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INTERVIEW 2022.10.30

和田義盛役・横田栄司さんインタビュー

~義盛たちの宿命に思いを馳せて~

改めて「鎌倉殿の13人」における和田義盛はどのような人物だったと思われますか。

結構人望のある人なんだということが徐々に明らかになってきたので、「もうちょっと人望のある人ふうなことをやっておけばよかった」という後悔を多少しています(笑)。でももしかしたら、あまりだまし討ちみたいなことをしなかったのが義盛のいいところだったのかもしれませんね。演じていて思ったのは、三谷さんが今回書かれた和田義盛って、結構いくさをするのを嫌がっているんです。いつも誰かと戦うときに「気が乗らねぇなぁ。嫌だなぁ」と言っているんですよ。勇猛果敢な猪武者いのししむしゃではあるのだけれど、すごく仲間思いな部分もあって、「平家を一緒に倒した仲なのになんで争わなきゃいけないんだ」的なことを結構言っているんですよね。そういう意味ではとてもいい奴だったんじゃないかなと思います。

最終的には義盛も、長く一緒にいた仲間たちと争うことになってしまいましたが、和田合戦が描かれた第41回の台本を読んだ感想はいかがでしたか。

第36回で畠山が退場して以降、わりと胸が詰まるシーンの連続で…。もちろん第40回、第41回も苦しくて、初めて読んだときは涙が止まらなかったですね。僕は撮影が始まって1年くらいの間、ほとんど三谷さんにメールをしなかったんですけれど、「第36回の畠山退場のとき泣いちゃいました」と連絡をしたら、「和田合戦も今書いていますから、楽しみにしていてください」と返信をくださって。読んでみたら実際にものすごくすてきに書いてくださっていたのでうれしくて、今度は「三谷さんありがとうございます」とお礼の連絡をしたんです。そうしたら「第1回から頑張ってくれた横田さんへのお礼とご褒美」と返ってきたので、それにお応えできていたらいいなと思います。あと、がめちゃめちゃカッコよく描かれていてうれしかったです。「一緒に殺されなくてよかった」と思いましたね。

義盛と巴はどのようなカップルだったと感じますか。

当時は現代と比べると男女の格差がある時代だったと思うんです。でも義盛はそれにそぐわない“かかあ天下”というか、力関係のバランスがいい男女だったのではないかと。この作品ではそういうふうに描かれていたなと思います。
結局は最後、僕らの戦いにを巻き込んでしまって申し訳ない気持ちもありますが、とにかく生き延びてもらいたいです。生きてさえいてくれればそれでいいと、そう思っています。

終盤では、ビジュアルがそっくりな息子たちも登場しました。親族がそろってどのような思いになりましたか。

なんか暑苦しかったですね(笑)。和田屋敷にみんなが一堂に会して、に向かって「義母上ははうえ! 義母上!」って(笑)。でも、義盛にはずっと家族が出てこなかったので、一族に会えてうれしかったです。
ビジュアルは、みんながいろんな毛むくじゃらを追求してきてくれて、おもしろかったですね。胸毛があって腕毛がない人とか、眉毛が僕よりすごい人とか、みんなちょっとずつ違って楽しかったです(笑)。

当初は仲の良い友人だったのに対立する形になってしまった、義時と義村のことはどのように思っていますか。

長い期間、撮影をしていると、小栗旬を見ているのか小四郎を見ているのか、義村を見ているのか山本耕史を見ているのか、だんだんとぜになってくるような瞬間がありまして。そういう意味ではとても悲しかったり、「お前たちの理屈もわかるからしょうがねぇな。お前たちにはお前たちの立場もあるし、考え方もあるからな。だったら戦で決着つけて、俺が死ねば済むのか」と考えたりして、複雑な思いです。彼らの理屈はさすがの和田義盛でも理解しきってしまっているんですよね。「こういう時代だし、しかたないか。お前らの意見に乗るよ」という思いが増えていったような気がしています。

もちろんはなから負けるつもりはありませんでしたが、でも戦場では何が起こるかわからないので、そのあたりは難しいですよね。「命を落とすくらいだったら逃げちゃえばいいのに」と横田栄司としては思いますけれど、きっとそうはいかない時代だったんでしょうし、和田義盛畠山重忠はそうは思わなかったんでしょうね。と、彼らの宿命を思ってすごく悲しくなる今日このごろです。

仲間たちとの争いが増えてしまった今、逆に「あのころは楽しかったな」「好きだったな」と思い出すシーンはありますか。

楽しかったシーンはたくさんあります。例えば第27回で、13人の宿老による政治のメンバーを選ぶときに三浦義村が言った「もうすぐ死にます」というセリフは、現場でみんな、ちょっと呼吸ができないくらい笑ってましたね(笑)。「あいつはどうした」「あの人は死にました」「じゃあ、あいつは?」「もうすぐ死にます。じいさんはやめておきましょう」って。あれは相当おもしろかったです。テンポ感が素晴すばらしかったですね。
あとは第34回で、実朝を寄ってたかってみんなで教育するシーンも好きでしたね。義村おなごとの上手な別れ方講座を開いたり、僕が弓を教えたり、相撲を取ったり。その後、第35回のおばばの占いテントのシーンもなんとも言えず胸が熱くなる思いでした。大竹(しのぶ)さんと久しぶりに会えたので、ちょっと興奮しました(笑)。

三代鎌倉殿・実朝とは、いわゆる主君と御家人という関係性を超えた特別な空気感がありましたが、義盛にとってどのような存在だったと感じていますか。

これは三谷さんのお言葉ですが、義盛実朝の姿は、シェイクスピアの『ヘンリー四世』で描かれる、ハル王子をフォルスタッフというベテラン軍人が飲み屋に連れ回したり、一緒になって悪さをしたりする姿をイメージしていたそうで、なるほどなと。良いことも悪いことも全部教える先輩というか、間違った教育者というか(笑)。そして年の離れた親友のような、そういう関係だったかな。
演じる柿澤勇人さんとの久々の共演は、ものすごくうれしかったです。「おおー!!!」ってなりました(笑)。今回再会するまでの間にも彼が出演している舞台をに行ったり、彼が大河ドラマの放送を見てくれていたりしたのでそんなに久しぶりという感じではなかったのですが、やっぱり2人とも主戦場がずっと舞台だったので、ドラマの現場での再会は不思議な懐かしさを感じるというか、舞台人同士の心の交流みたいなものがあったような気がします。

和田義盛として生きる時間が終わった今、どのようなお気持ちですか。

僕の出演は第41回までなのですが、終わってしまう恐ろしさとさみしさがすごいです。いったい僕はこれが終わったらどうなってしまうのだろうかと…。「鎌倉殿の13人」の現場はある意味“ふるさと”のような場所になりつつあったし、通い続けたたくさんの思い出があるので、そこから放り出されるような恐ろしさというか、寂しさみたいなものを少しずつ感じて、今は抜け殻のような思いです。
ですが、おそらく僕が日本で一番、和田義盛を好きなんじゃないかなと自負するくらいすごく思い入れのある人物になりましたし、そうしてくださったのは、脚本の三谷さんをはじめ、関わってくださったスタッフの皆さん、共演者の方々、そして和田義盛可愛かわいがってくださった皆さんのおかげだと心から感謝しています。本当にありがとうございました。

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