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MOVIE 2022.08.14

第31回より 比企能員役・佐藤二朗さん

北条に謀られたと気づいたときの比企能員の心境は、どのように演じられましたか。

比企能員的には、一幡様が完全に跡を継ぐ方向で、北条に勝利したつもりで時政の和議の申し入れを受けた。でも、撮影していく中で演出の保坂さんと話して、能員は9割9分自分が勝った気で「和議を申し込んできおった時政が」って時政のところに行くんだけど、多少の不安があってもいいんじゃないかって。みんながよろいを着ているとか、そこで殺されるとまでは思っていなくても。
との今生の別れになるシーンはこれから撮るんですけど、若干危険のある場所にこれから行くというようなニュアンスをつけようと、保坂さんと話しています。これから撮るので、つもりでしかお話しできないんですけど、ちょっと不安というか…敵のところに乗り込むわけなので。殺されるとは思っていないんだけど、一抹の不安はあるようにしてもいいんじゃないかって。

ここまで演じられて、北条はどのような存在でしたか。

三谷さんの台本もそうなっているんですけど、比企能員は北条の中でも義時のことは非常に買っている。何かあると義時の意見を聞くし、義時の能力はすごく高く評価している。時政に関しても、世が世で違う時代に出会っていたら仲良くなれたかもしれないというか、敵対すべき相手だからああなっているけど、自分にない懐の深さとか、ちょっとお調子者だけど実は器が大きいとか、そういう自分にはないところを非常に認めているんだと思うんですよ。だからこそ敵対心を燃やす。
またね、本当に絶妙なキャスティングなんです。時政のちょっと気のいい感じに見えるけれども、どっしりとして懐が深い、器が大きいっていうのが坂東彌十郎さんそのものなんですよね。だから小栗が義時をやって、そのお父さんの時政を彌十郎さんがやっているっていうのは自分にとってわりと大きくて。憎しみ合う役どころでしたけど、非常に大好きな2人なんです。
さっきも言ったように、能員義時を評価しているし、時政も敵対心は持っているけれども器の大きさを認めている。だから第30回では義時に「お前は北条にしては出来がよい。一緒にやらないか」ということを持ち出すわけですよ。そして第31回の僕が亡くなる手前では、時政に「(石橋山の戦いでは)よう踏み切ったな」と。「わしは源頼朝という男を信じておった」「いずれでかいことを成し遂げる」と言う時政に対して、「大したものだ」と言うわけですよ。憎しみ合っているけどちょっと素直になるというか、本心がそこだけちょっと出る。すごくそこは大事だと思って演じました。

比企能員を演じるうえで、三谷幸喜さんから何か伝えられましたか。

三谷さんから最初に来たメールでは「呑気のんきなおじさんの皮をかぶったマクベスのつもりで演じてください」と。三谷さんも、まさか自分のメールがそのまま読まれるとは思ってなかったでしょうけど(笑)、これが僕のインの前日あたりに来たんですよ。わかりやすいですよね。最初はちょっと呑気なおじさんに見えるけど、能員頼朝が死んだあと誰よりも野心をむき出しにしていたので。でも、そのあとなかなか野心が出てこないので、“呑気なおじさんの皮をかぶったマクベス”じゃなくて“呑気なおじさん”じゃないかって思っちゃったんだけど(笑)。僕としては“呑気なおじさんの皮をかぶったマクベス”のつもりで演じました。三谷さんや視聴者のみなさんがどんな判断をされるかわからないけど。

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