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石川県能登の夏祭り あばれ祭で大たいまつ炎上!キリコ乱舞! 

  • 2023年07月14日

石川県能登半島で毎年、夏から秋にかけて開催される「キリコ祭り」。その祭りの日には「ヨバレ」というもてなしが各家庭で開かれます。ことし4年ぶりに復活した「ヨバレ」。少しだけ覗いてみました。(金沢放送局 記者:時國瑠花)

【日本遺産】
能登半島キリコ祭りスケジュール

石川県能登半島では「キリコ」と呼ばれる巨大な灯籠を担いで練り歩く「キリコ祭り」が開催されます。2015年には文化庁の日本遺産に認定されていて、7月から10月にかけて石川県能登半島の各地で200か所以上で開催されています。

「キリコ祭り」の大きな特徴の一つが、
「誰でも担ぎ手になれる」ということ。
地元の人たちはもちろん、観光客も一緒に担ぎ手として祭りに参加することができます。

「キリコ祭り」のトップバッターをきるのが能登町宇出津地区で始まる「あばれ祭」。およそ350年前に疫病を治めた神様に感謝して始まった祭りでキリコを荒々しく扱うほど神様が喜ぶとされています。

火が間近に迫るキリコ

高さ7メートルの大たいまつの周りを火の粉を浴びながら、担ぎ手たちはキリコを勇ましく担ぎ上げます。キリコの上に乗った子どもたちの囃子と「イヤサカサッサイ」のかけ声にあわせて、キリコが乱舞する景色はまさに圧巻です。

祭りに合わせて開催される
「ヨバレ」

能登半島の祭りの日に合わせて開催されるのが「ヨバレ」というもてなし。家を開けっぴろげにして、親類や知人、友だちなど訪れた人、誰でも家にあげて、お酒を飲んだり、食事をしたりします。

奥能登地域は周囲が山に囲まれ、昔は陸の孤島といわれるほど外部との交流もなく、訪れる人もまれでした。人恋しさもあって村人たちは、客を手厚くもてなしたことが「ヨバレ」のルーツといわれています。また、新しい知識や世間の情報やさまざまな文化を入手して自分たちの暮らしのよくする糧としてきました。現在でも、とおりかかった人を呼び止めてご馳走を振る舞い、酒を飲み合う習慣が残っているといいます。

4年ぶりに復活した「ヨバレ」

新町中町の町内委員長 橋本文雄さん

新型コロナの影響で、4年ぶりに復活した「ヨバレ」。
あばれ祭の取材で出会った新町中町の橋本文雄さんが、「ヨバレ」に呼んでくださいました。

橋本さん

ずっと「ヨバレ」をやりたかったんですけど、みんな我慢していたんです。

橋本さん家
手作りのサンドイッチがとてもおいしかったです

橋本文雄さん宅の「ヨバレ」です。あばれ祭の「ヨバレ」は休憩が入る18時半から21時ごろまで行われます。

「祭りが好きでこの町が
 好きになっていきました」

熊谷さん

「祭りが好きで、
 気づいたらこの町が好きになっていきました」。
橋本さんの自宅で、そう語ってくださったのは熊谷啓嗣さん(39)です。
出身は横浜で、現在は長崎に住んでいるという熊谷さん。15年ほど前に初めて「あばれ祭」に担ぎ手として参加して、今では毎年、能登町に足を運んでいるとか……。

熊谷さん

横浜には田舎がないんです。
田舎に行くのが好きで、友だちが能登の人だったので、一緒に友達のところに帰ったんです。そしたらこんな祭りがあって…。
参加したら、すごく楽しくて、毎年来ています。

橋本さん

最初、熊が家に来たとき、「こいつ誰やろ」って思っとったんです。でも毎年、来てくれるようになって、嬉しかったですね。

熊谷さん

能登の父ちゃんは、いつでも受け入れてくれる。能登の人は受け入れる心が寛容です。

祭りを軸に1年が回る

きょう(7月7日)は平日ですけど、お仕事はどうされたんですか?

熊谷さん

会社にはあばれ祭の日に仕事を休めなかったら、「会社を辞めます」って伝えています。

お盆や正月に帰って来なくても、祭りの日には必ず帰って来る能登町の人たち。祭りはそれくらい特別な存在だということが分かりました。いまでは流ちょうな能登弁もしゃべります。

熊谷さん

でも祭りに行くまではとても憂鬱なんです。高い旅費払って、俺はなんでこんなにもキツい祭りに来とれんろって。でも、能登町の人たちと会って祭りをしたら、来て良かったなって。また来年も来たいなって思うんです。

「祭りやがいね」

熊谷さん

父ちゃんがよく言う魔法のことばがあって、「祭りやがいね」って。「祭りやがいね、一緒に飲まんけ?」、「祭りやがいね、家にあがって行きまっし」って。

橋本さん

こうやって縁がつながっていくんです。祭りって面白いげんて。

ヨバレ2軒目

いろんな人が家に集まってお酒を飲む。
みんなが受け入れてくれる。
縁がつながって、また来年、この町へ足を運ぶ。
都会から離れた能登の厳しい自然風土が、この土地に生きる人々の温かい心を生み出し育んでいったのかもしれません。

あばれ祭1日目のクライマックス
  • 時國瑠花

    NHK金沢放送局 記者

    時國瑠花

    石川県出身
    2023年入局
    石川県の推し祭りは
    「あばれ祭」と「青柏祭」

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