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「"災害弱者"の命を守る計画づくりに壁~策定が進まない実態とは」

執筆者のアイコン画像竹村雅志(記者)
2022年06月24日 (金)

自治体が進めるべき個別避難計画とは?

名簿をもとに町を巡回しているのは、金沢市の民生委員平田哲也さん。災害のとき、自力避難が難しく支援が必要な1人暮らしの高齢者や体の不自由な人たちを訪ねています。

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災害が起きたら、誰に助けてもらえるか。
どこにどんな経路で逃げるのか。

相手から聞き取りながら平田さんが進めているのが、ひとりひとりの『個別避難計画』の策定です。

多くの高齢者や障害者が亡くなった東日本大震災などを教訓に、国は自力で避難が難しい人たちを『要支援者』として把握し、命を守る施策を進めるよう自治体に義務づけました。

それでも逃げ遅れてしまうケースが相次ぎ、ひとりひとりの具体的な『個別避難計画』を策定することが去年5月、市町村の努力義務になりました。

災害で命救う計画が進まない?

しかし、その避難計画づくりが県内の自治体では進んでいない状況が取材で明らかになりました。


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NHK金沢放送局が県内19の市と町に行ったアンケート調査。

▼5つの市と町はまだ個別避難計画の策定に「着手していない」と回答しました。

▼「策定が一部にとどまっている」と回答したのが14の市と町。

▼「策定済み」と回答した自治体は1つもありませんでした。

救助や避難の遅れにもつながりかねない事態です。

命を守るために必要な計画の策定がなぜ、進まないのでしょうか。

自治体からは「支援を担う人を見つけることが難しい」という回答がありました。

そして、最も多く見られた回答は、「要支援者として登録されている人の数が多く、計画づくりのマンパワーが足りない」というものでした。

 

計画進まない要因は「要支援者」の名簿のあり方

国の指針では、『要支援者』は年齢を要件にするのではなく、1人1人の避難できる能力に着目し、『特に支援が必要な人』を対象にするのが適当だとされています。
しかし実際には県内19自治体中、16の自治体が年齢で要支援者を決めていました。

0005-00007-5.jpg高齢者、それぞれの避難能力の精査に時間がかかることが理由です。

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県危機管理課 南良一課長
対象年齢やハザードマップにお住まいの人とかを機械的に要支援者名簿に登録している自治体もあり、そのような自治体は策定すべき人の母数が増えてしまう

 

現場ではどんな課題が

金沢市の場合、75歳以上で高齢者だけの世帯は、基本的に「要支援者」として名簿に登録されることになっています。

民生委員の平田さんは、今『要支援者』とされている人の中にも、実際には自分で避難できる人たちが多く含まれていると感じています。

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民生委員・平田哲也さん
この町会では要支援者が332人いますけれども、本当に動けない人はそこまでいない。どこで線引きをするかによると思いますけれども、実際にはそんなに300人もいないと思いますし、もしかしたらも100人もいないかもしれないです。


一方、要支援者の要件から年齢を外している自治体も課題を抱えています。

内灘町は広報誌などを通じて、希望者がいれば要支援者として名簿に登録することを周知しましたが、希望者は数人にとどまり、もれなく把握することにはつながっていません。


地域で犠牲者を出さないためには

自治体による計画づくりがすぐには進まない中、1人の犠牲者も出したくないと、独自の取り組みを始めた地区があります。


金沢市米泉町の公民館。
この日、地域の住民たちがアプリの講習を受けていました。

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この地区では、これまで『電子回覧板』として活用してきたアプリに、災害時、安否情報を共有できる機能を追加したのです。

要支援者の状況を“見える化”することで、いち早い避難の誘導や救助につなげようとしています。

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山田八郎 町会連合会会長
むやみやたらに周辺を回って安否確認しようと思っても、なかなか支援できない場合もあります。このアプリを使いますと、瞬時に要支援者がどこにいるか確認できますので、非常に良いと思います。

 

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