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自治体だけに頼らない!豪雨に備える防災計画

執筆者のアイコン画像ことじろう
2022年06月13日 (月)

住民の意識を変えた10年前の大雨

石川県かほく市内日角地区。

河北潟に近く、1000年に一度の大雨が降った場合、
最大で3メートル浸水すると想定されています。


内日角冠水したとき
2013年8月、かほく市で大雨が降ったときには、
内日角地区も道路が冠水する被害が出ました。

防災士の松井喜憲さんは、
これがきっかけで、自分たちの手で防災計画を作ろうという意識が高まったといいます。

内日角の地図
地区には、宇ノ気川と内日角川という2本の川が流れています。
宇ノ気川には県が水位計を設置していますが、より小さな内日角川には設置されていません。
ところがこの日水があふれたのは内日角川の方。想定外の事態でした。

防災士 松井 喜憲さん
初めて中小河川よりも小川ですね、そういうところの危険性を認識しました。
水位が高いよっていうようなことを確かめ合って、
事前に避難を判断する、スイッチを入れて、みんなで避難する(ことが必要)


自治体だけに頼らない 内日角地区の防災計画


内日角川の水位計(写真・内日角川のライブカメラ)
そこで地区で費用を出し合い、内日角川にライブカメラを設置。
自分たちで監視することにしました。

そしていざというとき自分たちの判断で住民に避難を促すネットワークも作っていきます。
内日角ネットワーク図.jpg

区長は連絡網に従って避難の情報を町会長に伝えます。
その間、自主避難所の開設なども進められます。

町会長はさらに、班長へと情報伝達。
そして班長は、担当するおよそ15軒の家庭を直接訪問。
避難を呼びかけたり、不在を確認したりするのです。

こうした連絡網により、
地区の全650世帯に、直接、迅速に避難を
呼びかけられるようにしたのです。

住民
テレビなんかでそういう情報見とっても、どうしようかなどうしようかなってなりますよね。
だけど避難しろって言われたらお尻押されたような感じでダッと行こうって気持ちになる。

防災士 松井喜憲さん

防災士 松井 喜憲さん
集落自身で危ないなと分かったときに、住民の人に具体的に逃げようって避難を呼びかける、
ひとりでもたくさん実際に避難をしてもらうという活動をするのが
一番重要なことかなと思っています。

地域防災の専門家が見た内日角地区の防災計画

地域防災が専門の北陸学院大学・田中純一教授によると、
大きな災害では高齢者や障害がある人の死亡率は高くなる傾向にあるといいます。
こうした人たちの命を守る意味でも、地域全体でシステムを作る内日角地区の取り組みは先駆的で素晴らしいと評価しています。

北陸学院大学 田中 純一教授
内日角地区の取り組みは、避難に時間を要する人、支援が必要な人をどうやって守っていくのか、どう目を配るのかの具体的な実践例だと
私は思っています。どうやって逃げるのか、一人一人が考えるのはもちろん大事なことですが、地域ぐるみで一緒に考えることが
災害に強い町づくりにつながるんじゃないか。「点」ではなく「面」で住民を守っていく具体例だと思います。

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