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漆芸作家 池田晃将 工芸の伝統技法と現代のテクノロジーを融合

  • 2023年04月28日

伝統工芸がさかんな石川県。
これまで受け継がれてきた工芸の伝統技法に、
現代のテクノロジーを掛け合わせ、
国内外から注目を集める新進気鋭の作家を取材しました。
(アナウンサー 守屋瞭)

世界も注目した不思議な作品

まるでコンピューターグラフィックのような不思議なオブジェ。
ずっと見ているとSFの世界に引き込まれるような感覚があります。

【展示を見た男性】
「私たちが出くわしたことのない 未知の文明からきた隕石のようだ」

アメリカのニューヨークタイムズには
「まるで古代のエイリアンのコンピューターのようだ」と記事が掲載されました。

作品は海外の注目も集め、著名な美術館や博物館から展示のオファーなどが舞い込んでいます。

手わざの工芸の世界に新しい技術を取り入れる葛藤

作品を作ったのは、金沢市に工房がある35歳の漆芸作家。
池田晃将(いけだ・てるまさ)さん。高校時代にネパールで世界遺産カトマンズの修復ボランティアに参加したことをきっかけに、大学卒業後、工芸の道に進みました。

これまで金粉で装飾する「蒔絵」(まきえ)や、貝をはめ込んだり張ったりする「螺鈿」(らでん)などの技法で、多くの漆の作品を作ってきました。

しかし、伝統の技法を磨くだけでは、自分の表現に限りがあると感じるようになったといいます。

【漆芸作家・池田晃将さん】
「伝統工芸の世界は、伝統という言葉によって、
 しっかり、昔の技術が守られてきた。
 そして僕ら若い者がそれを享受できている。
 その一方で工芸の進化が止まった感覚もあった。」

伝統技法とテクノロジーの融合

そこで池田さんが取り組んだのが、伝統の技法と、現代のテクノロジーの融合でした。
螺鈿の装飾に使用されるのは、貝殻の内側の薄い層です。

池田さんは、厚さ0.08ミリと、特に薄く剥ぎ取られたものを作品に使います。
コンピューターでデザインをつくり、特注のレーザー機器を使って、加工していきます。

眼鏡の洗浄機などで使われる水中音波機で分離させる

切り出されたパーツの大きさは、わずか0.7ミリです。

ここから池田さんが見せるのが、伝統の技法をベースにした職人の腕です。

【漆芸作家・池田晃将さん】
「1週間じゃ終わらないですね。1個ずつきれいなものを選んでいるので、
 そこに人間的なものが現れると思うんです。」

表面に貼り付けた厚さ0.08mm貝のパーツ(大きさは0.7mm)は、
より輝きが増すようにと、炭ややすりを使って、極限まで薄くしていきます。
失敗すると修正が効かず、職人としてもっとも神経を研ぎ澄ませる工程だといいます。

作品の中で高め合う伝統とテクノロジー

池田さんが見せる新たな漆芸の世界に多くの人が魅了されています。

【展示を見た大学生】
「新しい近未来的な意味をもった 斬新な展示だと思う」

池田さんは模索を続けることで、工芸に対する
人々のイメージそのものを変えていきたいといいます。

【漆芸作家・池田晃将さん】
「昔の人が、例えば、江戸時代の作家が
 レーザーとかCADを見つけたらたぶん使っていたと思う。
 それがもしかしたら150年、300年後の
 この時代に、伝統になっていたかもしれない。
 大事なのは、ちゃんと人類で共有できる
 その時代で美しさの概念が変わっていると思うので、
 いまこの時代に生きている人の美しいと思うものをつくらないといけない。」

  • 守屋瞭

    NHK金沢 アナウンサー

    守屋瞭

    出身地 神奈川県平塚市
    趣ある風景に出会える金沢「あかり坂」のように、みなさんが心惹かれる情報を魅惑的に伝えられるアナウンサーになります♪

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