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INTERVIEW 2022.09.25

平賀朝雅役・山中崇さんインタビュー

~京と鎌倉の間で揺れる心~

今回のオファーを受けたときの感想を教えてください。

うれしかったですね。脚本の三谷幸喜さんからは「品はいいんだけど、うさん臭い」という平賀朝雅のイメージをお聞きしました。「色悪いろあくをやってほしい」とも言われて、「僕が色悪ですか?」と思ったのですが、「山中さんがやるからおもしろいんだよ」と言ってくださって。あとは、「宮沢りえさんを本気で口説いてほしい」とも言われましたね(笑)。「りくさんをではなく、りえさんをですか?」と聞き返したら「うん、りえさんを」って。これはなかなか難しいなと(苦笑)。りくさんは平賀朝雅と同じく公家の流れがあるので、気が合う感触はありました。しかし、“りくさん”ではなく“りえさん”を口説くとなると話は別なので、難しかったですね。でも心の奥では、チャレンジしたつもりです(笑)。

クランクインに向けて準備されたことはありますか。

特別なことは…フランス映画を見たとかですかね(笑)。「おフランス帰り」というイメージもいただいていたので、参考になるかなと。役に立ったのかはわかりませんが(笑)、鼻にかけてセリフを言うように意識して演じています。あとは、「香水の匂いがする感じ」というお言葉もいただいていたので、クランクイン前にちょうど京都へ行く機会があったので、「塗香ずこう」というお清めのために塗る香水を購入し、現場に入る前に付けるようにしました。映像でお伝えするのは難しいのですが、本当に匂いがしたらおもしろいかなって。そう考えると今回は、ちょっと新しいアプローチをさせていただくことが多いかもしれないです。

「鎌倉殿の13人」における平賀朝雅はどのような人物だと思いますか。

朝雅は、おそらく公家に憧れを抱いているので、京都守護という役職に適した人材だと思います。しかし本心では、蹴鞠しゅうきくをやったり、歌を詠んだり、お茶を飲んだり、鳥の鳴き声を聞いて「いいなぁ」と思ったり、そういう日常を送っていたい人のような気がするんですよね。ただ、源仲章にそそのかされて、「もしかしたら自分も権力を握れるんじゃないか」と一瞬、頭をよぎってしまい、そこから歯車が狂い始めたのだと思います。悪魔に魂を売ってしまった瞬間といいますか。
生田(斗真)さんが演じる仲章が、ほのめかすような言葉をひょうひょうと言ってくるんですよ。台本を読んだときは重く攻めてくるのかなと思っていたのですけれど、軽く言われるので、「あ、そうか。いけるかもな」と思わされてしまい、まんまとてのひらで踊らされました。

時政とりく夫妻のことをどのように見ていたのでしょうか。

そうですね。時政さんって、実はおなかの中がすごいじゃないですか。見た目からするとそんなに怖そうじゃないけれど、実は怖い。でも正直な話、僕には「りえさんを口説く」というミッションがあったので、時政さんのことはそんなに視界に入れないようにしていました(笑)。初登場シーンでは、りくさんに花束を持っていきましたが、実はこのときにウインクもしていたんですよ。時政さんが怒るんじゃないかというギリギリを狙う感じで。それでも時政さんは、りくさんが幸せそうであればそれでいい人なので、「楽しそうだなぁ」と思って見ていたのだと思います。なので、目の前で堂々とさまざまなチャレンジをさせていただきました(笑)。

畠山重忠の乱では朝雅の言動が引き金となりましたが、争いの絶えない鎌倉のことをどのように感じていますか。

僕の勝手なイメージでは、朝雅は京都守護として京にいる時間も長くなっているので、鎌倉で起こることは対岸の火事というか、ちょっと遠い国の出来事のように感じてしまっている気がします。本気で「鎌倉がやばい。どうしよう」と思うよりも「あっちは怖いね」という感覚で、すごく悪い言い方をすると、“他人事ひとごと”になっているのではないでしょうか。京に対して逃げ道をつくり、どちらにもうまく身をおける自分にしたいというズルさを、朝雅には感じます。

時政さんから「鎌倉殿に」という無茶むちゃ振りをされるシーンでも、「100%嫌」なのか、心の片隅では「やっぱりちょっと…」と思っているのか、どちらなのかを演出とご相談させていただいたんです。僕としては、野心が残っている感じのままリハーサルをしたのですが、結局は「鎌倉は恐ろしいところだ」と思っているという方向で撮影をしました。どちらでもおもしろいとは思うのですが、結構悩んだところでしたね。

では、憧れの京チームの印象はいかがですか。

後鳥羽上皇を筆頭に、京チームもやっぱり怖いですね。何をどこまで知っているのかわからないし、本気の探り合いをしているし…。公家に憧れているので、「あの輪に入りたい」「心を開いてもらいたい」という思いはすごくあるのですが、ふとしたときにすごく怖い顔で「俺は知ってるよ」という目で見られるので、行きたくても行けない高い壁があるように感じます。朝雅としては、“なんとかしがみついていきたい集団”ではあるのですけれど。

これまで撮影された中で、印象的だった場面はありますか。

まずは、第35回の義時対峙たいじするシーンですね。時政さんとりくさんの愛息である政範に毒を盛った件で疑いの目を向けられ、「自分じゃない」と主張するのですが、それを「バレているかもしれない」と思いながら言うのか、「全然やってないですよ」とケロっとして言うのか、などの温度感をリハーサルと本番でいろいろと試させていただきました。しかもそれを小栗旬さんと一緒にすることができ、とてもおもしろかったですね。小栗さんはみんなを引っ張っていく力のある方で、本当に魅力的です。これまで同じ作品に出させてもらったことはあるのですが、同じシーンは初めてでしたので、すごく楽しみにしていましたし、うれしかったです。

あとは、第33回で登場した州浜台すはまだいのジオラマがすごかった! 当時は京の外になかなか出られないから、日本各地の風景をジオラマで再現していたようで、それが本当に立派で驚きました。「少しのシーンなのに、こんなに豪華な小道具をつくるんだ」と感激しましたね。
放送を見ていても「一つ手を間違えると、命取り」という朝雅のセリフがまさにというような、すごくハラハラする展開ばかりで、怖いけれどもおもしろいなと感じています。この鎌倉バトルロイヤルの中で、僕もちゃんとスパイス的存在になれていたらいいなと思っています。

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