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INTERVIEW 2022.11.13

慈円役・山寺宏一さんインタビュー

~世界観にしっかりとハマれるように~

慈円役をオファーされたときの感想をお聞かせください。

まさか大河ドラマのお話が僕にくるとは思っていなかったので、びっくりしました。慈円という人物に関しては、僕が歴史にうとくてなんとなく名前を聞いたことがあるくらいだったのですが、三谷さんからイメージをお聞きしたり、自分でもいろいろ調べたりして、すごい人だなと。知れば知るほど深い人物という印象です。今回は後鳥羽上皇の指南役ということもありますし、天台宗のトップを務められ、さらに『愚管抄』を書いた方でもあるので、とにかく知性的な雰囲気を出せたらいいなと思っています。三谷さんには「威厳9割、いかがわしさ1割」と言われていますが、さてどう映っているのでしょうか(笑)。どうしてもいかがわしさを多めにやりたくなってしまうのですけれど、自分なりに調べた結果、「朝廷も幕府もどちらも大事」という考えの人だったようなので、朝廷側で悪だくみしているように見えても慈円はそんなつもりはないのかなとも思うんですよね。なので、史実の勉強もしつつ、三谷さんが描かれる姿をしっかり台本から読み取って演じたいと思っています。

ビジュアル面に関しては、どのような印象ですか。

お坊さんの役なので「頭、った方がいいんですか?」と三谷さんに伺ったら、「そのくらいの覚悟で出てください」と言われて、「剃るのかぁ、皮膚大丈夫かなぁ」とか「ほかの仕事大丈夫かなぁ」などと考えていたのですけれど、衣装合わせのときにスタッフの皆さんに「大丈夫です。頭巾をかぶりますので」と言われて、剃ったというていになっています。そして慈円は本当に偉い人ですから、豪華な着物で襟の後ろがヒュッと立っていて、そこから頭巾が出てるっていうね。自分では見えないのですけれど、なかなかユニークで、貴重な経験をさせていただいているなと思っています。あとはメガネをかけずにドラマに出ることもほぼないですし、僕は基本的に髪形とメガネでビジュアルをごまかして若作りをしようと頑張っているので(笑)、取るとなんだか裸で出ているみたいな気がして、自分では結構な違和感があります。

ふだんは声のお仕事が多いと思いますが、映像のお仕事ではどのようなアプローチをされているのですか。

いつも手探り状態です。不思議なもので、これがアニメならやったことがない役でも楽しんで演じることができるのですが、ドラマとなった途端に「この役は自分にできるのかな」と思ってしまうんですよね。なので一旦、「この慈円がもしアニメのキャラクターだったら」と自分の中で想像して、そこに表情をつけることを考える、というやり方を行っています。そうしないと「自分なんかにできるのか?」という思考に押しつぶされてしまうので…。それから朗読劇ですね。これまでにいろんな時代物の朗読劇をやらせていただいたのですが、それがすごく楽しかったので、「これが朗読劇だったら」というようにも考えました。

「アニメなら、朗読劇なら、こういうふうに役をつくるなぁ」と考えたら少し気が楽になりましたけど、カメラを前にするとやはり緊張しますね(笑)。撮影のあとにモニターのチェックがあって基本的にはあまり見ないようにしているのですが、せっかく差し出されたからと思って見ると、なんだか自分だけ不安を感じてしまうんです。オンエアを見ていても、出てくる人みんなが見事すぎるくらいハマっていて、ぴったりだなと感じるじゃないですか。なので、初の“ハマらない人”にならないように、勝手にハードルを上げつつ、演出の皆さんに託すところは託して頑張っています。

古くからのお知り合いである瀬戸康史さんと大河ドラマで共演することはどう感じていらっしゃいますか。

うれしいです! 彼が高校生のときから僕は知っていますから、彼がまだ上京してきて間もないころ、何年間も毎週のように会って一緒に番組をやっていました。ごはんを食べに行ったり、彼の夢を聞いたり、彼が番組を卒業するときは「いつかまた共演したいね」なんて話もして。役者としては、今回がそれ以来初共演なんです。しかも同じシーンもあって、「感慨深いね。うれしいね」って2人で話しました。瀬戸くんは機会があるとお世話になった人として僕の名前を出してくれるんですよ。そのたびに僕の株が上がるという。ありがたい存在です。大好きですね。大河ドラマで絡めたなんて、2人で飲みに行ったら僕は確実に号泣します(笑)。とてもうれしいです。

三谷作品にはこれまでも出演経験がありますが、改めて作品のおもしろさはどのようなところに感じられますか。

僕が三谷さんの脚本について何か言うなんておこがましいですが、皆さんご存じのとおり天才ですし、どんなものを書かれてもおもしろいなと思っています。この作品に関しては史実と創作の部分とコメディー要素が見事にマッチして本当に素晴すばらしい。登場人物がそれぞれとても魅力的で、視聴者は心を揺さぶられる。見る人の気持ちをつかむのが本当にお上手だなぁと感じています。歴史上の出来事ですから、調べればその人物の行く末というのはわかってしまうことなんですが、それでも毎回ハラハラドキドキ感動しっぱなしで見ていました。まさかそこに自分が出演することになるとは(笑)。慈円も重要なセリフやおもしろいシーンをたくさん書いていただき本当に感謝しています。かつて舞台の稽古で三谷さんに「山寺さんは読み合わせが一番おもしろかった」と冗談まじりに言われたことがあります。今回はそうはならないように精いっぱい頑張りたいと思います。

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