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第1008回
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平成18年1月6日(金)公表

日本放送協会第1008回経営委員会議事録
(平成17年12月13日開催分)

第1008回 経 営 委 員 会 議 事 録
<会 議 の 名 称>
第1008回経営委員会
 
<会 議 日 時>
平成17年12月13日(火)午後3時から午後5時30分まで
 
<出  席  者>
  〔委  員〕
  石 原 邦 夫 堀 部 政 男 深 谷 紘 一
    武 田 國 男   小 丸 成 洋 梅 原 利 之
    保   ゆかり   小 柴 正 則 一 力 徳 子
    小 林  緑   佐々木 涼 子 菅 原 明 子 
    (◎委員長 ○委員長職務代行者)
  〔監  事〕
  古 閑 監 事 坂 野 監 事 菅 野 監 事

  〔役  員〕
  橋 本 会 長    
  原 田 理 事 畠 山 理 事 小 林 理 事
  中 川 理 事  小 野 理 事 衣 奈 理 事
  石 村 理 事 西 山 理 事  
 

<場   所 >
放送センター  21階役員会議室、22階経営委員会室

< 議   事 >
 議事に先立ち、経営委員のみによる打ち合わせを実施。経営委員の退任慰労金制度を平成17年12月13日付で廃止することを確認。続いて、石原委員長、堀部委員長職務代行者の委員任期満了に伴い、次回経営委員会で委員長が互選されるまでの間、必要な場合に委員長の職務を行う者として、経営委員に再任が内定している現石原委員長とすることを確認。その後、石原委員長が開会を宣言し、本日の付議事項および日程について説明。第1007回経営委員会(平成17年11月22日開催)議事録を承認し、所要の手続きを経て平成17年12月16日に公表することを決定。

 

付議事項
1 議決事項
 (1) 経営委員会委員退任慰労金の廃止について

2 会長報告
 業務概況について

 

3 議決事項
 (2) 土地・建物の売却について

 

4 報告事項
 (1) 土地・建物の売却について
 (2) 平成19年度定期採用スケジュールについて
 (3) 地上デジタルテレビジョン放送局の開局について
 (4) 営業業績(平成17年度11月末)について
 (5) 財政の現況(平成17年11月末)について

 

5 審議事項
 (1) 平成18年度国内放送番組編集の基本計画について
 (2) 平成18年度国際放送(テレビジョン・ラジオ)の放送番組編集の基本計画について
 (3) 平成18年度予算編成要綱について

 

6 その他
 (1) デジタル時代のNHK懇談会(第8回)の概要について
 (2) その他

 

議事経過
1 議決事項
 (1) 経営委員会委員退任慰労金の廃止について
 (委員長)
 経営委員の現在の職務実態と処遇体系を比較して考えた場合、現行制度の妥当性はどうかという観点から、これまで経営委員間で論議を重ねてきましたが、経営委員会の改革の一環として、みずからの判断により、経営委員が退任したときに支払われる退任慰労金について、本日平成17年12月13日付で廃止することといたします。
 全会一致で原案どおり議決。
 (委員長)
 今後とも、経営委員会は、いっそうのガバナンスの強化、透明性の向上に向けた自らの改革を進め、その責務を果たしていきます。また、今後の3か年計画あるいは平成18年度の収支予算・事業計画には、経営委員会としても積極的にかかわっていきます。そして、経営委員会の改革について、その中に盛り込めるよう検討していきます。

 

2 会長報告
 業務概況について
 (橋本会長)
 ABU(アジア太平洋放送連合)の第42回総会が11月21日から28日までの間、ベトナムのハノイで開催されました。3日間の全体会議とそれに先立つ関連会議に、37の国と地域における68の放送機関や国際機関などの代表者約400名が参加しました。ABUでは、昨年12月のスマトラ沖地震とインド洋大津波の発生以降、災害放送に関するさまざまな取り組みを現場レベルで行ってきましたが、この場で、「自然災害と危機〜放送の役割と責務」についてあらためて議論を行いました。NHKからは、佐藤国際放送局長が、「災害防止手段としての放送」というテーマで、NHKがこれまで蓄積してきた災害緊急報道のノウハウなどについて解説したほか、日本で運用中の緊急警報放送を紹介しました。また、テレビ・ラジオ番組の中から優れた作品に贈られるABU賞は、NHKは「ラジオドラマ番組部門」と「テレビこども青少年番組部門」で本賞を受賞しました。空席となっていたABU会長には、選挙の結果、私が選出されました。NHKとしても現在たいへん重要な時期でありますが、アジア太平洋各国においても放送のデジタル化など新しい技術を導入する中で、NHKにはそのリード役を期待されています。私は内外の役割をともにしっかりとやっていく所存です。来年のABU総会は、11月1日から9日まで、中国の北京で開催される予定です。

 

3 議決事項
 (2) 土地・建物の売却について
 (衣奈理事)
 重要な不動産の処分についてお諮りします。東京本部における2件の非現用不動産(土地・建物)について、一般競争入札を実施した結果、売却先が決定しました。本日、議決をいただければ、売買契約の締結を行います。具体的には、本部・富士見台寮跡地である東京都中野区上鷺宮五丁目712番1ほかの宅地6,185.78m2(1,871.19坪)を3,283,009千円(530千円/m2)で、本部・荻窪寮跡地である東京都杉並区本天沼二丁目684番2ほかの宅地1,851.95m2(560.21坪)を1,400,020千円(755千円/m2)でそれぞれ売却することといたします。

(委員長)  以上の土地は非現用不動産であり、資産の切り売りではない、NHKとして今後活用する見込みがないということですね。
(役 員)  そのとおりです。
(委 員)  非現用不動産の処分方針があればお聞かせください。
(役 員)  今後使用する見込みのない舎宅・寮、中継所などの土地は全国にも多数存在します。非現用不動産については、会計検査院から一定の処分を求められた経緯もあり、今後も計画的に処分していきます。
(委 員)  売却益が資金繰りの中に組まれると、これが何に使われたのかわかりにくくなります。土地の売却益は、視聴者の皆さまに見える形で還元されるべきだと思います。
(役 員)  売却益は事業収入に計上し、結果的には国内放送費以下の事業支出に充てられます。
(委 員)  非常にすばらしい番組を制作するとか、将来への記録を残すなど、成果が視聴者の皆さんから評価されることが大切です。
(委員長)  土地の売却については、以前からも指摘がありますが、今後は以上の意見も踏まえた対応をお願いします。

 採決の結果、原案どおり議決。

 

4 報告事項
 (1) 土地・建物の売却について
 (衣奈理事)
 今回、非現用不動産(土地・建物)3件について、売却手続きを取り進めましたので報告します。まず、本部・竜土町分館土地である東京都港区六本木七丁目208番64の宅地113.72m2(34.40坪)を130,778千円(1,150千円/m2)で、横浜・妙蓮寺寮跡地である神奈川県横浜市港北区仲手原一丁目483番1の宅地423.31m2(128.05坪)を200,200千円(472千円/m2)で、札幌・翠明荘(旧職員クラブ)跡地である北海道札幌市豊平区平岸一条二丁目63番1ほかの宅地1,161.14m2(351.24坪)を166,850千円(143千円/m2)でそれぞれ売却することといたします。

 

 (2) 平成19年度定期採用スケジュールについて
 (小野理事)
 平成19年度の定期採用スケジュールについては、前年度とほぼ同じスケジュールを予定しており、本年12月下旬にはNHKのホームページで採用の周知を開始します。なお、採用人数については、2月に要員計画とあわせてお諮りするため、本日は日程のみの報告となります。

 

 (3) 地上デジタルテレビジョン放送局の開局について
 (西山理事)
 設置計画に基づき建設を取り進めている地上デジタルテレビジョン放送局のうち、仙台、秋田、山形、盛岡、福島、青森の総合親局および併設する教育中継局、そして、前橋、宇都宮、平塚の総合と教育の中継局、ならびに北阪神の総合中継局が12月1日に開局いたしました。これにより、地上デジタル放送の視聴可能な世帯数は、全国で約2,840万世帯となり、全世帯数の約60%をカバーすることになりました。

 

 (4) 営業業績(平成17年度11月末)について
 (小林理事)
 平成17年11月末の営業業績について説明します。まず、契約総数の状況は、第4期(10月・11月)活動において、地域スタッフの活動を強化し、派遣社員・短期委託の育成、職員による「1万件確保活動」などに取り組んだ結果、第4期の取り次ぎ数は不祥事の影響を受けていない平成15年度同期比で81%まで回復し、一部の地域では増加に転じるなど、契約総数の減少傾向が抑制されています。また、衛星契約の状況は、地域スタッフの「BS契約取り次ぎデー」などの活動強化により、第4期の取り次ぎ数は平成15年度同期比で81%まで回復し、増加数も上向いてきています。
 次に、支払い拒否・保留数は、第4期で1.4万件増加したにとどまり、累計で128.0万件となりましたが、増加傾向に歯止めがかかってきています。また、支払い再開数は、第4期で8.1万件に拡大しており、口座振替から訪問集金への変更件数も最近の金融機関への1日あたりの平均届出数は10月が約8百件、11月では約7百件と減少しています。
 今後は、年末のこの時期にあわせて、支払い拒否・保留数の増加傾向に歯止めがかかりはじめたことを踏まえ、支払い再開の大幅な拡大を図る“総力戦”を展開するとともに、地域スタッフ・特別推進チーム・短期委託による訪問活動の強化、支払い拒否・保留者全員への支払い請求の実施、全職員による第5次視聴者活動の継続実施など、"信頼回復"と"支払い再開"に向けて全力で臨むこととしています。

 

 (5) 財政の現況(平成17年11月末)について
 (衣奈理事)
 平成17年11月末の財政の現況について説明します。まず、収支の施行状況につきまして、事業収入は受信料収入、副次収入等を含めて4,184億円と施行予定額に対して298億円の減少で、事業収入の大半を占める受信料収入は4,002億円となりました。支払い拒否・保留数は増加に歯止めがかかりつつありますが、受信契約数の減少が依然として続く厳しい状況であり、受信料減収の圧縮とあわせて、副次収入等の増収に努める必要があると考えています。一方、事業支出は4,154億円と施行予定額に対して303億円の減少と堅調ではありますが、今後の受信料収入の見込みが厳しいことや、トリノオリンピックなど年度末に向けて支出の増加が見込まれることから、今まで以上に綿密な支出管理を行う必要があると考えています。なお、受信料の未収・滞納数は、9月末が398万件でありましたが、11月末においても横ばいであり、増加傾向に歯止めがかかっていると考えています。

 

5 審議事項
 (1) 平成18年度国内放送番組編集の基本計画について
 (原田理事)
 国内外に先行きが見えない不安が広がるいま、信頼できる確かな情報と心のよりどころが強く求められています。こうした中、NHKは受信料で支えられる公共放送の原点に立ちかえり、視聴者が求めるもの、真に役立つ放送を徹底的に追求し、確かな指針となるニュースや大型企画番組、迅速・的確な災害・緊急報道、人々の心をいやし勇気づけるドラマ、そして福祉番組や教育番組など、“NHKだからできる放送”に全力で取り組みます。また、視聴者からの声を番組づくりや編成に積極的に生かし、視聴者とともに歩む姿勢を明確にして、価値観の多様化した社会の“絆”となる開かれた公共放送をめざします。
 平成18年度国内放送番組の編集にあたっては、総合テレビの編成を抜本的に刷新し、良質で魅力あふれる番組で視聴者の期待にこたえます。教育テレビは、“ともに生きる社会”の実現を訴えるキャンペーン番組や子どもたちの情操を豊かに育む番組に力を注ぎます。衛星放送は、ハイビジョン波を軸に、地上波とは一味違う個性的な番組と大胆な編成に取り組み、充足感ある放送に努めます。さらに放送と通信の融合が進む中、地上デジタル放送の新たなサービスとして、携帯端末向けの“ワンセグ”を開始します。あわせて、デジタル技術を生かした次世代のサービスの開発に積極的に取り組んでいきます。
 編集の重点事項として8項目をあげています。1番目は「総合テレビ夜間の抜本的刷新と柔軟な編成への挑戦」です。平日9時台に新たなニュース番組をスタートさせるとともに、10時台から11時台に90分の番組ゾーンを設け、ドキュメンタリー、歴史、クイズ、バラエティーなど多彩な分野の番組を編成します。この番組ゾーンでは、大型企画の連続編成や緊急特番、連続討論など、“いま”と向き合う機動的で柔軟な編成を積極的に行います。週末には、家族で楽しめる新しい自然番組や骨太な現代ドラマを新設するほか、深夜には、若者に視聴対象を絞った番組時間帯を設けるなど、幅広い視聴者層に向けた多彩な番組を編成します。2番目は「総力を結集する基幹ニュースの新設と緊急報道の充実・強化」です。夜9時台に新設するニュース番組は、全国各局と海外総支局のネットワークの総力を結集し、日本と世界の最新の動きをいち早く多角的に伝えるとともに、視聴者が疑問を感じることや知りたいことに最優先でこたえ、見た人が納得・共感するニュース番組をめざします。3番目は「時代を見据え、見応えのあるNHKならではの大型企画」です。スクープ性に富んだ企画と新しい手法に果敢に挑戦することとし、視聴者の強い関心にビビッドにこたえます。4番目は「視聴者の声を大切にし、視聴者と共につくる番組の充実」です。「日本の、これから」では、憲法、介護など、これからの日本が進むべき道について、一般視聴者の参加で討論していきます。視聴者からの反響が大きいテーマについては、再度取り上げ討論を深めます。また、視聴者から寄せられる情報や意向を最新の情報技術を駆使して受け止め、テーマの設定や番組進行に取り入れる新しい情報番組を総合テレビに編成します。教育テレビでは、“ともに生きる社会のために”をキーワードに障害者や病気を抱える人とその家族からの要望や問題提起を受けてつくるキャンペーン番組を年間にわたって編成します。ラジオ第1放送では、若い聴取者から寄せられた悩みや相談について、インターネットの掲示板を活用して聴取者とともに考える番組をスタートさせます。5番目は「地域の多様な要望にこたえる地域放送」です。それぞれの地域特性や要望に応じ、全国一律ではない地域放送を推進します。地域に密着したきめ細かな情報番組のほか、地域がかかえる課題に真正面から取り組む番組を視聴好適時間に編成し、地域に根ざしたスポーツや伝統行事についても積極的に紹介していきます。あわせて、地域の声・地域の姿を積極的に全国に向けて発信し、地域の視聴者の期待にこたえます。6番目は「デジタル時代の新しい公共サービスの挑戦」です。 平成18年4月から開始される地上デジタル放送の携帯端末向けサービス“ワンセグ”、また、デジタルラジオ、サーバー型放送などデジタル技術を生かした新しいサービスの開発にも積極的に取り組みます。7番目は「字幕放送など“人にやさしい放送”の充実」です。高齢者や障害者が健常者と同様に放送に接し、番組を楽しむことのできるよう、デジタル技術を生かした“人にやさしい放送”を追求します。また、字幕放送は、総合テレビで、「行政の指針」で決められた字幕化率の最終目標を1年前倒しして達成します。8番目は「ワールドカップ・ドイツ大会放送の実施」です。ここでは、すべての試合をハイビジョンで中継することが可能となり、デジタル衛星ハイビジョンでは全64試合を放送します。最後に、以上の重点項目の実施にあたっては、貴重な経営資源の効果的かつ効率的な活用に努めることといたします。また、国内外の優れた制作者と連携し、新しい発想や多様な視点を取り入れ、創造的で透明性の高い取材・制作体制を構築します。

(委員長)  携帯端末向けサービス“ワンセグ”は、当面は総合テレビ、教育テレビの番組と同じ内容の番組を同時放送するということですね。
(役 員)  そうです。これに加えて、データ放送によりニュースや気象情報なども提供します。
(委員長)  “ワンセグ”の料金について、どのように考えていますか。  
(会 長)  現在、デジタル時代のNHK懇談会において議論いただいています。さまざまなあり方を検討する必要があると思います。

 

 (2) 平成18年度国際放送(テレビジョン・ラジオ)の放送番組編集の基本計画について
 (石村理事)
 平成18年度国際放送番組における編集の基本方針は「海外にいてもNHK」です。迅速で的確なニュースや良質な番組を提供することにより、「海外にいても必要な公共放送NHK」として、そのプレゼンスを高めていきます。具体的には、テレビでは、日本・アジアのニュースを深く掘り下げ、外国人視聴者にわかりやすく伝える英語のニュース番組を新設します。ニュースの核心に迫るとともに、経済情報のコーナーを設け、日本の経済をタイムリーに伝えていきます。また、内外のさまざまな出来事を英語でわかりやすく伝えるコメンタリー番組を新設するなど、英語による情報発信の充実に努めます。ラジオの日本語放送では、内外の情報格差是正と世界各地の生活時間帯にあわせ、より多くの地域にラジオ第1放送が聴取可能になるよう編成を見直します。また、海外で暮らす日本人や旅行者の安全に役立つ情報番組を増設し、ライフラインの強化を図ります。
 編集の重点事項としては、テレビジョン国際放送では、大きな柱として「ニュースの刷新・強化」と「英語による情報発信の充実」をあげています。「ニュースの刷新・強化」では、新しい視聴者の獲得とNHK国際放送の存在感を高めていくため、海外で関心の高い日本の経済情報を充実・強化した英語ニュースを新設し、外国人視聴者の期待にこたえます。また毎正時ニュースを定着させるとともに、英語によるニュースの刷新・強化を図り、日本とアジアの最新情報を伝えていきます。また、「英語による情報発信の充実」については、国際放送局独自制作の英語番組を新設するとともに、英語付加番組を充実させ、海外における日本への理解促進を図ります。これにより英語化率は、来年4月より45.9%となり、英語字幕等をあわせれば、63.2%が英語で視聴可能となります。
 ラジオ国際放送における一般向け放送では、国内情報の拡充・ニュースの強化、英語ニュース・情報番組の充実、国際理解に役立つ番組の新設・強化、地域向け放送では、世界各地域に向けた柔軟な情報発信を重点項目にあげています。ラジオ国際放送は、一般向けと地域向けをあわせて、世界17地域に1日65時間の放送を行います。

 

 (3) 平成18年度予算編成要綱について
 (衣奈理事)
 前回の経営委員会の指摘を踏まえ、平成18年度予算編成方針および事業運営の重点事項、それに基づく収支予算の具体的な内容と予算額を取りまとめました。平成18年度予算編成の考え方は、「何よりも改革の断行による信頼の回復、受信料収入の回復、そして経費の節減と財政の安定化により、デジタル時代にふさわしい公共放送としての役割を果たすこと」、「放送の自主自律の堅持、“NHKだからできる放送”の追求、放送のデジタル化の推進と新しい公共放送サービスの開発に努めること」、「受信料の公平負担に取り組むこと」、「コンプライアンスの徹底に努めること」を方針とし、組織や業務の大幅な改革とスリム化による経費の削減により、視聴者第一主義に立って“NHKだからできる"放送の追求や放送のデジタル化の推進と新たな公共放送サービスの開発などに重点的に取り組むことにしています。事業収支は、受信料収入は今年度の改善努力の成果をできる限り見極めたうえで確定させたいと考えていますが、事業支出の各費目については、項目ごとに精査を行った結果、収入の範囲内で支出をまかなう予算となっています。なお、長期借入金など債務の償還は、繰越金で処理する考えです。次に、「選択」と「集中」に基づく経費削減と新規・重点事項への配分については、厳しい財政状況の中、徹底した経費削減を行い、受信料の減収に対応するとともに、新規・重点事項の原資を生み出し、公共放送の役割を果たしていくこととしています。最後に、事業運営の重点事項にそって、項目ごとに具体的な施策の内容および予算額についてまとめています。

(委員長)  番組編成については10月、1月の改定に引き続き、新年度に新機軸を打ち出すとのことです。また、予算については、緊縮予算の中で改革をいかに進めていくのか、優先順位をつけた形で行うということが、はっきりしてきたと思います。
(委 員)  国内放送費の経費削減額が大きくなっています。資料には個別の施策が明示されていますが、それぞれの施策ごとの方針と金額について、次回にご説明願います。
(委 員)  私も同じ意見です。経費削減にあたっての基本的な考え方は重要だと思います。また、スポーツ放送権料の見直しという記載もある一方で、重点事項として、なぜ、ワールドカップサッカーを放送するのか、理由づけが必要だと思います。民放でも放送される予定であり、“NHKならでは”の競技を取り上げてもよかったのではないかと思います。
(委 員)  平成18年度の番組編成の方針では、教育番組について、障害や病気などを取り扱う番組の充実については記載されていますが、科学などの知的好奇心にこたえる番組の充実を追加して記載すべきだと思います。また、予算編成要綱でも「福祉」や「楽しく豊かな情操」との記載に加えて、この旨を記載すべきだと思います。
(役 員)  各波の編集方針において、教育テレビの編集のポイントとして「“学びたいは終わらない”視聴者の知的好奇心にこたえる番組の充実」について記載しています。当然、科学についてもしっかり取り組むことになりますので、表記等については工夫したいと思います。
(委 員)  NHKスペシャルでは、科学番組を放送しないのですか。
(役 員)  科学についてもさまざまなテーマを取り上げてみたいと思っています。
(委 員)  私も資料をすべて拝見しましたが、「芸術」という記載が見当たりませんでした。レベルの高い芸術を取り上げた番組は、視聴者も認めてくれると思います。
(委 員)  デジタル衛星ハイビジョンの編集のポイントの1つとして、モーツァルトの名曲を1年にわたり紹介するとしていますが、来年は生誕250年であるため、世界中でもさまざまな企画があり、ありふれたものになると思います。逆に今はいろいろなことが求められる時代であり、音楽の世界でも知られていないすばらしい作品がたくさんあります。また、めざましい仕事をしてきた人たちのドキュメントは、これまで基本的に男性が中心でしたが、女性にもすばらしい仕事をしてきた人たちが大勢います。ぜひ、この際に目を向けていただき、“NHKならではの”放送をお願いします。
(委 員)  日本の伝統芸能、邦楽について触れていないこともNHKらしくなく、寂しさを感じます。
(役 員)  委員よりさまざまなご意見をいただきましたが、番組編集の基本計画は、重点事項に沿って現時点における計画を記載したものであり、すべてを網羅するものではないということをご承知おきください。
(委員長)  各委員におかれてもいろいろと意見があると思いますが、本日は審議事項ですので、次回までにもう一度資料を熟読いただいて、ご意見などお寄せいただきたいと思います。

 

6 その他
 (1) デジタル時代のNHK懇談会(第8回)の概要について
 (中川理事)
 第8回「デジタル時代のNHK懇談会」を12月5日に開催しました。前回は、「放送・通信連携の新サービス」について議論しましたが、今回はその続きとして、「受信料によって行う業務の範囲」や「NHKのインターネット利用計画」についてNHKから説明を行い、「新サービスの経費負担のあり方」について議論しました。また、「受信料体系の見直し」の中で、学生割引・単身赴任割引導入の検討状況についても、NHKから説明を行い、意見交換を行っています。
 委員から出された主な意見としては、新サービスの経費負担のあり方として、「インターネット利用に関するガイドラインが作られた平成14年とは、放送を取り巻く環境が大きく変化してきている、民業圧迫論にのみとらわれすぎると、サーバー型サービスなどでは、視聴者に十分なサービスができなくなるのではないか」、「サーバー型サービスは、基本的には受益者負担とすべきだが、教育や福祉などの公共的なサービスにおいては、先導的な役割も含め、NHKが受信料の一部を充ててもよいのではないか」、「インターネットは、今や『付帯業務』、『放送の補完』という位置づけには収まらない、放送法改正を検討してもよいのではないか、今後ますます普及が進むインターネットについて、NHKは、BtoBは行ってもよいが、BtoCは行ってはならないという現行の規制は論理的ではない」との意見が出されました。また、受信料体系の見直しについては、「世帯ごとに徴収という方法が時代にあわなくなってきているのではないか。今後、携帯端末などで視聴できるようになれば、個人で契約という概念も出てくる」「“ワンセグ”やサーバー型サービスなど、新たなサービスをはじめる際には、料金の負担についてもっと考えてもよいのではないか」、「学生割引・単身赴任割引については支持が得られると思う」などの意見が出されました。次回は1月13日に開催する予定です。


 (2) その他
 小林理事から3か年の経営計画における「受信料収入の3か年見通し」について検討状況が報告され、続いて、中川理事から規制改革・民間開放推進会議における「NHK改革」等に関する審議状況について報告があった。

 

 以上で付議事項を終了した。

 上記のとおり確認する。

 

平成17年12月27日  石 原 邦 夫
   梅 原 利 之