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ことじろう

長引くコロナ禍で難病患者は

2022年04月21日放送

取材・竹村雅志記者

進行性の難病を抱える患者やその家族にとって、新薬の開発は、病気と闘う上で大きな希望の1つです。しかし、新型コロナ拡大の影響で新しい薬の開発につなげるための法改正にも遅れが生じています。患者や家族の状況を竹村記者が取材しました。

今後に募る不安

原祐宏さん、60歳。金沢市で建設機器のメンテナンスの仕事をしています。
作業中に続く体の震え。
28歳のときから患う「脊髄小脳変性症」という病気の影響です。
体がしだいに動かなくなる進行性の病ですが、症状と向き合いながら仕事を続けています。

(記者)「大変じゃないですか?」。
(原さん)「最初は大変だったけど、それにもだんだん慣れてきました」。

1万人に1人が発症するとされる「脊髄小脳変性症」。進行を遅らせる薬はあるものの、完治の方法はまだ見つかっていません
もう30年以上、病気と闘ってきた原さん。年を重ねるにつれ、薬の効き目が弱くなり、症状の進行が早くなってきているように感じるといいます。

(原 祐宏さん)
「10年以上今の薬を飲んでいますが、果たして効いているのかわからない。会話は難しくなるわ、歩くときにふらつくわで、先のこと考えればきりがありませんが、このままいけば自分がどうなるのかなって」。

新薬開発につながる法律が・・・

進行性の病をもつ患者にとって「希望」となっているのが新薬の開発です。
しかし、そのスピードに影響を及ぼす事態がコロナ禍で起きています。

それが、「難病法改正の遅れ」です。
2014年に国会で成立し、翌年に施行された「難病法」。指定する難病の種類を増やし、患者の支援を強化するために制定されました。

治験につながる患者のデータベースを拡充して新しい治療薬の開発につなげるための法改正の作業も進められました。
しかし、新型コロナの拡大によって厚生労働省の要員が割かれ、法改正を進めるための作業が滞ってしまっているというのです。

専門家は

難病の治療法や新薬の研究を行っている東京大学の※辻省次名誉教授です。
法改正の遅れは、新薬の開発の遅れにも直結しかねないと指摘しています。

(東京大学 辻省次 名誉教授)
「これまでは企業が治験をしようと思っても全国のお医者さんに問い合わせて、どれくらいの患者がいるかを聞いて、全体を把握する作業が必要でした。難病法の改正で迅速化が期待されていましたが、それができないとなると、疫学的な情報の把握に時間がかかり、新しい薬を開発する上で遅れが出ることが懸念されます」。

命にのしかかる“時間”

難病を抱える患者にとって、新薬の開発の遅れは命とも密接に関わる問題です。
「多系統萎縮症」という難病をわずらう金沢市の木村紀子さん(69歳)です。

発症したのは2018年。それまで、健康に不安を感じることはありませんでした。
しかし、病気の進行は早く、わずか4年で体がほとんど動かせず、会話も難しくなりました。

(紀子さんの夫)
「寝たきりで動けなくなるだろうと言うことは、聞いていたんですけども、それがこんなに早く来るとは。 夢にも思いませんでしたね」。

感染対策のため、面会はリモートに限られ、日に日に状況が悪化していく紀子さん。家族は数少ない希望である新薬の開発が今、遠のいていると感じています。

(紀子さんの娘)
「お母さん見える?お母さん、もし見えたら目パチパチしてみて、あー見えるんやね」。
「またくるね」。

長引くコロナ禍。一刻も早い新薬の開発が待たれる中、患者と家族に月日が重くのしかかります。

(紀子さんの娘)
コロナが原因であっても、難病法が少し遅れていても、苦しんでいる患者や家族のことをやっぱり忘れて欲しくない。置き去りにされないようにしていただけたらなと思います」。

(松岡アナウンサー)
我々が注射を受けている新型コロナワクチンを作っているドイツのメーカーも、がんの薬を作っていたところに新型コロナが起きたので、全力をそちらに傾けている。
新型コロナの拡大は、ご紹介した「難病法」のほか、小児がんの子どもへの自立支援事業強化など別の法改正の手続きにも影響を与えていて、余波が広がっています。
「かがのとイブニング」でも、当事者の声を引き続き伝えていきます。

患者や家族の会についての情報

「いしかわSCD・MSA友の会」
今回の特集でご紹介した「脊髄小脳変性症」「多系統萎縮症」の患者やその家族たちが悩みを共有し、レクリエーションなどの活動を通じて交流を深めています。
http://scd-msa.kanazawa.suzumidai.com/

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