ページの本文へ

NHK金沢・石川WEBノート

  1. NHK金沢
  2. 金沢・石川WEBノート
  3. 明治神宮大会 星稜高校 山下智将監督インタビュー

明治神宮大会 星稜高校 山下智将監督インタビュー

高校野球秋季大会2023
  • 2023年11月14日

今秋より各校、新チームが始動。2年連続で夏の甲子園に出場した星稜高校は、秋の北信越大会も4年ぶりに制して「明治神宮大会」への切符をつかみました。明治神宮大会を前に、山下智将(としまさ)監督に、大会への思い、そして監督の考える“指導”について、単独インタビューしました。星稜高校の強さの理由が感じられるかもしれません。
(アナウンサー 大村和輝)

秋の北信越大会優勝を振り返って

改めて、優勝おめでとうございます。秋の大会は、改めてどう振り返りますか?

ありがとうございます。新チーム結成から本当に1戦1戦、反省が出て、その反省の練習をして成長して、その繰り返しで。1戦1戦、強くなってきた、チームになってきたなっていうところで。その結果、北信越の最後までいけたっていうのは、このチームにとっては非常にプラス になったし、選手達は本当に素直に聞き入れてやってくれていたので。 その反面、まだこのチームは伸びるんじゃないかなっていう期待もあります。嬉しい反面、まだまだこれからやらなきゃなっていうそんな心境です。

特にどの辺りに選手達の成長を感じていますか?

まずはやっぱり「守備力」。この秋はとにかく無駄な失点をしないということで「守備力」。そして少ないチャンスをものにしようということで「走塁」。この「守備」と「走塁」を新チーム入ってからは鍛えてきました。 まあそれが1つ良かった結果として、無駄な失点が少なくなって。少ないチャンスをものにしたり、打てない時も足を絡めてなんとか得点していった、まあ僅差のゲームが当然多くなるんですけども、それでも勝ち切れたっていうのも良かったですね。

新チームは練習試合を含めて、ここまで僅か「1敗」(11月初旬時点)。負けない強さも際立ちますね。

この前の負けた試合も、最後まで「黒星つけないぞ」なんてベンチで言い合ってましたけどね。負けから学ぶ事も多いし。 私はそこまで気にはしてないんですけど。やっぱり「守備」が安定してるっていうところが1つ、自信なのかもしれんですね。 
キャッチャー能美であっても河上であっても、それからピッチャーは佐宗、道本、内野で言えばショートの吉田、センターに入っている芦硲(あしさこ)。このセンターラインがやっぱり守備の要になってくれて。 吉田(遊撃手)も内野だけじゃなく外野とのコミュニケーションも多く取ってくれるし。 
センターラインが安定してるところで、厳しい場面になっても、1点をとられても、それ以上の失点をおさえれば、今度また得点できるんじゃないかというような。失点の計算がこの子らの中でも出来るっていうのが強みなのかもしれんですね。

秋の大会ベストシーンは、好判断の“落球”

この秋の北信越大会、監督の思うベストシーンはどこでしょうか?

なんだろうな…。色々あるんですけど。まあ、パッと出てくるのはやっぱり日本航空石川との決勝戦。 佐宗(エース)が途中から登板したんですけどね。そこをしのいできてくれたり、タイブレークいってもゼロで抑えてきてくれたり。 あの辺はさすが経験値が高い佐宗だなと思いましたけど。
それと、(北信越大会・決勝vs敦賀気比)専徒(右翼手)がライトでタイブレークで(10回表・敦賀気比の攻撃)、ファールフライをわざと落としたプレーがあったんですけど。 

すごかったです。あのプレーについて、聞きたかったです。

あそこもすごくポイントになる場面の1つでした。 あれ捕っていたら(敦賀気比に)1点入っているケースで。 1アウト2、3塁になったのかな。 タイブレークではウチ(星稜)が「後攻め」で。普通だったら内野手を下げてもいいんですよ。 要するに1点はOK。裏で2点とりに行く、もしくは1点を獲って同点に追いつくっていう守備隊形をとっても良かったんですけど。やっぱりあの試合ってずーっとゼロがつづいとったんで、もう私の中で、とにかく1点を先に点を獲った方が勝つんじゃないかなと思って、内野手を前に出して勝負をしたんですよね。 外野手はそういう場面のファウルフライは「捕っていいぞ」や「捕らないでくれ」っていうサインがあるんですけど。私もそこまで手が回ってなくて、その指示を出せなかったんですよね…。 
上がった瞬間に「ああ、しまった!」と思ったんですけど、結果的に専徒(右翼手)が落としてくれたんです。サインが出せていれば、「捕らないでくれ」っていうサインを送っていたと思うんですけど。それも芦硲(中堅手・キャプテン)が「捕るな、捕るな!」という指示を専徒に送ってくれたみたいで。それが聞こえて専徒が落としたのか、専徒が自分で判断して落としたのか、どちらかだと思うんですけど。 あれがもし、私が内野を後ろに下げていたら、1点は(あげても)いいんだなと、捕っていたかもしれないんですよね。 
その辺も意思の疎通が出来るというか。仮にちょっと指示が出し遅れた所があっても、チーム全体に「ここは1点勝負だぞ」っていう意図が伝わってたのかなって考えると、あれは良かったなと思って。 そこら辺の勝負どころというかね、「ここの場面は1点やってもいいから余裕を持って守ろう」とか、「絶対1点やらないぞ」とかっていうのは、この子ら自身もすごく分かって野球をしてくれてるっていう。
捕ってアウトにすれば良いみたいな守備の高さはもちろんだけれども、そういう状況判断も出来るっていうところまで、今の段階で守備に関しては出来ているのは強みかなと感じています。

「謙虚な心」と「口で言う前に自分でやる」

そうしたプレーが出るというのは、監督の教えがあってのことだと思います。
監督の考える「指導」についても伺いたかったのですが、監督は、コーチや選手などの意見も大切にされているように感じています。

僕自身が、恥ずかしながらやっぱり大した人間じゃないので。実績も無い。
 部長としての経験は長いので、部長としては自信はあるけど。 監督として、果たして私が適任なのかどうなのか。それすら今ですら疑うような。とにかく今のことだけで精一杯ですよ。もうその中で僕1人で、とてもとてもやれる事なんて何もないので。だから皆さんのお力を借りながら、協力してやるしかない。みんなで作り上げていくしかない。 僕、自身がそういう人間なので。生徒の意見も聞きたいし。 コーチの意見も頼りにしているし。だけど、僕自身、曲げたくないところは曲げないんですけどね。 僕がまだまだ勉強不足な分、皆に力を借りながらやっていく。多分これは永久に続くと思うんです。 

山下監督が、指導する上で大切にしてらっしゃることはどんなことでしょうか?

「口で言う前に自分でやる」ってことですかね。 
「ああせい、こうせい」って言うんだったら、自分がそれを一番やっているようにしたい。野球以外のこと。勉強しなきゃいけないとか、授業態度とか叱らなければいけない立場の時もあるんで。叱った時にスッと入ってくるような存在でいなければいけないと思うので。 部室汚いぞとか、草生えてるぞとか。自分が率先してやるようにしています。 

監督自らがやる、なかなか大変なことではないですか?

朝、グラウンドに来て掃除するとかも別に苦にならないですし。 部室の掃除もしますよ。

監督ご自身が、ですか?

やりますよ。8時15分からの出勤ですけど。私は6時30分には学校に行っていますし。 職員室の掃除から、時間があればグラウンドの点検からします。 休日、8時30分練習開始の時なんかは6時30分にはグラウンドに来て、グラウンド整備とベンチ掃除と普段やっています。私がやるのが一番良いんですよ。
監督だからとか全く関係なく。若手なので、職員室でも机を拭いたり、グラウンドの草をむしったり、自分自身も「まだまだだ」と言い聞かせるという意味合いもあります。

いざ、4年ぶりの明治神宮の舞台へ

次は4年ぶりの明治神宮大会です。チームの状態はどうですか?

順風満帆とはとてもとても言えなくて。 勝った時って人間ですから、決して調子に乗るわけじゃないんだろうけれども、油断があったり、隙があったり、最近はそういう事ばっかりで。 昨日(11月初旬)はもう誰にでもできるような当たり前の事を、自分のためじゃない誰かのためになるような行動を1つ、5分でもいいから全員同じことじゃなくて良いから、何かでやってみようということで。ちょっとそんな言い回しで話はしてみたんですけど。

まずはグラウンド外の行動からということですか?

やっぱり口で言ってるだけじゃなかなかね、そういう事って難しいですよね。大人でも難しいと思うので。 朝ちょっと早く来て、教室の机を整頓するでも良し。 黒板を綺麗にするでも良し。室内のごみを拾うでも良し。 家の皿洗いでも良いし。まずそこを整えれば、野球にしっかり入れるかなと。 身の回りをしっかり整えて、心を整えて、しっかり練習に入る。そうやって環境を整えて黙々とやっていれば、色んなことを考えるし、色んなことが見えてくるのかなと思っていて。優勝すると、「おれたち強いんだ」みたいな天狗(てんぐ)にもなりやすい。足元を見つめるという意味でも一からやろうという気持ち。口で言ってもわからない、頭でわかっていても理解するって難しいですよね。変わってくるんじゃないかなと思ってね。

神宮大会に向けて、このチームで新たに取り組んでいることはありますか?

北信越終わってから新たに取り組むことはまだないですね。正直もう今の持ってる力を全国の舞台で試させてもらうというか。 チャレンジして、勉強させてもらって、課題をもらって帰って来られれば十分と考えています。 
私自身はとてもとても優勝とかじゃなく、1試合でも多く全国の強豪と出来れば十分であって。 もちろん優勝を願うことに越したことはないんでしょうけど、もちろん出るからには狙います。でも、それよりもとにかく何か課題をもらって、1戦1戦やってこれれば、今のチームにとってそれ以上のことはないです。 

  • 大村和輝

    NHK金沢 アナウンサー

    大村和輝

    出身地 埼玉県狭山市
    石川に来て、あっという間に3年目です。
    取材の度、親身になってお話しをして下さり、心から感謝しています。
    地域のお役に少しでも立てるよう、力を尽くします!

ページトップに戻る