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INTERVIEW 2022.10.23

北条義時役・小栗旬さんインタビュー<後編>

~心が崩れていくような苦しみと覚悟~

第1回から共に行動してきた友人との争いが、また始まろうとしています。

和田合戦については、さまざまないざこざがあったけれども、義時としては「もう和田を殺さなくてもいいか」という答えにたどりついているのに、和田に挙兵されてしまうという展開なんですよね、今回は。義時を演じていて思うのは、心臓があったとしたら、徐々に周りがポロポロポロポロ崩れていくような、そんな感じなんですよ。それでまた一つ心が崩壊するというか、どんどん研ぎ澄まされていって、すごい鋭利なものになっているような感覚です。ドラマのスタートから言えば、義村重忠義盛は自分の中では幼なじみのような存在なので、戦わなければいけないというのはやっぱりしんどいです。僕らは作品をつくっている側なので、視聴者の皆さんにはどのように見ていただいてもいいとは思いつつも、でも義盛がすごく愛されるキャラクターになっているのを見ると「(小栗旬としては)俺だって和田と争いたくはないんだけどなぁ」と思ったりはします。

昔の仲間たちとの対立が続く中、三浦義村とは“敵か味方か”という状態が続き、徐々に関係性も変化してきているように感じます。

そうですね。平六が裏でいろいろ動いているのはなんとなく知っているし、「下手するとあいつは裏切る可能性がある」とは思っているんですけれど、それでもやっぱり「最後の最後まで自分の味方でいてくれる」とも思ってはいるんですよ。まぁそれも今後少し揺らいできたりするのですが、それはそれでおもしろいところかなと思いますし、史実の2人の関係性を三谷さんがどうアレンジされるのかは、僕としても楽しみなところです。でも義村の気持ちを考えると、あまりに存在が大きくなっていく義時をなかなか穏やかに見ていられない状態にはなってきているのかなとはやっぱり感じますね。

そして息子・泰時はかねてより義時のやり方に反発をし、自らさまざまな行動を示すようになってきました。父としては、そんな息子にどのような思いを抱いているのでしょうか。

以前セリフにもありましたが、やっぱり昔の自分に重ね合わせているところはあると思うんですよね。泰時が自分に反発したり、いろいろと自主的に行動したりするのを、ある種、鏡を見ているように感じているのかなと思っています。今や反面教師みたいになってしまっているのですけれど、でも逆に、泰時義時に反発し、義時のやることを絶対に正しいとは思わない考えを持っていてくれるのであれば、跡取りとしては正解だと思っていて、だからこそ彼がどんどん自分の言うことを否定できる環境をつくっていくことが次の世代を育てるためには大事なことなのかなぁと義時は思っている気がします。

姉・政子との関係はいかがでしょうか。少しギクシャクしているように見えて、やはり一心同体であるようにも感じますが、どのような存在ですか。

義時は本来は家族が大好きで、どんなに立場が変わっても彼の中で最後に気を許せるのは家族だと思うんですよね。もちろん関係性は変わってきているし、いろいろなことがあるけれども、義時の中では「とはいえ姉上は自分のことをわかってくれているし、自分も姉上を信頼している」という思いがどうしても抜けないというか、それを手放すことはできないんじゃないかと思っているんです。ただ、すべてにおいて「なんで、わかってくれないのかな」という思いは強いような気がしますね。それぞれに感情があって、それを思い通りにできないなんてことは十分わかっているんだけれど、近しい関係だからこそ「なんで」と。

以前「大河ドラマの話を受けるとき、いろんな先輩方に相談した」とお話しされていましたが、物語も終盤になった今、もし小栗さんが誰かに同じ相談をされたらどのようなアドバイスをしますか。

難しいですね。なぜかというと僕は、たぶん相当恵まれた環境にいさせてもらっていると思うんですよ。スタッフは素晴すばらしいし、僕たち役者の気分が乗れる脚本を書いてくれる脚本家がいて、それを限られた中でどれだけいいものにできるかとみんなで全力を尽くしていく。僕はかなり居心地のいい場所でやらせてもらっていると思うから、お話を聞いた方は皆さん「大変だった」と言うけれど、はっきり言って僕は今のところ「そこまで大変だとは思ってないんだよなぁ」という感じてきてしまっているんです。なので今後主演をするという方にアドバイスをするなら、やっぱりまずは“自分の環境を整える”ということかもしれないですね。
先に主演を経験した先輩には「人間力を試されるような場所だ」というお話をしていただいたのですが、僕の感覚としては、ありがたいことにそんなに人間力を試されてはいないような気がするんですよね。まぁ僕の器がもともと大きいのだとは思いますが(笑)。…それは冗談としても(笑)、自分のことは自分でしっかりできるスタッフと俳優がそろっているし、いつでもスタジオでクリエイティブな話をみんなとできる環境になっているので、あんまりストレスを感じていません。

さまざまなところで現場での小栗さんの評判は高く聞こえてくるのですが、ちなみに最近はマスクにどのようなメッセージを書いているのですか。

最初のころは時事ネタも多くて、「大谷くんがホームランを打ちました」とかも書いていたんですけど、最近はその日頑張らなきゃいけない人に向けて書いていますね。ちなみにきょう(※取材当日)は、「盛綱爆誕」(第39回)と書きました!

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