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マツタケに異変!? 産地の能登に潜入取材 

  • 2022年10月31日

「能登のマツタケに異変!?」

キノコの王様とも言われるマツタケ
県内では能登地方が産地ですが、
マツタケの出荷状況に異変が起きているという情報が入りました。

例年なら9月中旬から出荷が始まる能登産のマツタケ。
しかし、ことしは10月に入っても、姿を見せない日が続いていたということです。

取材班はまず金沢の市場を取材

10月6日、金沢市民の台所・近江町市場の青果店。
一見多くのマツタケがあるように見えましたが、カナダ産や中国産がほとんどでした。
店の人に能登のマツタケについて質問すると…。

返答は「能登のマツタケは小さい1本しか入荷しなかった」

例年だと、
市場をにぎわす能登のマツタケがほとんど入荷していないことがわかりました。
そこで…。

ーなぜ、マツタケが採れないのかー
原因を探るため、現地に向かいました

到着したのは、能登町にある農産物の直売所。
毎日、採ったばかりのマツタケが持ち込まれることになっていて、
ことしも徐々に採れ始めているということですが…。

訪れたのは10月21日。
例年ピークを迎えるころだということですが、
この日集まったのは2キロほどと例年に比べ少ない様子。

直売所の担当者に話を聞きました。
 

農家さんもびっくりしているのが正直なところ。
 過去をさかのぼってみても異常なことです。 
 やはり天候の関係でそうなったと思います」

気温が下がるとともに生えはじめるマツタケ。

気象台によると、
マツタケが例年成長が進む9月から10月上旬にかけて、
世界中の気候に影響するラニーニャ現象の影響で、
厳しい残暑が続いたということです。

こうした影響で
10月下旬になった時点でも、去年と比べて半分程度にとどまっているというのです。

担当者は
このままの状態が続けば、過去最低となることも懸念される」と
不安を口にしてました。

天候以外の原因は?生産者とのコンタクトに成功

天候以外の原因はないのか。
さらに取材を進めるため、取材班はマツタケ山への取材を試みようと、
生産者とコンタクトを取ることに成功しました。
なかなか現場の取材に応じてもらえないマツタケ山ですが、
所有者で30年にわたって管理してきた中塚耕励さんとともに、山の奥に進みます。

車で山道を数キロ。さらに歩いた先で、ついに見つけました。
能登のマツタケです
 

今年だけではない 長年にわたり収穫量が減少!

中塚さんによると今年は不作ということですが、
採れなくなっているのは今年だけでなく、
年々、収穫量が減ってきているということです。

NHK金沢放送局に保管されていた昭和52年の能登地方の映像を確認すると、
家族総出でマツタケ狩りを行っている様子が確認できました。
昭和50年代、多いときは能登全体で
年間2万7000キロ以上のマツタケが採れたということです。

中塚さんは当時の思い出を話してくれました。

「今からちょうど40年ほど前ですけど、マツタケが一番出たんです。
 どれくらい取れたと思います?800キロ取れたんです。
 1軒の人が、1キロ1万円にすると、800万円あったということです。
マツタケ御殿が建った。夢のある話です」。

かつて能登の生産者を潤したマツタケ。

しかし、その後は、減少の一途をたどります。
能登全体で去年は、わずか300キロと、
かつての100分の1ほどに激減しています。

ここまで減ってきた理由。
中塚さんが注目するのが、アカマツの樹齢です。
マツタケが生えるのに必要な「アカマツ」は、
実は、木が若すぎても、年を取り過ぎてもいけないというのです

能登の奥山に生える樹齢50年ほどのマツタケ

中塚さんによると30年から50年あたりの松が、
一番マツタケが出るということですが、
その後は次第に生えなくなるということです。
中塚さんは能登の里山の現状について指摘します。
 

(中塚さん)
「奥能登地方は今から50年ほど前はみんなお風呂沸かしたり、
 ご飯を炊いたりするのはアカマツなど山の木材だったんです。
 いまは山に行く人がいなくなり、山を手入れをしなくなった
 それが能登のマツタケがでなくなった一番の原因だと思う」。

能登のマツタケを守っていくためには、どうしたらいいのか。
中塚さんは高齢化の進む生産者だけでは対応が難しくなっているといいます。

(中塚さん)
「ともかく老木を切って松を生やさないことには、マツタケが出てこない。 
 30年後50年後に、マツタケを食べたいということであれば
 今の段階から老木の松を切って、きれいに掃除さえしてやれば、
 すぐに生えてくるが農家だけではできない
 自治体上げてバックアップしてもらい  
 山の新陳代謝を活性化していただきたい」。

少子高齢化の進む能登地方。
マツタケを育んできた里山にも今、
新たな人の手が求められています。

✅取材後記 田中記者
能登地方の農林水産業に関わる取材のため様々な場所に潜入。
地元のJAによると10月終わりごろからマツタケは例年に近い量が採れるようになったが
スタートの大幅な遅れから、能登のマツタケは過去最低の収穫となるおそれもあるとか。
  • 田中大善

    NHK金沢 記者

    田中大善

    マツタケは
    焼いて食べるのと炊き込みごはんにするのが好きです

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