要だということで、もう少し時間幅を持って世界の情勢を捉えていくような放送に取り組んでほしいという要望がありました。それを受けて、「日本が直面する課題をグローバルな視点で報道」から「日本や世界の課題にグローバルな視点で取り組む報道」という表現に変更しました。

 採択の結果、原案どおり議決。

 

 

4 報告事項

 (1) 平成26年度国内放送番組編成計画について(資料1)(資料2)

 (石田専務理事)
 それでは、「平成26年度国内放送番組編成計画」についてご報告します。「平成26年度国内放送番組編成計画」は、ただ今、議決をしていただいた「平成26年度国内放送番組編集の基本計画」を踏まえ、具体的な時刻表を作成し、どのような番組を放送するかという放送計画をまとめたものです。資料として「平成26年度国内放送番組編成計画」と「平成26年度(前半期)放送番組時刻表」を配付しています。
 それでは、「平成26年度国内放送番組編成計画」に沿って、改定のポイントおよび新設・移設する主な番組をご説明します。
 1ページをご覧ください。1番下に記載していますが、平成26年度番組改定の実施期日は、3月31日月曜日とします。
 2ページをご覧ください。ここから波ごとに編成計画の要点を記載しています。総合テレビジョンは、「生活に欠かせないチャンネル」として、正確な情報を伝えるとともに、心豊かに暮らせる番組をバランスよく編成します。編集のポイントの1番目は、「現代を深く掘り下げ、見応えのある番組を展開」です。土日夜間9時台の「NHKスペシャル」は、質の高い制作力を駆使したシリーズに取り組み、国際展開を目指します。人間の細胞の神秘に迫る科学ドキュメンタリー番組「人体ミクロの大冒険」などを制作します。「土曜ドラマ」については、感動あふれるヒューマンドラマや現代を深く切り取る社会派ドラマを放送します。次の「世界や日本の今を読み解くニュース・情報番組の強化」についてです。午前中の番組は、「NHKニュース おはよう日本」「あさイチ」が好調ですので、そこは守りつつ、夕方から夜間にかけて深い取材と丁寧な解説で伝え、NHKにしかできない報道を強化していきます。
 3ページをご覧ください。「世代を越えて楽しみ心に残る番組を育てる」についてです。土曜夜間の「マサカメTV」「伝えてピカッチ」「突撃 アッとホーム」は継続し、夏期などの特集期間にも定時スペシャルとして編成し、定着を図ります。続いて、編集のポイント「“これさえあれば”と各世代に必要とされる多彩な番組の制作」についてです。まず、「LIFE〜人生に捧げるコント〜」を木曜午後10時にウイークリー化します。また、木曜午後10時55分からは「超絶 凄(すご)ワザ!」を新設します。技術者の真剣勝負を通して日本のものづくりの底力を伝える番組です。地域からの全国発信番組でもあり、名古屋局が制作します。また、「地域が主役となり、全国の視聴者が満足できる番組を編成」については、金曜午後8時台に地域が舞台となり全国に発信する番組を編成します。大阪局制作で、道を究めた人の魅力に迫る「きわめびと」、全国54局のネットワークを生かし、毎日のニュースを“しあわせ”をキーワードに掘り起こす「しあわせニュース」などです。最後は、東京オリンピック・パラリンピックに向けた番組としては、「めざせ!2020年のオリンピアン」を日曜午後5時台に放送し、若手選手の発掘を行います。
 5ページからは、教育テレビジョンです。教育テレビは教育放送に求められる役割を着実に果たす編成となっています。編集のポイントとしては、まず「教育」「福祉」「いじめ」「防災」などのテーマに重点的に取り組みます。スマホとの付き合い方、受験など、教育の課題を取り上げる番組「エデュカチオ!」は、月1回から週1回に拡充し、土曜午後5時台に放送します。2つ目のポイントの「子どもや若い世代に向けた番組の定着」に向けて、平日午後6時台の「大!天才てれびくん」を刷新し、よりストーリー性を高めた視聴者参加型の番組「Let’s天才てれびくん」とします。
 続いて、7ページです。平日午後11時台は、社会の中核を担う視聴者に向けて、火曜日の「先人たちの底力 知恵泉」と木曜日の「ミュージック・ポートレイト」の放送時間を45分に拡大します。
 9ページからはBS1です。BS1は「生にこだわるスポーツ」「世界の今を伝える国際情報番組」「世界の深層に迫る骨太のドキュメンタリー」を3つの柱とします。BS1は、6月に開幕する「サッカーワールドカップブラジル大会」の試合をたっぷり放送します。また、平日午後11時台に放送し好評の「ワールドスポーツMLB」を、土日にも拡充しスポーツ情報番組を強化します。
 10ページ下段の「国際・経済番組の充実」については、朝と夜のニュース番組をリニューアルします。午前7時からはグローバルな視点で国際情勢を多角的に捉える番組「キャッチ!世界の視点」、午後10時台は、世界で起きているニュースの核心を伝える本格国際ニュース番組「国際報道2014」を編成します。
 12ページからはBSプレミアムです。BSプレミアムは、幅広い世代が楽しめる知的エンターテイメント番組チャンネルを目指します。木曜夜8時には、日本の運命を決める「選択」に直面した英雄たちの心中に深く分け入り、歴史を描き出す番組「英雄たちの選択」を新設します。平日午後11時台はリラックスゾーンをコンセプトに再編します。番組としてはJ‐POPのアーティストが昭和の名曲をカバーするスタジオ音楽番組「The Covers」を月曜に新設するなどします。
 次に、13ページです。土曜夜間には、圧倒的な訴求力と話題性を持った「ザ・プレミアム」を拡充します。下の項目「“ニッポン再発見”をテーマに、地域の支援につながる番組の充実」については、平日午後7時台に地域が舞台となる番組を編成します。火曜から金曜には、俳優の火野正平さんが全国を自転車で旅する「にっぽん縦断こころ旅」の完結編を放送します。また、月曜には、釣りを通じて地域の魅力を伝える「釣りびと万歳」、水曜午後7時台には、食の魅力を紹介する「食材探検 おかわり!にっぽん」を新設します。
 続いて、音声波です。ラジオ第1は、“安心ラジオ”としての機能をいっそう強化します。
 15ページをご覧ください。土日夜間の「ラジオ深夜便」の放送開始時間を1時間早め午後11時台からとします。ラジオ第2放送は、生涯学習波として、語学番組や教養番組など多様な知的欲求に応える番組の充実を図ります。月曜から金曜の午前9時台に簡単な英語で構成する物語で英語感覚を養う番組「エンジョイ・シンプル・イングリッシュ」を新設します。
 続いて18ページです。FM放送は、総合音楽波としてリスナーの多様なニーズに応えます。火曜午後11時台は、R&Bのアーティスト、MISIA(ミーシャ)がアフリカの魅力を語り尽くす番組を新設します。
 19〜29ページは、これまでご説明した番組を含め、新設番組の概要を波ごとに記載していますので、後ほどご覧ください。続いて、補完放送等の放送計画です。総合テレビのデータ放送では、地域ごとの河川水位や雨量情報など、防災・減災に役立つ情報サービスを各放送局で行うとともに、避難情報や避難所の開設などの情報を、公共情報コモンズを利用し提供する地域を順次拡大していく計画です。また、サッカーワールドカップ ブラジル大会など、競技の経過・結果速報など多彩なコンテンツを展開し、視聴者の関心に応えます。
 放送の未来を切り開く新サービスへの取り組みにも力を入れていきます。
 45ページをご覧ください。去年9月からサービスを開始したハイブリッドキャストについてです。対応機種が増えていますが、スマホ/タブレット向けサービスや動画サービスも拡大、さらに平成26年度後半からは、教育テレビやBS1、BSプレミアムでも連動番組を実施します。
 46ページはインターネットサービスです。多様な端末で、正確で迅速にニュースや番組コンテンツを届け、公共放送の使命を果たします。また、デジタルテレビの機能を活用した双方向番組やソーシャルネットワーキングサービスを活用したコンテンツを展開し、放送番組の視聴促進に努めます。
 48ページからは、字幕放送、解説放送等です。字幕放送は、既に収録番組では総合波の全てでなされていますが、教育テレビ、BS1、BSプレミアムでも拡大していきます。ニュースなどの生字幕放送については、地域放送も含めて積極的に取り組みます。
 以上、「平成26年度国内放送番組編成計画」についてご報告しました。説明は以上です。

 (上村代行)

 「視聴者のみなさまと語る会」などで地方に行ったりすると、「NHKは民放化している」「どちらかというと初心者向けのものが増えている」というご意見をよく聞きますが、その点に関する配慮はなされているのでしょうか。また、例えば「英雄たちの選択」という番組が新設されました。おもしろそうな番組だと思いますが、「BS歴史館」はなくなるのだろうかと心配になりました。要するに、なくなる番組についてよく分からないのです。新しい番組にはもちろん期待していますが、いつも見ている番組がなくなるのではないかという不安があります。その辺についてはどのようにお考えなのでしょうか。

 (石田専務理事)

 民放化しているというご指摘については、25年度の番組改定の際にかなり議論しました。取り上げるテーマや演出方法、例えばタレントと若い女性のアナウンサーがペアで出演する番組が多いとか、あるいはスタジオに大勢のタレントが並んでいる番組が多いなど、そういうことが民放化と言われる要因ではないかと松本会長からもいろいろ指摘を受けました。25年度は番組改定の数が多く、新番組もかなり編成しましたので、その辺は配慮したつもりです。民放化というご指摘もある一方で、若い方からは親しみやすくなったというご意見もありますので、いろいろご意見を意識しながら対応していきたいと思います。また、初心者向けの番組が多いというご指摘については、いろいろな世代の方や、さまざまな立場の方が見られますので、基本はなるべく分かりやすいよう工夫しています。特に報道などは分かりやすさが求められる一方で、教育テレビやNHKスペシャルなどのように深く掘り下げる番組も必要です。25年度の番組改定時、土日にクラシック番組を長時間放送に変更しましたが、初心者向けというより本物の芸術番組や音楽を聞きたいという視聴者の期待に応えるために編成したもので、26年度も引き継ぐ形にしています。すべての視聴者の方にご満足いただけるようになっているかというといろいろご意見はあると思いますが、引き続き検討していきたいと思います。

 また、歴史番組に関するお話がありましたが、歴史番組は放送を始めて以降かなり長くなってきているものもあります。「歴史秘話ヒストリア」はその1つです。今制作現場で論議しているのは、新しい演出方法による歴史番組の可能性を探っていけないかということです。すべての番組を一度に変えるわけにもいきませんし、歴史番組を大幅に増やすということもできませんので、番組の入れ替えを行いながらチャレンジしていきたいと思っています。どういう評価を受けるのかについては放送を始めてみないと分かりませんが、歴史番組についてはそういう観点で番組編成や番組制作に取り組んでいるとご理解いただければと思います。

 (松本会長)

 NHKの放送はNHKの経営そのものであり、視聴者からの信頼に直結するものだと思います。鉄道での経験で言うと、鉄道のダイヤは専門の“スジ屋”が専門的に作り、できたあとにみんながいろいろなことを言いますが、それと同じようなことがかつては番組を作る際にあったということです。基本は、主要なところは役員をはじめみんなで議論し、方向性を理解したうえで具体的な編成計画の検討を行うということです。そのことは、25年度に引き続き26年度の番組編成を検討する際にも引き継がれています。また、どの番組がなくなりどの番組が継続なのか、また新番組はどういう内容かも明確にしたうえで編成計画を策定しています。

 (上村代行)

 すばらしい素材を提供しているにもかかわらず、司会者があまり好きでないと見る気がなくなったり、ここさえなければいいのにと思ったりすることがあります。例えば、先日放送された「皇室の宝」という番組は妙にドラマ仕立てになっていて、ちょっとしつこい感じがして肝心なところに焦点があたっていないという感想を持ちしました。私の意見が視聴者を代表しているわけではありませんが、私のように年配の視聴者のほうがこだわりをもって見ていると思います。その分、恨みも募る可能性がありますので、若い人はもちろん大事ですが、その辺にも留意していただくようお願いします。

 (石田専務理事)

 分かりました。

 (美馬委員)

 先ほど収支予算に関してご説明いただいた冊子「平成26年度 収支予算と事業計画の説明資料」の11ページに、「ジャンル別予算」や「ジャンル別の番組制作費」が記載されていますが、それぞれの波の中でも生活情報番組、科学番組、エンターテインメント性の高い番組などが、どういう割合で減ったり増えたりしているかが分かるような資料はあるのでしょうか。

 (石田専務理事)

 もちろん編成を検討するときに、どの番組を廃止して、どういう番組を新設するかの一覧表はありますので、それをジャンル別に分けることは可能です。

 (美馬委員)

 詳しい内容はどこかにあるとは思いますが、例えばどういう番組が増えたり減ったりしているのかの傾向について知りたいのです。

 (石田専務理事)

 教養・教育・報道・娯楽というジャンルで見ると、26年度は25年度とほとんど変わりはありません。例えば、総合は25年度に比べて教養は1.2%減、娯楽は1.8%増、教育は0.1%減、報道が0.5%増というように、1%の程度の変化になっています。実際には、例えば台風や大きなニュースの関連で特集番組を組むことにより予定の番組を休止したりすることがありますので、傾向として報道はもう少し増えると思いますが、極端に変更しているということはありません。

 (美馬委員)

 今回初めてジャンル別の番組制作費を見せていただきましたが、1本あたりの制作費の目安は違いますよね。例えば、ドラマやエンターテインメントなどは、俳優の方の出演料やセット等に費用が多くかかるのだと思いますが、予算を減らすために、制作費の高いジャンルの番組を削って比較的コストの安い教養番組を増やす、あるいは一般の報道を増やすというようなことはあるのでしょうか。

 (石田専務理事)

 現経営計画の前までは、7月頃に翌年度の番組提案を募集し、9月頃に締め切ったあとにどういう編成にするかを決めていたのですが、それだと個別の番組がばらばらに提案されることになり、NHKとしてどういう方向を目指しているのかが見えないという問題がありました。そのため25年度の番組改定では、7月の番組提案の募集前に役員レベルで方向性について議論し、例えば総合テレビは、土曜日に家族で見られるような番組を定時番組で編成したり、ネットを使う「NHK NEWS WEB」を午前零時開始から午後11時半開始に変更したりしました。また、「クローズアップ現代」は、午後7時半に自宅で視聴するのは難しいため何とかしてほしいという要望に応え、働く中核の方たちが視聴できるよう深夜零時台に再放送することにし、例えば教育テレビでは土日に長時間の教養番組を編成しました。どの曜日のどの時間帯に重点を置いて編成するか、またどのジャンルに予算や要員を充てる必要があるかなども含めて7月の段階で会長を中心に役員で議論し、番組改定の方向性を示したうえで7月に番組の提案募集を始めました。9月頃に具体的な番組提案がまとまりましたので、それを受けてどの番組に予算や要員を重点的に充てるかなどを議論しながら検討したということです。この流れは26年度の編成計画策定においても大きく変えていません。

 (美馬委員)

 ありがとうございました。

 (百田委員)

 今回娯楽番組も含めていろいろ新しい番組が編成されていますが、歴史的課題も含めて、今現代の日本が直面しているさまざまな問題に関することをお知らせする番組があってもよいのではないかと思います。例えば尖閣諸島や竹島の問題、あるいは靖国神社に関する極東軍事裁判や在日朝鮮人・韓国人に関わることなど、いろいろな意見がある中で、多くの人々は自分の考えを持つだけの知識を得る機会がないというのが現状だと思います。日本の公共放送として、現在の日本が抱えているさまざまな問題や歴史に関して必要最低限の知識を伝える番組があってもよいのではないかという気がしました。

 (宮田委員)

 誤解があるといけないので確認しますが、経営委員は番組の話をしてはいけないのですか。

 (石田専務理事)

 放送法32条に「委員は、この法律又はこの法律に基づく命令に別段の定めがある場合を除き、個別の放送番組の編集その他の協会の業務を執行することができない」とあります。

 (百田委員)

 要するに、ある番組に対してここは変だと言うのはだめだということですね。

 (石田専務理事)

 経営委員会の議決を求める編集の基本計画は、個別の番組について経営委員会の議決を求めるものではありません。

 (宮田委員)

 個別というのは、どの程度のことを指すのかによりますね。

 (上村代行)

 放送法32条に書かれている「個別の放送番組の編集その他の業務を執行することができない」の意味は、編集行為に代表される業務執行行為をしてはいけないということだと思います。また、その業務執行行為について意見を言って、それを盾にして予算を通さないというようなことを言ってはいけないという趣旨だと思います。12人の経営委員は、さまざまな分野からそれぞれの経歴を持つ者として経営委員に選ばれており、番組について意見や感想を言うのは当然のことだと思います。例えば、きょうご説明いただいた番組編集の基本計画は議決事項であり、編成計画は報告事項になっています。番組について何も言わないで編集の基本計画は議決しますというのは変な話になります。経営委員は、個別の放送番組の編集その他の業務を執行できないということであり、番組に関する感想を述べてはいけないということではありません。褒めるのはいいけれども、けなしてはいけないということはないわけです。「視聴者の皆さまと語る会」で参加者の方々と議論するようなレベルの話であれば自由に意見を言っていいと理解しています。

 (百田委員)

 そうすると私の意見は許容範囲内ですかね。

 (上村代行)

 編集計画に影響を与えようとする意見でなく、個人の感想であれば述べてはいけないということはないと思います。

 (長谷川委員)

 今百田委員がおっしゃったことは、NHKの大きな事業計画そのものにとっても非常に大切なご指摘だと思います。つまり、NHKが目指すのは正確な放送で、公正かつ公平が基本なわけです。それと同時に、視聴者の方々にできる限り正確な情報を伝えるという啓蒙(もう)の意義は、例えば教育番組などをはじめ非常に大事になってきます。ただ、科学番組などは、正確という点で基準がはっきりしているので比較的分かりやすいと思いますが、ホットな話題に関して世の中には正反対の意見がありますので、正確で公正な番組を作るのは非常に難しいことだと思います。どうすれば正しい啓蒙になるのかについては、火中の栗を拾うようなところがありますので、さわらぬ神にたたりなしということもあると思います。正しい国民的議論を引き起こすためにシンプルで正確な事実を伝えることは、教育という目標からも大切なことだと思います。理事の方々は非常に高い教養をお持ちなので、今さら勉強するのは気が進まないこともあると思いますが、そういう問題について、一番正確な学問的成果はどういうところにあるのかを探ることは大切なことだと思います。正確な事実を得るために、番組を作る立場の方々には常に勉強する姿勢を維持してもらいたいと思います。そういうところがしっかりしてこそ、自信を持って公正で正確な番組を作れるのではないかと思います。そういう意味では、今の百田委員がおっしゃったようなことの実現は、難しいと思いますが目標として考えていただいてもいいのではないかと思います。

 (松本会長)

 今おっしゃったことは、NHKの仕事としてきちんとしなければならないことだと思います。公共放送としてさまざまな情報を提供し、それをもとに視聴者の方は判断されるわけです。その際NHKは、公正・公平・不偏不党をもとに判断材料を情報として提供することが大切です。材料を客観的にきちんと提供することが重要ですが、量的な問題などは難しい部分もあり、いろいろ意見をいただくことがあります。NHKの目指すところは、公平・公正という放送法に掲げてあることをきちんと踏まえ、正確な材料を提供するということです。判断するのは視聴者であり、政策は国だということを念頭に置いて放送していこうと議論しています。そういう姿勢でないと、公共放送としての仕事をしているとは言えません。制作者はいろいろ勉強していると思いますし、さまざまなツールも用いながら番組を制作しています。そういうことを通して、公共放送としての役割をきちんと果たしていくことが重要だと思います。

 (長谷川委員)

 ありがとうございます。

 (宮田委員)

 経営委員が番組について確認し、いろいろな意見を言うのはあたりまえのことだと思います。学生を教育して物を作るのが私の仕事ですが、作った物が評価されてはじめて価値を認めてもらえるのです。今回編成計画に記載されている文章は、端的に言うとクリエイティブな内容ではないなと感じました。やめる番組について、なぜやめるのかの理由はいろいろあると思います。番組をやめた場合、翌週にどういうつながり方をしているのかというと意外とつながりがないことが多いのです。私が中央放送番組審議会の委員を務めていたころからそうで、例えば、視聴率が低かったからやめるなど、理由をはっきりさせたうえで、次はそれを超えた番組を制作するというのがクリエイティブな発想だと思います。構築していくという流れがもう少し見えれば、なるほど時代を見ているなと納得できるという感じがします。

 (松本会長)

 視聴率だけで物事を判断してはならないというのが公共放送だと思います。公共放送としてやるべきことは何なのか、例えば、今Eテレの番組や落語や浪花節などの番組は公共放送だからこそできる側面があります。公共放送しかできないことは何なのかをきちんと位置づける必要があります。視聴率だけで考えていると、そういう番組はなくなってしまうかもしれません。しかし、一方で「大河ドラマ」や、「連続テレビ小説」などNHKの一つの看板のような番組は、皆さまに楽しんでいただけるようにしなければならず、視聴率を取らなければならない場合もあります。考え方を分けたうえで対応しなければなりません。例えば、「N響アワー」は一時期廃止されましたが、議論の結果翌年度に復活させました。一律に考えるのではなく、公共放送とは何なのか、どういう役割を果たすべきなのかを基本に置いて、今百田委員がおっしゃったような番組や教養番組もきちんと放送することが重要なのです。教養、教育、報道、娯楽の各種別の番組の調和を保つようにしなければいけないということは制度として決められていますので、バランスを取りながら一番いい形で役割を果たしていきたいと思います。法律で決まっているというだけでなく、受信料の支払いに跳ね返ることにもなりますので、NHKの存在感そのものの問題になると思います。そういうことを頭に置きながら、みんなで研究しています。

 (宮田委員)

 そうですね。分かりました。

 (室伏委員)

 私も公共放送は視聴率だけに左右されてはいけないと思います。私は科学者ですので、科学番組をよく拝見するのですが、非常に細かく丁寧に取材されていて、しっかりした科学的な根拠が示された番組が多いと感じています。たまに疑問に思う番組もないことはないのですが、ほとんどの番組は丁寧に作られており、きちんとした科学的根拠を提供していることが分かります。科学番組以外においても明確な根拠を示したうえで、視聴者に判断していただくことが重要です。判断力を視聴者に身に付けていただくための材料提供という意味でも、視聴率にあまり左右されないことが必要だと思います。今の日本人にとって何が必要なのか、あるいは人類や地球上の生物たちが持続可能な世界を作るために何が必要かということを考えた番組は多いと感じていますので、その線は崩さないでいただきたいと思います。NHKには、感情的に流されるような報道はしていただきたくないと思っています。すべてのことについて根拠あるいは科学的な裏づけをきちんと収集した番組作りはNHKのこれまでの実績だと思いますし、これからも目指していただけると期待しています。

 

 

3 議決事項

 (4) 平成26年度国際放送番組編集の基本計画について(資料)

 (森永理事)
 平成26年度の国際放送番組の編集については、別冊のとおり基本計画を策定しましたので、定款13条第1項第1号クの規定により議決をお願いします。この基本計画は、12月10日の経営委員会でご説明し、審議いただきました。その後、12月13日の国際番組審議会に諮問し、答申をいただきましたので、内容的には以前と同じですが、改めて議決事項として提出させていただくものです。編集の基本方針にも掲げたように、2020年に東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まり、日本に対する世界の関心が一段と強まっています。こうした中で、迅速かつ客観的に日本に関するニュースや番組を海外に伝え、日本への信頼を高めることがますます重要になっています。26年度のNHKワールドは、3か年経営計画で掲げた国際発信力の強化の実現に向けて、英語によるテレビ放送、日本語と17言語によるラジオ放送、そしてインターネットへの取り組みをいっそう推進し、視聴の定着と拡大に努め、NHKワールドの発信力をさらに高めていきたいと考えています。ご審議のほどよろしくお願いいたします。
 採択の結果、原案どおり議決。

 

 

4 報告事項

 (2) 平成26年度国際放送番組編成計画について
(資料1)(資料2)(資料3)(資料4)(資料5)

 (森永理事)
 26年度国際放送番組編成計画についてご報告します。英語によるテレビ国際放送「NHKワールドTV」の26年度の最大のポイントは、海外の視聴者の多様なニーズに応えるため、基本編成を1ブロック4時間から6時間に拡大することです。2つ目のポイントは、ニュース発信の強化です。日本国内での独自取材を増やして、日本についての情報発信をいっそう充実させるほか、報道局や海外総支局との連携の緊密化によって、東アジア、東南アジアに関するニュース、国際経済情報の強化にも取り組みます。3つ目のポイントは、新たな分野の開拓です。これについては、新設する主な番組をご紹介します。
 1ページの下段に記載している「ASIA MUSIC NETWORK」は、アジア各国の放送局と連携した多言語の最新音楽情報サイトを構築します。このサイトで海外の視聴者とつながりながら番組を作っていく新しい演出形式の音楽番組です。日本とアジア各国の著名アーティストやプロデューサーがお勧めする楽曲を紹介し、Jポップの新たな魅力とアジアの豊かな音楽シーンを世界に発信します。
 2ページの「KABUKI KOOL」は、歌舞伎座が新しく建て替えられたこととユネスコの無形文化遺産で海外から注目が集まっている歌舞伎を、外国人視聴者に分かりやすく紹介します。「K」で始まる「クール」はスペルミスではありません。「KOOL」はアメリカやイギリスで「かっこいい」という意味で、すでに若者の間で普及・定着している単語です。「J−FLICKS」は、海外の映画祭でも高く評価されている日本映画の魅力を紹介する番組で、主に新作映画、話題作を中心に紹介し、日本の著名な映画監督や俳優へのインタビューなども盛り込まれます。「Side By Side」は、発展途上国に対する日本の国際支援の現場を紹介する番組です。日本の国際支援は、現地の人材を活用しながら持続可能な手法を探るなど、日本独自の援助哲学に基づいたもので、いわば現地に寄り添う形で行われているものが多い状況です。官庁、民間企業、NPOなどの草の根の援助活動まで、幅広く世界に紹介いたします。番組のタイトル名「Side By Side」は、あなたのそばに寄り添うという意味で付けました。
 3ページ後半は、日本人向けのテレビ国際放送の「NHKワールド・プレミアム」についてです。1日5時間ノンスクランブルで放送するのは、朝昼晩のニュースです。そして、海外で暮らす日本人の安全と安心を支えるために重要な情報を中心に伝えます。内容は25年度とそれほど大きくは変わりません。
 4ページは、「NHKワールド・ラジオ日本」です。日本語と17言語の放送を行っており、地域の実情に合わせて、短波だけでなく、中波・FM波・衛星ラジオを組み合わせて放送をお届けします。また、災害などの緊急時には機動的な編成を行い、最新ニュースを伝えます。
 5ページは、インターネットサービスの「NHKワールド・オンライン」です。インターネットを通した視聴機会の拡大、多言語展開の強化、ホームページの機能・利便性の強化に努めます。特にインターネットは、急速に利用が広がっており、コストの面でも非常に利点がありますので、ここは新しいものも含めて、いろいろなことに力を入れていきたいと思っています。
 6ページ以降は、26年度の放送時間等で、1日あたりの計画値です。ラジオについては、26年度はアラビア語の放送枠が1つ増えるため、1日あたりの放送時間は現在より合計30分増えます。以上、平成26年度国際放送番組編成計画についてご報告しました。

 (石原委員)

 前回も申し上げましたが、外国人向け英語放送の「NHKワールドTV」は、BBCやCNNと競争していかなければならないチャンネルで、視聴可能世帯が増えても見てもらえる番組を放送しなければ意味がないのです。以前にモニターの方にご意見をいただいているというお話がありましたが、視聴する側の考え方は日本人と大きく異なるのではないかと思います。彼らはテレビを見る際、BBCやCNNをはじめ、どのチャンネルを見ようかなと考えるわけです。ほとんどの国では何十チャンネルも放送していますので、その中で「NHKワールドTV」を選んでもらうということは大変なことなのです。そこのところに関する考え方と、今後どのように努力していこうとされているのかについてお聞かせいただきたいと思います。

 (森永理事)

 前回のご指摘を受け、今いろいろ調べています。BBCは、英語放送の「BBCワールドニュース」と多言語放送の「BBCワールドサービス」の2つの国際放送サービスがあり、「BBCワールドニュース」はほぼ24時間ニュースを放送している商業放送です。「BBCワールドサービス」は、アラビア語とペルシャ語のテレビチャンネルのほか、多言語でラジオやネット等も展開しています。アラビア語放送はニュースが比較的多いのですが、ペルシャ語放送はニュースが少なく、文化や教養の番組も放送しています。2つのチャンネルの違いについてですが、それぞれ視聴者のご意見を踏まえてそうしているそうです。また、ドイツの公共放送で国際放送を実施している「ドイチェ・ヴェレ」は、ニュースの時間は比較的少なく、ドイツの文化等を発信する番組を多く放送しています。CNNはいくつかのチャンネルがありますが、いずれもニュースを中心に放送しています。地域によってはニュース以外の番組を2〜3時間放送しています。BBCもCNNも世界のニュースを広く放送していますが、NHKの場合は、今回の編集方針に掲げているように、日本とアジアの情報発信をいっそう強化することによって信頼される放送局を目指そうということです。その辺の性格づけが違うのではないかと思っています。

 (石原委員)

 視聴者に見てもらえるかどうかですよね。

 (森永理事)

 確かに工夫の余地はあると思います。CNNは1985年から国際放送を始めており、BBCは1990年からテレビで国際放送を実施していますので、かなり歴史があります。NHKは「NHKワールドTV」を刷新してことしの2月で5年になりますので、今後もう少し体制を充実させて、ニュースや報道関係の番組を増やしていきたいと話しています。どういうふうにすれば見ていただけるのか、誰を対象に放送していくのかについても、もう少し絞り込んで実施していきたいと思っています。石原委員からのご指摘を踏まえて、研究していきたいと思います。

 (石原委員)

 「NHKワールドTV」では、日本で放送しているNHKのニュースを英語に翻訳して、日本より30分遅れぐらいで流しているのが実態なのですよね。

 (森永理事)

 80%ぐらいは国内のニュースと共通の素材を使っています。

 (石原委員)

 外国人の視点から見ると、それではあまりおもしろくないのではないかと思うのです。CNN、BBCは直接現地に行って取材した内容を生放送で流したりしていますよね。

 (森永理事)

 一番大きな違いは、BBCもCNNも基本的に英語を母国語とした人たちが英語で取材・制作しそのまま流せるということです。「NHKワールドTV」においても、選挙報道など事前に放送予定が分かっている番組については、できるだけ報道局と連動して同時に放送しています。また、北朝鮮がミサイルを発射するのではないかという情報があった際は、事前に英語の予定稿を書いたりするなど、できるだけ早く放送するようにしました。NHKの国内向け報道はBBCやCNNに負けていませんが、突発のニュースについてはどうしても翻訳する手間がかかりますので、BBCやCNNより結果的に遅いことについては、現在の仕組みではやむをえない状況があります。

 (石原委員)

 日本に対する外国人の関心は、一体何だろうかということです。政治の問題もありますが、むしろ最近はアベノミクスなどの経済に非常に関心を持っていますよね。その辺に焦点をあてたニュースを流してみるなどしてはどうでしょうか。また、NHKでよくできている番組は、「NHKスペシャル」です。「NHKスペシャル」を「NHKワールドTV」で放送できないのでしょうか。

 (森永理事)

 以前にご説明しましたが、土日はニュースの放送時間は10分になりますので、50分以内におさまる「NHKスペシャル」を英語化して流す場合もあります。また、経済についてはご指摘のとおりで、長年のデフレにより日本経済に対する関心が薄れていたのですが、今アベノミクスに対する海外の関心が非常に高くなっています。11月に番組を1つ作りましたが、今後もできるだけ増やせるように、要員体制の問題も含めて強化していきたいと思っています。

 (石原委員)

 民放の番組を例えに出すのは申しわけない気もしますが、「ワールドビジネスサテライト」という番組がありますよね。ああいう番組を作れば結構見てもらえるのではないかと思います。経済ニュースが中心ですが、「クールジャパン」みたいなものも入っていますよね。

 (森永理事)

 1990年に「ジャパン ビジネス トゥデイ」という経済番組を月曜から金曜まで3年くらい放送したことがあり、あのころは日本経済に対して非常に高い関心が持たれていました。経済番組はこれから取り組んでいくべき喫緊の課題だと思っていますので、工夫していきたいと思います。

 (上田委員)

 視点は少し違うかもしれませんが、ドイツの在日広報担当公使が訪ねて来られた際、「NHKワールドTV」を紹介したところ、「NHKワールドTV」はあまり見ていないが、むしろ夜7時の「NHKニュース7」をNHKが同じタイミングで、英語(副音声)で放送してくれるので非常に感謝しているとおっしゃっていました。国際放送の「NHKワールドTV」のよしあしではなく、日本で働いている、あるいは日本にいらっしゃる外国人からは、日本のニュースの英語での放送は非常に高く評価されているのだと改めて感じました。「NHKワールドTV」を見なくても、夜7時や9時に日本のニュースを英語で見ることができ、それは在外公館として日本をどう見るかという点で大事な情報源なのだとおっしゃっていましたので、参考までにお伝えします。

 (森永理事)

 タブレット端末やスマートフォン用のアプリができて、日本国内でも「NHKワールドTV」をご覧いただけるようになりましたが、しばらく前までは国内で「NHKワールドTV」を視聴していただける機会がありませんでした。今後両方あわせて充実していきたいと思います。

 (上村代行)

 平成26年度国際放送番組編成計画に記載されている「NHKワールドTV」の新設番組「KABUKI KOOL」は、大変おもしろいとは思いますが、「現代的なテーマに沿って演目を選ぶ」という点においては、例えば、三大演目の忠臣蔵などは現代的ではないため外国人は理解しづらいということになります。外国人の視聴者に分かりやすく伝えようとすることで日本人にはおもしろくない演目を発信することになるのではないかと心配しています。歌舞伎は400〜500年間続いている日本の芸能ですので、独特のスタイルがあります。文化の深いところを伝えるというより、現代的で外国人に分かりやすいものを追求していくことで、あまり人気のない演目が紹介されることにはならないのでしょうか。

 (鈴木国際放送局専任局長)

 

 「KABUKI KOOL」については、松竹と話をしているのですが、松竹はパリやニューヨークで海外公演を何度か行われている経験から、古典的な歌舞伎よりも新しい演目を紹介したほうが海外では観客の方の反応がいいとおっしゃっていました。背景の説明はあまり必要ない現代的な物から紹介してほしいという要望があり、まずそこから紹介していく予定ですが、もちろん後半では古典的な演目も鑑賞していただけるように工夫していきたいと思います。

 (上村代行)

 だんだん深くしていきたいということですね。

 (鈴木専任局長)

 入門の段階は現代的なものから始めていきたいと思っています。

 (森永理事)

 これまで松竹は引き受けてくださらなかったのですが、新しい歌舞伎座ができ、東京で今後オリンピック・パラリンピックも開催されることから、歌舞伎の良さをもっと海外に発信していかないと勢いが出ないということで、今回のお話をいただいたという経緯があります。まず現代的なテーマにそって紹介していこうということです。

 (室伏委員)

 私は歌舞伎が大好きで、外国人の方をよくお連れするのですが、イヤホンガイドを皆さん非常に喜ばれます。どんな内容の演目でもよく理解されて、ほとんどの方からまた連れていってほしいと言われます。現代的なものに限らず、イヤホンガイドのような説明を付けることで難しいテーマも理解してもらえると思いますので、ぜひいろいろな演目を取り上げていただきたいと思います。

 

 

3 議決事項

 (5) NHKネットラジオ「らじる★らじる」に関する総務省への再認可の申請について(資料1)(資料2)

 (木田理事)
 現在、NHKのラジオ放送が聴取しにくい状況の改善に資するための補完的な措置として、その放送番組を放送と同時にインターネットを通じて一般に提供する業務として、総務大臣の認可を得て、NHKネットラジオ「らじる★らじる」を実施しています。現行の認可の期限が25年度末に来ますので、再認可の申請に向けて検討を進めてきました。その内容についてご審議いただきたいと思います。
 現行の放送法において、NHKのインターネット利用は、基本的に放送が終了したコンテンツしか提供できないものと規定されています。いわゆる放送同時配信、あるいはまだ放送されていないものや番組と無関係なものの提供はできません。これは映像・テレビに限らず音声・ラジオについても同様です。「らじる★らじる」はラジオ番組を放送と同時にインターネットで提供するもので、実施するには特別に大臣認可を受ける必要があり、こういった認可業務を行う場合は、経営委員会の議決が必要と規定されています。資料に関係規定の抜粋を記載していますので、ご参照ください。
 資料は2つあります。1つは総務省に提出する「認可申請書案」で、もう1つは(参考資料)です。「認可申請書案」の概要については、「らじる★らじる」そのものからご説明したほうが分かりやすいと思いますので、参考資料に沿ってご説明したいと思います。
 まず、2ページは「らじる★らじる」のパソコン、スマートフォン・タブレット端末のアプリ画像です。例えば「R1」をクリックするとプレーヤー画面になり、現在放送しているラジオ第1放送がインターネットで聴くことができる仕組みになっています。
 次に、3ページはこれまでの経緯と現状です。ラジオ放送は電車内やマンション等の建物の中では聞きにくいケースが少なくありません。こういう状況の改善に資するために、「らじる★らじる」は3年前の平成23年9月からことし3月末の期限で、総務大臣の認可を得て提供を開始しました。また、去年5月からは、新たに大臣認可を受けて、大阪、名古屋、仙台の各放送局の地域放送を追加し、配信をしています。2ページのパソコン版の画像の放送局というタブをクリックすると、大阪、名古屋、仙台を選択することができます。提供エリアは日本国内限定で、いずれも全国で聴けます。なお、音声の変換時や利用者側の設定で遅延が生じるため、「時報」と「緊急地震速報」は配信していません。また、政見経歴放送やネット配信の権利がない番組等については、「蓋かぶせ」と呼ばれる措置を行い、その間はお断りコメントと音楽を配信しています。
 続いて、4ページです。現在どれくらいの人に聴かれているのかをグラフで示しています。上の棒グラフがパソコンを使って聞いている方の視聴者数です。青はR1(ラジオ第1放送)、赤はR2(ラジオ第2放送)、緑はFMです。R1は当初3万〜3万5千(1日あたり)だったものが、平成25年以降は3万5千を常に上回るようになっています。R2については、全体的に増加傾向で、利用者のアンケートの結果等から、例えば、基礎英語などの「語学番組」を聴いている利用者が多いと考えられます。FMについては、平成25年はコンスタントに2万5千を超えるようになり、安定して推移しています。下の折れ線グラフはスマホやタブレット端末の、いわゆるモバイル端末で「らじる★らじる」を聴くためのアプリケーションのダウンロード数です。青は「iOS」、赤は「アンドロイド」で、緑は合計です。こちらは急激に伸びています。去年12月末で、約285万件に達しています。パソコン版は人数が把握できますが、スマートフォン、タブレット端末は、聴取のアプリに分析ツールを導入しないと聴取者の動向がよく分かりませんので、これだけ伸びていますが、実際の利用状況は把握できないというのが課題になっています。
 続いて5ページは、利用者の反応です。利用理由は、「ラジオ受信機で聴くより便利」「混信で聴きづらかったから」などの回答が多く、音質の良さ、便利さ、視聴環境の改善のために「らじる★らじる」を利用している人が多いことが分かりました。「このサービスへの満足度」「継続利用意向」はそれぞれ90%を超えており、満足度は高いと分析しています。なお、名古屋、大阪、仙台などの地域への分散も見て取れます。また、「災害等が起きたときに、その他の地域のラジオを聴けるようにしてほしい」という要望は92%に達し、高い期待がうかがえます。
 6ページは、再認可の申請の概要です。以上を踏まえて検討した結果、業務の位置づけ、理由については現行どおりで、「ラジオ放送が聴きにくい状況の改善に資する補完的な措置で」「その効果の検証・確認」として変わりありません。提供する番組やエリアも現行どおりで、新たな地域放送の追加は考えていません。追加する項目として、スマートフォン、タブレット等の携帯端末で調査を行いたいと考えています。ダウンロードされているアプリに1回分析ツールを入れて、いつどれぐらいの方が利用しているかを把握するというものです。この携帯端末の利用実態の調査・分析に新たに取り組みたいと思います。
 7ページにあるように、仕組みとしてはアプリ分析ツールを活用して、利用者がアプリを作動させると、調査データがNHKに送られるという仕組みです。ただ、本調査を行うにあたっては、個人情報保護には十分に配慮し、利用者に対して必要な措置を取ったうえで行いたいと思っています。
 続いて、8ページです。支出見込み・予算規模は、配信回線料などの運用経費や広報・調査費等合わせて、26年度は0.7億円を見込んでいます。期間は、4月1日から翌年の3月31日まで。また、アンケート調査や検証の結果は適宜取りまとめて、NHKのホームページ等で公表することを考えています。以上で申請書の概要の説明を終わります。
 採択の結果、原案どおり議決。

 

 

 以上で付議事項を終了した。

 

 (浜田委員長)
 松本会長の任期が1月24日で終了することに伴い、松本会長の経営委員会への出席は本日で最後になりますので、松本会長からごあいさつをいただきたいと思います。
 (松本会長)
 本日が経営委員会への出席の最後ですので、一言ごあいさつを申し上げます。これまで本当にありがとうございました。3年前の1月15日に会長就任の要請を受け、引き受けた以上はきちんと任務を全うしようと決意し、3年間一日一日を背水の陣のつもりで積み重ねてきました。軸足は2つあり、1つは日本の公共放送の維持・発展により視聴者の期待に応えるということ、もう1つは放送法の原点に厳しく立脚するということです。会長就任後1か月半後くらいに東日本大震災が起きました。NHKの災害対応機能は世界的に優れていると思っています。その災害対応をはじめ、人事・給与制度の見直し、コンプライアンス関連、国会審議などのすべてにおいて原点に立脚することを念頭に対応してきました。それと同時に、1人では何もできませんので、「全員野球」「総合力」「チームワーク」を合い言葉に、役職員全員が共通認識を持って進めてきました。役職員のみならず労働組合も含めてよく対応してくれたと思います。そのおかげで多くのことが前に進みました。少なくとも後退したものはないと思います。経営委員会とは、月2回の経営委員会をはじめ、いろいろな形で接点を持たせていただきありがとうございました。経営委員会と執行部は表裏一体であり、法律的にも双方がNHKの経営に責任を持つ立場だという意味では車の両輪だと思います。思い出深いのは受信料値下げの議論です。私は会長に就任するまで過去の経営委員会における受信料値下げに関する議論についてあまり知りませんでした。受信料の値下げにより減収になるため当然赤字になりますが、減収影響を解消するための改革を完結することで経営責任を全うしようと取り組んできました。民間企業では収入を上げることそのものが経営努力なのですが、受信料値下げによる減収影響を吸収したうえで収入を上げることが課題でしたので、何とかしなければならないということで進めてきました。この点については、経営委員会ともかなり議論しました。論点は3つあったと思います。1つ目は、受信料の値下げは論理的でなければならないということです。2つ目は、経営責任を持つ立場として耐えられる形のものでなければならず、受信料の全額免除や災害対応への責任を確実に盛り込んだうえで実行するということです。3つ目は、減収影響をどのようにして解消するかということです。これまで全役職員で取り組んできた結果、平成25年度は経営計画策定時に想定した赤字予算を収支均衡予算とし、現時点では黒字基調で進んでいます。仮に、現時点でもし赤字であれば、経営委員会はどうして受信料の値下げを決めたのか、執行部は赤字になるのにどうして受信料値下げに応じたのかなど、経営責任を問われかねない厳しいテーマだったと思います。現在は収支改善を見える形で進めることができ、本日26年度予算についても議決していただきました。私はいろいろなものを見る場合に、この事柄のベクトルはこの後下がっていくのか、横ばいなのか、あるいは上向きなのかを見るようにしており、少なくとも下がったものについては手当てし、いい形になるように修正してきました。全職員がその気になって頑張ったからできたことだと思います。そういう状況の中で次期会長にバトンタッチでき、自分なりに大変満足しています。
 これからも引き続き、執行部を含めてよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 (浜田委員長)
 私からも少しお話させていただきます。まず、お疲れさまでした。そしてありがとうございました。この3年間のNHK経営は、松本会長の強いリーダーシップのもと、全員野球で取り組まれてきたと思います。就任直後に発生した東日本大震災の対応においても、NHKは最大限の力を発揮し、ニュース・番組などにおいて国内外から高い評価を受け、視聴者の期待に応えるものだったと思います。また、この3年間は民間企業に例えるならば、実質的には増収増益ということです。すなわち受信料値下げによる事業収入の減少に対して、「プロジェクト810」をはじめとする営業努力、経費削減、人事給与制度の適正化等々の経営改革により、3か年で400億円強の収支改善を実現し、3か年とも事業収支差金を計上することができました。経営者としてはこれだけでも非常に立派な勲章だと思いますが、それに加えて14の指標による半期ごとの世論調査という検証システムも導入されました。放送法の趣旨にのっとりNHKが公共放送としての使命・役割を果たしているかどうかという客観的評価の把握に努力されたと思います。NHKの番組や報道については、視聴者の皆さまからさまざまなご意見をいただきますが、NHKの番組や報道を検証するうえで、14指標の世論調査は唯一数値化された指標だと思います。それを導入されたことについては、正確に正しく評価したいと思います。これから少し時間的な余裕ができるでしょうから、NHKの番組をもっとたくさん見ていただき、厳しく温かくNHKを応援していただければと思います。本当にお疲れさまでした。ありがとうございました。
 (松本会長)
 ありがとうございました。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

 平成26年1月28日    

浜 田 健一郎

 

上 田 良 一