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寺田克也さんと拡散モデルお絵描きAIの共通点がおもしろいから漫勉neoは必見!
(アナウンサー)松岡忠幸
2023年02月23日 (木)

『浦沢直樹の漫勉neo(17)寺田克也』があまりにもおもしろかったので、熱く熱くおすすめする文章です。
NHKプラスでの配信期限が2月25日(土)午前1時49分までと迫っているので、お急ぎください!
「ラクガキング」と呼ばれるほど絵がうまい寺田克也さんが語っていたのが、
絵の才能=見立て能力
という論でした。
ちょっとしたインクのしみに過ぎないものを、
何かに見立て、
描き加えたり、敢えて描き加えなかったりして、
何かに仕立てていく営みが、
描くことだというわけです。
この論が、お絵描きAIの原理を思い起こさせ、いろいろと考えさせられました。
拡散モデルという仕組みを使ったお絵描きAIの原理って、
要は「ノイズの中に無理矢理目的の絵を見立てる」というもので、
寺田克也さんの論にそっくりなのです。
①絵にノイズを少しずつ加えていく工程をAIが何度も繰り返すことで、
②絵にノイズを加えるとどうなるかを学習したAIは、
③逆にノイズまみれの絵からノイズを取り除けるようになる。
④そうなったAIに、今度は単なるノイズを与えて、
⑤このノイズの向こうに○○が描かれているからノイズを取り除けと命令する
のがお絵描きAIの仕組みです。
AIがノイズの中に無理矢理○○を見立てて、そこ目がけてノイズを取り除いていくわけです。
ね!!似ていますよね!?
人間の「創造」を因数分解してみると、実はお絵描きAIとほぼ同じなんだろうなと感じたのです。
他にも、寺田克也さんのクリーチャー創造論の中には、
「試行回数の多さこそ創造力!」的な話とか、
「ある程度、他の部分が定まってきて初めて、フワフワしていた部分のディティールが見えてくる」とか、
お絵描きAIのロジックとの類似点を感じさせる言葉がたくさん。
また、盟友であるところの浦沢直樹さんと寺田克也さんとの言葉や絵のキャッチボールは、発見だらけでした。
浦沢直樹さんと寺田克也さんは、
同じフランスの漫画家メビウスに刺激を受けたのに、
「何がやりたいかは同じでも、持って生まれた絵柄に規定されて、実際に描いている漫画の方向性は、まったく違うものになった」
という話が特にもおもしろいです。
自分自身がアナウンサーとして、声質によって、やれる仕事が規定されてきたことと重なって、いろいろと考えさせられました。
そうした話をしながら、二人が絵のキャッチボールまでするわけですから、
漫画ファンとしては、たまりません!
とりあえず、ぜひぜひ漫勉ネオ寺田克也回を見ることをオススメします。