能登半島の観光名所「千里浜海水浴場」海の家に何が?金沢局発
- 2023年07月28日

日本で唯一「車で走れる砂浜」として知られる石川県羽咋市の千里浜海岸。
このビーチにある海水浴場が大きな問題に直面しているといいます。その背景を取材しました。
(金沢放送局 記者 安藤健人)
多くの人でにぎわう海水浴シーズン

海水浴シーズンまっただ中の、羽咋市の千里浜海岸。
強い日ざしが差す中、県内外から多くの観光客が訪れ、海水浴を楽しんでいました。

この海岸で海水浴場を管理するのが、千里浜浜茶屋組合の山田俊一さん(75)です。
山田さん)
きょうは最高ですわ。天候に似たような、すがすがしい気持ちというか。
「やっと海開きこの日が来たな」と壮大な気分です。
ことしはだめかなと思いましたが、みなさんのおかげですね。
一時は海水浴の開設を断念
「ことしはだめかな」と話す山田さん。一体、何があったのでしょうか。

山田さん)
やっぱり体調がすぐれないときがあったのと、設備が老朽化してきて無理じゃないかなと思う面もありました。
75歳となった山田さんは体調面での不安に加え、設備の老朽化など開設費用の問題がありました。
浜茶屋、いわゆる海の家の利用客が減る一方、海水浴場の開設コストも昔と比べると増えていて、いったん、断念しました。
夏のレジャーとしての「海離れ」が深刻

県が海水浴場を開く条件とする「監視員」と「救護所」の設置。
40年ほど前は45万人が訪れ、設置費用はかつて、10軒以上あった浜茶屋で分担できました。

しかし、令和になるころ、海水浴客は30分の1以下に減少。
1軒のみとなった浜茶屋に費用負担がのしかかります。

山田さん)
昔は10人や20人と人を雇っても採算が取れたましたが、いまは1人か2人が精いっぱい。
救護所を建て直す際の出費を考えると、開設を断念せざるを得なくなりました。
地元の声・行政の支援を受けて一転開設へ
地元の声もあり、行政は支援の増額のほか、浜茶屋に隣接する施設に救護所を用意しました。

羽咋市商工観光課 政氏祥代 課長)
今回は応急的な対応ということで山田さんに頑張っていただきましたが、来年以降、浜茶屋1軒では難しいと思う。市と協力して今のような形をとるか、あるいはほかの団体にお願いするのか、どういう形で開設するのがよいか検討したいと思います。

山田さん)
私もずっと子どものときから海に育ってきましたから。続けたいなってずっと思っていますよ。常日頃、海水浴があっての千里浜かなって思っているんですけどね。今の時代にあった浜茶屋を考えていかなければなりません。

利用者の激減とコストの増加に直面する海水浴場。存続に向けた新たなアイデアが求められています。