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第1195回
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平成25年9月13日(金)公表
  ※4 その他(1) 平成26年度予算編成の基本的な考え方・スケジュール は平成26年1月31日(金)公表

日本放送協会第1195回経営委員会議事録
(平成25年8月27日開催分)

第1195回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1195回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成25年8月27日(火)午後1時35分から午後4時35分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  浜 田 健一郎 上 村 達 男 石 原   進
    井 原 理 代   上 田 良 一 大 滝 精 一
    美 馬 のゆり   宮 田 亮 平 室 伏 きみ子
    渡  惠理子  
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔役  員〕

  松 本 会 長 小 野 副会長 塚 田 専務理事
  吉 国 専務理事 石 田 専務理事 木 田 理 事
  久保田 技師長 板 野 理 事 上 滝 理 事
  福 井 理 事 下 川 理 事 森 永 理 事

 

 

<場   所>
放送センター  22階経営委員会室 21階役員会議室

 

<議   題>

○「視聴者のみなさまと語る会」の開催について

○会長任命に関する指名部会

○研究会「放送と通信の融合について」

 

付議事項

1 委員長報告

 

2 監査委員会報告

 

3 報告事項

 (1) 契約・収納活動の状況(平成25年7月末)(資料)

 (2) 予算の執行状況(平成25年7月末)(資料)

 

4 その他

 (1) 平成26年度予算編成の基本的な考え方・スケジュール(資料)

 (2) NHKワールドTV受信環境整備の進捗について(資料)

 

その他

 ○(参考報告)「NHK立入禁止マンション」への対応について

 

 

 

議事経過

 

 浜田委員長が開会を宣言し、経営委員会を開催。

 

○「視聴者のみなさまと語る会」の開催について
 「視聴者のみなさまと語る会」を平成25年11月9日に山口放送局で開催することを決定した。

 

○会長任命に関する指名部会
 会長任命に関する指名部会を開催した。

 

<会長、副会長、専務理事、技師長、理事入室>

 

 本日の付議事項および日程について説明。第1194回(平成25年7月23日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成25年8月30日に公表することを決定した。

 

 

1 委員長報告

 (浜田委員長)

 経営委員の体制についてお知らせします。すでにお知らせしているとおり、松下委員は8月13日付で経営委員を退任されました。したがいまして当面の間、11人の経営委員による経営委員会の体制となりますので、ご承知おきいただきたいと思います。

 

 

2 監査委員会報告

 (井原委員)
 放送法に規定されている監査委員会が選定する監査委員についてご報告します。7月23日開催の前回の経営委員会において、新たに上田委員が監査委員に任命されましたので、8月26日開催の監査委員会で、放送法に規定されている調査権、報告徴収権、並びに経営委員会への報告義務を持つ選定監査委員として上田委員を選定しました。その結果、これまでの渡委員、井原に加えて上田委員の3名が選定監査委員となります。以上です。

 

 

3 報告事項

 (1) 契約・収納活動の状況(平成25年7月末)(資料)
 (2) 予算の執行状況(平成25年7月末)(資料)

 (浜田委員長)

 報告事項 (1)、(2)については、特段の質問等がなければ、資料配付のみで報告に代えさせていただきたいと思います。

 

 

4 その他

 (1) 平成26年度予算編成の基本的な考え方・スケジュール(資料)

 (福井理事)
 平成26年度予算編成の基本的な考え方と今後のスケジュールについてご説明します。なお、26年度予算編成に関する資料については、来年1月に26年度予算の議決をいただいた後での公表とさせていただきますので、よろしくお願いします。
 お手元の資料をご覧ください。1ページに26年度予算編成の基本的な考え方をまとめています。
 26年度は、3か年経営計画の最終年度として、経営目標を確実に達成させる施策を織り込んだ予算を編成します。さらには、南海トラフ地震による被害想定の見直しなど、経営計画策定時以降の社会状況の変化を踏まえ、いかなる災害にも対応できるよう公共放送の機能強化の前倒しや拡充を実施するほか、スーパーハイビジョンやハイブリッドキャストといった新しいサービスへの対応を積極的に取り進め、公共放送の使命と責任をいっそう果たしていきます。収支については、受信料をはじめとする収入の増加を図るとともに、経費の削減により支出を抑制して収支を改善させます。これにより、経営計画策定時に想定した10億円を上回る事業収支差金の確保を目指します。この収支両面にわたる経営努力により確保した事業収支差金については、老朽化が進む渋谷の放送センターの建て替え等に備えて、全額を建設積立金に繰り入れる考えです。
 2ページは、参考として、経営計画に織り込んでいる26年度の主な重点事項を記載しています。
 3ページをご覧ください。3か年経営計画で想定した収支と24年度決算および25年度予算との比較です。経営計画の収支表で赤い線で囲んでいるのは、計画策定時に見込んだ26年度の収支です。経営計画の想定では、事業収入6,549億円、事業支出6,539億円とし、事業収支差金は赤い丸で囲んだ10億円としていました。26年度の予算編成にあたっては、収入の増加と支出の抑制により収支を改善させて、10億円を上回る事業収支差金の確保を目指します。また、事業収支差金については、全額を建設積立金に繰り入れ、放送センターの建て替え等に向けていっそう備えていきます。なお、経営計画と24年度決算および25年度予算との比較では、決算・予算の収支表の右側に記載していますが、この2か年で収支を242億円改善しています。これは、全組織を挙げた業績確保の前倒し等による受信料の増収や支出の抑制等により、24年度決算で195億円、25年度予算では47億円の収支改善となったことによるものです。その下は、建設積立金と財政安定のための繰越金の状況です。建設積立金の25年度末の見込みは779億円となり、23年度と24年度の決算による収支改善額を繰り入れたことで、経営計画に対して379億円の増となっています。また、財政安定のための繰越金は、25年度末で838億円となる見込みです。25年度に経営計画で想定した47億円の赤字を改善して収支均衡予算としたこと等により、繰越金を使用しなかったため、経営計画に対して69億円の増となります。
 続いて、4ページは受信料収入の見通しについてです。ページの左側に棒グラフで示していますが、この7月までの営業業績などを踏まえると、25年度は予算に対して増収となる見込みです。26年度は、25年度予算の6,221億円に対して、経営計画で想定した126億円の増収を加えた6,347億円以上の収入を見込んでいます。これは、経営計画で想定した6,305億円に対して42億円以上の増収となります。受信料収入については、上半期の営業業績等をもとに25年度の収入を見込み、それを踏まえて26年度の予算額を策定していきます。ページの右側の表は、ことしの7月末時点の受信契約件数増加の状況です。支払数は7月末で28万件の増加となり、予算の64万件に対して進捗率は44.5%になっています。このうち、契約総数は22万件の増加、未収数は6万件を削減しています。衛星契約については32万件の増加となり、予算の69万件に対して進捗率は46.7%になっています。表の下に括弧で書いていますが、7月末時点の標準進捗率は33.3%ですので、いずれの営業業績も標準進捗率を大きく上回っており、増収に向けて前倒しの業績確保に努めています。表の一番右側は、経営計画で想定した26年度の営業目標です。支払数は25年度と同じ64万件の増加、このうち契約総数は25年度の目標より3万件多い51万件の増加、未収数は13万件を削減する想定です。また、衛星契約は68万件の増加を想定しています。これにより、支払率は75%、収納率は97%となり、いずれも25年度に対して1ポイント改善させる想定です。
 5ページは、建設費の想定です。右側の棒グラフで示していますが、経営計画では26年度の建設費の規模を720億円と想定していました。このうち公共放送の機能強化を除く経常的な建設費については、赤の点線を引いていますが、仕様の見直し等を行い600億円以下に抑制する考えです。その一方で、公共放送の機能強化については、経営計画で121億円を見込んでいましたが、南海トラフ地震による被害想定の見直しなどに対応して、計画の前倒しと拡充を検討します。また、スーパーハイビジョンに関して、25年の5月に総務省の「放送サービスの高度化に関する検討会」で、平成28年に実用化試験放送を開始するとしたロードマップが示されており、NHKとしては、これに対応してスーパーハイビジョンの設備整備を取り進めていきます。公共放送として以上のことに積極的に取り組んでいくため、26年度の建設費の予算の総額は、経営計画で想定した720億円に対し、20億〜30億円程度を増額することを検討しています。
 続いて、6ページは建設積立金への繰入れについてです。老朽化が進む放送センターの建て替え等の財源を計画的に確保するため、26年度は事業収支差金の全額を建設積立金に繰り入れることを織り込んだ予算を編成します。予算の段階で事業収支差金を建設積立金へ繰り入れることについては、外部の会計の専門家5名で構成される経理制度検討委員会に諮問し、会計制度上の問題はないことの了承を得ています。経理制度検討委員会での見解については、ページの下の囲みにまとめています。見解の2つ目に記載していますが、委員会からは、新放送センター建設のスケジュールや建設費規模の想定なども明らかにしたうえで、建設積立金に繰り入れるのが望ましいとの意見をいただいています。新放送センターの建設については、現在、具体的なスケジュールと建設費規模の検討を進めており、10月以降の予算審議の中で経営委員会にもご説明をする予定としています。
 最後の7ページは、26年度の予算編成に関する経営委員会の今後のスケジュールです。来年1月まで、本日を含めて6回の審議を予定しています。次回の10月8日には、予算編成の考え方について、重点項目と課題、25年度の収支見通し等を踏まえたうえでの26年度の収支構造の想定をご説明します。その後、11月26日には、「予算編成方針」として、予算編成にあたっての具体的な考え方や主な予算科目の概要等についてご説明します。12月10日は、「収支予算編成要綱」をご説明します。ここでは、予算編成方針に基づいて策定した予算の科目別内訳を中心に、重要な事項の予算を示し、この議論をもとに予算書を作成していきます。12月24日の「政府予算案に基づく収支予算の調整等」では、国際放送交付金の予算額に変更がある場合等の予算の調整についてご説明します。これらの審議を踏まえて、年明けの1月14・15日の経営委員会で、放送法施行規則の記載事項に沿って作成した「収支予算、事業計画及び資金計画」、いわゆる予算書を審議、議決していただきたいと考えています。
 以上が平成26年度予算編成の基本的な考え方と今後のスケジュールです。よろしくご審議くださいますようお願いいたします。

 (上田委員)

 今ご説明いただいた平成26年度の予算編成における一つの大きな特徴というか課題は、6ページに記載されている事業収支差金を建設積立金に繰り入れるということだと思います。経理制度検討委員会において会計制度上は問題ないという見解が示されたことは結構なのですが、「建設積立金への繰り入れは、新放送センター建設計画の外部説明(想定するスケジュールや建設費規模など)とあわせて実施するのが望ましい」との見解に対する対応は、今どのように考えていらっしゃるのかについてお伺いしたいと思います。

 (福井理事)

 想定する具体的なスケジュールと建設費の総額については10月中には説明できるように今検討を進めています。直近に新社屋を建てた在京民放のケースを参考に現時点に置きかえた形で新放送センターに必要な面積を算出し、それをもとにした建設費に加えてその段階で必要な放送設備なども含めて総額を算出する予定です。

 (上田委員)

 新放送センターの建設計画そのものに対する賛否もあるでしょうし、その財源をどのように確保するのかなど、いろいろ意見が出されると思います。これに対する対応はよく詰めてからでないといろいろな問題をじゃっ起するのではないかと思いますのでよろしくお願いします。

 (室伏委員)

 5ページの「建設費の想定」について確認したいことがあります。「東海・東南海・南海地震による被害想定の見直し等に対応した公共放送の機能強化整備の前倒し・拡充」と記載されていますが、これへの対応は、先ほどご説明いただいた、26年度の建設費の予算総額を経営計画で想定した720億円に対し20〜30億円程度増額することに相当するのですか。また、この金額はどのような考え方で算定されているのでしょうか。

 (福井理事)

 経営計画策定時以降に、南海トラフの地震の被害想定の見直しが示されましたので、建設費を増額させる考えです。機能強化整備の前倒し・拡充に加えて、スーパーハイビジョンのロードマップに対応する設備整備の対応に30〜40億円を想定しています。経営計画で想定した経常的な建設費600億円を圧縮して、機能強化とスーパーハイビジョンを含めた投資を行い、今のところ総額で750億円程度の建設費を想定しています。

 (室伏委員)

 分かりました。災害に対する機能強化の前倒し・拡充に加え、さらにスーパーハイビジョンに対応する設備整備に30〜40億円が拡充されると、経常的な建設費はかなり圧縮されると思いますが、それは大丈夫なのですか。

 (福井理事)

 これから詳細を詰めていく予定で、会館建設は経営計画の段階では76億円となっていますが、実行上26年度は50億円規模で対応できると想定していますので、それで20億円ぐらいの財源が捻出できます。

 (室伏委員)

 分かりました。

 (上村代行)

 経理制度検討委員会の見解は私もそのとおりだと思いますが、このメンバー構成は少し会計の専門家に偏り過ぎているのではないかと思います。企業会計、開示のほとんどは制度会計で、これらは会社法と金融商品取引法に基づき規律されているものです。およそ会計一般がどのようなことにも通用するというものではないはずなので、1人か2人ぐらいは、予算やディスクロージャーなどの専門性を持っている方が入ってもいいのかなと思いました。この見解自体に何か意見があるということではないのですが、少しそういう印象を持ったということだけお伝えしておきます。

 (福井理事)

 そこは十分検討していきます。

 (石原委員)

 先ほど上田委員も質問された6ページに記載されている経理制度検討委員会の見解についてです。今回初めて建設積立金について経理制度検討委員会に諮問したということなのですか。というのは、新放送センターの建設積立は以前から実施していますよね。今回どうして改めて出てきたのですか。

 (福井理事)

 これまでも何回か審議していただいていますが、それは収支改善額を決算段階で建設積立金に繰り入れるという方式や、一時的多額の固定資産の売却益があった場合に建設積立金に繰り入れることについてでした。予算の段階で事業収支差金の全額を建設積立金に繰り入れるということはこれまで提案したことはありませんでしたので、今回改めて諮問しました。

 (石原委員)

 分かりました。予算の段階で繰り入れることから諮問したということですね。

 (福井理事)

 そういうことです。

 (石原委員)

 必要経費として明らかに見るということですね。

 (松本会長)

 これまで内部には、一生懸命努力した結果はセンターの建て替えにつながるという話をして取り組んできました。決算時に事業収支差金を建設積立金に繰り入れるということは従来から行ってきており、それに向かって頑張ってきました。26年度は、予算の段階で明確にして、それ以上に頑張るということです。それによりモチベーションが高まると思っています。会計制度上それができるのかどうかについて確認が必要であったため、経理制度検討委員会に諮問し、会計制度上は問題ないという見解をいただいたということです。ただし、新放送センターの建設については、今はまだ具体的な計画は立っていません。従ってどういう形で積立を検討するかというと、平米単価は民放キー局が建てたものを参考にしながら、必要財源規模を想定したうえでこれくらいの積立金が必要ということを予算の段階で明記したいということです。予算の段階で明記するという方法を取って頑張っていくということです。今までは新放送センターを旗印として取り組んできましたが、26年度は旗を柱にしようというのがこの考え方です。

 (石原委員)

 そうすると26年度にどれくらいの建設積立金を予算化するかについてはこれから検討するということですね。全体としてどれぐらいの費用がかかりそうだと考えているのですか。

 (松本会長)

 26年度の予算作成段階においては、25年度上半期に相当頑張って収入を上げていますので、それを踏まえてどれくらい積立できるかを試算することになります。全体の費用はこれから試算しますが、先ほど上田委員がおっしゃったような問題もありますのでそれらを踏まえ、建設積立金を予算の段階で組み込まなければいけません。いずれにせよこれまでの積立金ではまだ足りませんので、これくらいの範囲内であれば建設積立金に繰り入れられるというイメージを出したいと考えています。

 (宮田委員)

 お聞きしたいことがあります。4ページの「受信料収入の状況」に記載されている25年度の増収の状況については大したものだなと思いながら資料を見ていました。25年度7月末までの時点では支払数、衛星契約数ともに標準進捗率を上回っており大変すばらしいと思いますが、標準進捗率33.3%という数値はどのような根拠で算出されているのかについて教えてください。

 (福井理事)

 これは12分の4ということで、4〜7月分は12か月分の4か月ということです。

 (松本会長)

 今、受信料値下げによる減収の影響がありますので、24年度も前倒しで収入を確保しましたが、25年度も減収分を早くリカバーして、その後の見通しを早く立てたいということです。

 (宮田委員)

 分かりました。

 

 (2) NHKワールドTV受信環境整備の進捗について(資料)

 (森永理事)

 外国人向けテレビ国際放送「NHKワールドTV」の受信環境整備について、9月にかけて複数の案件が実現の運びになりましたので、ここで進捗状況をまとめてご説明したいと思います。
 お手元の資料をご覧ください。1ページに、今後1週間以内に放送が始まる地域を含め25年度新たに整備した地域を、地図上に一覧で示しました。
 2ページは、それらの地域における整備の特性をいくつかのパターンに分けて説明を加えました。「より視聴してもらえるプラットフォームの確保」と銘打ちましたように、25年度の設備推進にあたっては、視聴可能世帯数のさらなる上積みもさることながら、より身近に視聴してもらうことを重視して事業者を選定し交渉を重ねてきました。このうち、アメリカ・ロサンゼルスとタンザニアにおいては、有力な地上デジタル局でチャンネルを確保する形で整備を推進しました。ロサンゼルスでは、地元の大手公共放送の地デジチャンネルを借り上げて、8月に24時間放送が始まりました。主要なケーブル局などでも再送信され、約330万世帯が視聴可能となっています。アメリカについては、現経営計画の重点項目として拠点都市にターゲットを絞って整備に取り組んできました。その結果、昨年4月のニューヨークに続いて、今般ロサンゼルスでもサービスが始まり、東西の拠点都市で24時間放送の実現にこぎつけたものです。タンザニアでは、国内最大手の民放でチャンネルを確保し、放送を開始しました。同国で地上デジタル放送を視聴できる世帯はまだ限定的ですが、「NHKワールド・ラジオ日本」を通じてすでにNHKの知名度は高く、今後の進展に期待しています。衛星放送が広く普及しているオーストラリアと中東・北アフリカ地域においては、これまで使用していた衛星から、より多くの家庭に普及している衛星への切りかえを実施しました。オーストラリアでは、メディア王ルパート・マードック氏が率いる最大手の衛星サービス(フォックステル)を通じた放送が実現します。国内で唯一全国をカバーする有料テレビ事業者と組むことで、視聴可能世帯は40万から200万世帯へと一気に増加します。イギリス、イスラエルでは、すでに地域放送を用いた放送を実施してきましたが、今般それに加えてケーブルテレビでも放送が始まることになりました。ともに、それぞれの国で最大手のケーブルテレビ事業者です。より多くの視聴者に身近な手段で視聴してもらうことで、いっそうの知名度の向上を図りたいと考えています。
 こうした取り組みの結果、視聴可能世帯は年度当初よりも約2,000万世帯増え、3ページに記載しているように、世界約140の国と地域、約2億6,500万世帯で「NHKワールドTV」が視聴可能となる見通しです。ここ数年は着実に増加傾向にあります。振り返ってみると20年3月「NHKワールドTV」の放送開始時の視聴可能世帯は約270万世帯でした。それと比べると約100倍になっており、21年3月は1億1,000万世帯でしたので、2倍以上になりました。
 今後については、来年1月に全米65都市に配信網を持つIPTV事業者でサービスが始まる予定であるほか、これまで未参入だったカナダでも、大手IPTV局を通じて、初めて「NHKワールドTV」の放送が始まります。一方で、視聴可能世帯の増加とともに、より多くの方々に実際に見てもらうための施策が年々重要となっています。このため、可能な限りプロモーション活動を実施しています。例えばロサンゼルスでは、8月5日の放送開始に合わせて、テレビ・ラジオ・有力紙を通じて、約2週間にわたり「NHKワールドTV」を集中的に宣伝し、認知度の向上に取り組みました。国際放送のフィールドは果てしなく広く、当然のことながら限られた予算でできることには限界があります。経営計画に沿って優先順位を付けながら、効率的に推進する必要があります。この点にしっかり留意して、今後も「NHKワールドTV」のブランド力の向上に取り組みたいと考えています。以上です。

 (上田委員)

 国際放送に関しては、大きな経営課題として、経営委員会が諮問委員会を設置し、私が経営委員になる前からいろいろ議論されてきたテーマだと思います。今、森永理事からご説明があったように、ここ数年で視聴可能世帯は急激に増加しています。私も毎日可能な限り「NHKワールドTV」を見ていますが、コンテンツそのものもここ数年で大きく変わってきていると思います。また、例えば海外においてプロモーションを展開する等、できるだけ多くの方に認知していただくためにいろいろ努力されていますし、森永理事は国際放送を担当されてまだ期間が短いのかもしれませんが、大変努力されていることはよく理解しています。しかし、私自身が前職で国際的なビジネスに携わっていたこともあり分かることなのですが、一般的には、海外のホテルに宿泊した際テレビを見ると、NHKは「おかあさんといっしょ」くらいしか放送していないという認識が持たれているのです。NHKの国際放送がどうあるべきかについてはまだ道半ばで、オールジャパンで検討すべき問題はいろいろあるとは思いますが、少なくとも現状NHKがここまで取り組んできているということをご理解いただいたうえで議論されないと、知識や情報にいろいろ差がある中では本質的な議論に至らないまま判断が下される可能性もあると思います。すでに努力されていることは百も承知のうえで申し上げるのですが、ぜひ引き続きご努力いただければと思います。微力ながら我々も、例えばどうすれば日本で「NHKワールドTV」が見られるのかについて考えながら、ご興味のある方に宣伝していこうと思いますので、ぜひよろしくお願いします。そういう感想を持っていることをお伝えします。

 (森永理事)

 エールをいただきありがとうございます。私が担当理事になって以来、国際放送局の職員と話しているのですが、国際放送は幅広いマーケットでの取り組みが必要であり、ただし予算には限りがあります。それでもできることはすべて何でも実施してみようという姿勢で一丸となって取り組んでいます。この4年間を振り返ると、特に不足していたと感じることは、ご指摘のとおり国内におけるプロモーションです。いまだに「どうして『おかあさんといっしょ』を放送しているのか」というご質問をいただくのは、まず、NHKの国際放送は、外国人向け英語放送の「NHKワールドTV」と、海外の在留邦人向けに日本語放送を主体とする「NHKワールド・プレミアム」の2本立てになっていることすら、十分ご理解いただけていないからだと思います。これは本当に反省すべき点で、今一生懸命いろいろなところに出向いてお話ししています。国内で「NHKワールドTV」を見ていただくために、一部のケーブルテレビ局とIPTV等に配信していますが、スマートフォンとタブレット端末用の視聴用のアプリケーションでも視聴できます。ダウンロードの方法などについては簡単なパンフレットを作成して、各企業や大学などに配布したいと思っています。今後も努力していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 (美馬委員)

 経営課題の一つとして、国際放送を充実していくということは分かりますが、これは今後収入につながっていくでしょうか。

 (森永理事)

 外国人向け英語放送「NHKワールドTV」は無料で放送していますので収入にはなりません。日本人向けの「NHKワールド・プレミアム」については、ニュースを中心とした1日約5時間は無料で放送しています。残る19時間については、有料サービスです。アメリカに日本語放送をしている「テレビジャパン」やロンドンを中心にヨーロッパに日本語放送をしている「JSTV(日本語衛星放送)」には、民放とともにNHKは子会社を通じて番組を有料で提供していますので、それらはNHKの副次収入になります。

 (美馬委員)

 そうすると、例えば今後、限られた予算の中でさまざまな活動を行っていく際、チャンネルの借り上げなどにかなりの費用がかかると思います。何を目的としてNHKがこの活動を行うのかについて確認させてください。

 (森永理事)

 NHKの国際放送は、「NHKワールドTV」「NHKワールド・プレミアム」「NHKワールド・ラジオ日本」「NHKワールド・オンライン」の4つがありますが、あくまで日本の文化や状況を世界の方々にご理解いただくということが主目的です。

 (宮田委員)

 今、大学では国際化を進めたいという動きがあります。日本の文化やいろいろなものを映像で流していますよね。若者たちがなるほどと理解できる英語力を身に付けるうえでは、これほどいいチャンスはないと思います。ただし、見られるまでには複雑な手順が必要ですので、それは改善できないのでしょうか。もっと簡単に家庭のテレビで見ることはできないのだろうかと思います。

 (森永理事)

 今の制度のもとでは、英語の国際放送は国内の一部のケーブルテレビでご覧いただくことができます。現在最大手のケーブル会社とも交渉を進めています。現時点ではっきりとは言えませんが、近い将来、ケーブルテレビの相当数でご覧いただけるようになると期待しています。また、今の若い方々は、スマートフォンやタブレット型端末をお持ちですので、それらで簡単にご覧になれます。ニュースのテキストもご覧いただけますので、英語の勉強にも役立てていただけると思います。

 (松本会長)

 現在スマートフォンやタブレット型端末にNHKが無料で提供しているアプリがあります。それをダウンロードしていただくと簡単に「NHKワールドTV」が視聴できます。日本の学生であれば操作も容易にできると思います。

 (宮田委員)

 ありがとうございました。

 

 

 以上で付議事項を終了した。

 

 

○(参考報告)「NHK立入禁止マンション」への対応について

 (浜田委員長)

 前回の経営委員会で石原委員よりご指摘いただいた、一部のマンションの入り口に「NHK立入禁止」と印刷したプレートが掲出されている件への対応状況等について、福井理事より説明があります。
 (福井理事)
 それでは、ご報告します。問題になっているマンションはオートロックのワンルームマンションです。プラスチック製の「NHK、新聞、営業セールスを含む各種勧誘等を目的とした館内への立ち入り及びインターホンの使用を禁ずる」と印刷したプレートが掲出されており、その記載の下に不動産管理会社の名前が書かれています。このようなマンションへの現在の対応状況としては、まずNHKとしてこういうマンションを把握した場合、管理権者・管理会社または管理組合に対して、掲出物の撤去を要請します。また、訪問によらない施策を実施します。たび重なる要請にも応じてもらえない場合には、NHKの訪問活動の正当性について説明したうえで、訪問活動を実施していくこととなります。
 続いて、大都市圏を中心に今増加しているオートロックマンションの対策の困難性についてご説明します。まず1点目は、居住者の把握が非常に困難だということです。郵便受けに名前等を表示していないケースも多くありますし、居住の有無や対策対象者の氏名を把握することは非常に困難です。2つ目は、管理人の対応で、管理人が常駐しているところはNHKの立ち入りを拒否する場合や、立ち入りに毎回許可が要るケースがあります。3つ目は、オートロックマンションの場合は入り口にインターホンがあり、個別の部屋を訪問するためには、まず入り口でインターホンを押して、そこの住居の許可を得ることが必要です。その後訪問して、一旦面談が終わるとマンションの外に出て、もう一回インターホンを押して次の部屋に行くという、非常に煩雑な行動が必要となります。仮にマンションの入り口でインターホンを押しても、一方的に切断されるケースも多くあります。これらオートロックマンションについては、非常に営業の対策が困難だという状況です。マンション対策例として、現在は不動産会社に、契約取次業務の委託を実施しており、これは分譲も賃貸マンションでも実施しています。オートロックマンション対策は非常に困難性を持っており、これが大都市圏の支払率の低い一因になっているという状況です。

 

<会長、副会長、専務理事、技師長、理事退出>

 

<経営委員による経営委員会>

 

○研究会「放送と通信の融合について」
 放送と通信の融合に関する現在の取り組み状況等について塚田専務理事から説明を受けた後、質疑および意見交換を実施した。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

 平成26年1月28日    

浜 田 健一郎

 

井 原 理 代