
学校だけじゃない 心の健康を取り戻して
2022年9月6日放送
取材・城之内緋依呂記者
夏休みが終わり新学期が始まる中、学校に行くことが「つらい」と感じている人もいると思います。悩みを抱えた子どもたちに居場所を提供している金沢市のフリースクールを取材しました。
金沢市のフリースクール、「LYHTYschool−IRORI−」(りゅふとすくーる・いろり)です。子どもたちの好きなことやひとりひとりのペースを大切に学びの場を提供しています。
この日取り組んでいたのはクッキー作りです。
(女の子)「先生できたよー。おばけみたいになっちゃった」。
取材した日、子どもたちは料理やゲーム、プログラミングの練習をしながら時間を過ごしていました。
(先生や友だちとなじめずスクールに通う5年生の女の子)
「イラスト書いたり、物を作ったり 先生もいろいろ褒めてくれる。もし嫌なことがあったら言えるのも良いところだと思う」
(教室の雰囲気が苦手だった3年生の男の子)
「昔は楽しかったと思うのだけど、今は学校という空間が嫌いになったから行ってない。
学校に比べてみるとこっちのほうがいいかな、今は」
スクールには、学校になじめずにいる子どもたちから悩みの相談が寄せられます。
夏休みが明けた9月は1年の中でもっとも相談が多くなるといいます。スクールの責任者の松田幸子さんは、子どもたちの気持ちについてこう話します。
(スクールの責任者 松田幸子さん)
「1学期から休みながら行っていたけれども、1学期の頑張りが夏休みでほどけて、また同じ場所に行くことって大人でもきっとすごくつらいと思うんです。それが子供だったらなおさら受け止めきれない」
松田さんが活動を始めたきっかけの1つが自分の子どもが不登校になるという経験でした。
(松田さん)
「しばらく休ませるとそろそろ行けるんじゃないのって親も考えてしまって。たぶん私が追い詰めてたと思うんですよ。学校に行けないことをまた自覚させるというか。大事なのって学校に戻ることじゃなくて、この子が元気に生きていくことなんだろうなって気づいたところから落ち着いて過ごせるようになりました」
スクールには学校に行けない事実に心の痛みを感じながら通っている子どももいました。
この男の子は「フリースクールは楽しいけど、自分だけ遅れている感じがして、どうして良いかわからない」と声を詰まらせながら、話してくれました。
学校は決してすべてではない。
松田さんは、子どもたち一人ひとりの気持ちに寄り添い安心できる居場所をつくっていきたいと話しています。
(松田幸子さん)
「自分はもういなくなっていいぐらい思いつめている子もいますし、みんな明るそうに見えて実は行けてない自分を認められなかったり、心が悲鳴を上げている。学校に戻ることがすべてではなく将来社会に出て自立していくことが目標なので。焦って学校に戻らなくても十分未来は見えているから無理しないでほしい。まずは自分の心の健康を取り戻して欲しいと思います」
(松岡アナウンサー)
1学期はつらさに耐えながら学校に通ったものの、新学期が始まって思い詰めたり、自信を失ったりした状態で相談してくる子どももいるということです。
フリースクールの松田さんは、学校に行けないことを周りが“甘え”と決めつけず、理解をし、受け入れる姿勢が大切だと話していました。