特集

MOVIE 2022.07.03

第26回より 安達盛長役・野添義弘さん

生前もっともつながりが深かった者として骨壷こつつぼを持つという役目を仰せつかりましたが、どのようなお気持ちでしたか。

盛長的には、最初は骨壷を持つつもりはなかったと思うんですよね。頼朝の従者とはいえ、位としてはほかの御家人たちに比べて低い立場だと思うので、自分の中では参列しているところについて歩くのかなというくらいだったと思うんです。けれども、義時殿がああいうふうに言ってくれたので、結果的に自分がお骨を持って歩くことになって。だから義時さんの気遣いのおかげというか。北条家とは頼朝と初めて一緒に来たときからの付き合いですし、長い間、北条家の人たちとも一緒にいたということを考えると、親戚みたいな感じになっていたのかな…、本当に義時さんが気を利かせてくださって。昔からのよしみということと、頼朝が個人的に信頼している盛長に持ってもらったほうがいいんじゃないかっていう義時さんの判断があったからお骨を抱えて歩けたと思うので、そういう意味では北条家のみなさん、そして義時さんにすごく感謝の気持ちがあったと思います。
参列のシーンでは、「私が今、佐殿すけどのを抱えてますよ」という思いで歩いていたんですけど、途中でちょっと泣きそうになったりしましたね。

野添さん自身の感情も入ったのでしょうか。

落馬のシーンで、台本にはなかったんですけど、落馬をする寸前に頼朝様が「藤九郎…」と言ったんですよ。それは「頼朝様が本当に心から頼って慕っているのはやっぱり盛長だったんじゃないか」って大泉さんが提案されたんです。だから、歩きながらこれまでに撮影したいろいろなものがフラッシュバックしたりしていましたね。

改めて、盛長から見た頼朝はどのような存在だったと思いますか。

頼朝が京から来られた位の高い方だっていうのはもちろん承知していたと思うんですけど、たぶん最初はどういう人かわからない状態でお世話をするようになって。13歳のときからずっと一緒にいたので、プライベートでも本当に仲がよかったんじゃないのかなって。頼朝が人として安達盛長をすごく信用していたんだろうというのはすごく思います。
頼朝は自分が頂点に立つために坂東武者たちをうまく取り込んで利用し、坂東武者も頼朝をうまく信用させてどんどん大きくなっていきました。その途中には仲間でも容赦しないという頼朝の怖い部分もありましたが、それは自分の仕事を大成させるためのひとつの手段だった。ただ、必要な御家人たちが身の回りにいてもらわなきゃ困るので、頼朝が信用している御家人ももちろんいたと思うんです。けど、盛長頼朝はそこじゃない、ほかの御家人とは全然違う関係性だったと思うんですよね。前にもお話ししたことがあると思うんですけど、“お兄ちゃん”だったり“親戚のおじさん”だったり。大物になっていく過程にいた人間ではなくて、小さいころからひとりの人間として盛長にいろいろアドバイスをもらいながら大人に成長していった、ほかの人たちとは一線を画した関係。『吾妻鏡』にも、用もないのに盛長の家にしょっちゅう遊びに行ったとか、盛長の奥さんの丹後内侍が病気になったらすぐお見舞いにきたと。鎌倉幕府の歴史を記した『吾妻鏡』にそういうことが載っていること自体、やっぱり人間として相当信頼していたというか、本当に仲のいい、親戚の兄弟みたいな感じのいい関係が、鎌倉殿になっても続いてたんじゃないかなと思います。
頼朝盛長のシーンって結構コミカルなシーンも多かったのですが、今まで放送された2人のシーンを見ると頼朝様の顔が全然違うんですよね。戦に立ち向かっていくあの怖い頼朝の顔じゃなくて、2人だからそうなるというか。女の子に振られてショックで…みたいな話をしたりもするし、僕も「帰りますか?」とか、しゃべり方がちょっと違ったりして。表情もしゃべり方も2人になると違うっていうのがなんとなく出ていて、やっぱりお互いにお互いを一番信用している間柄だったのかなと思います。

特集

新着の特集をご紹介します