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INTERVIEW 2022.09.18

畠山重忠役・中川大志さんインタビュー

~切なくもカッコいい 重忠の生きざま~

重忠の最期が描かれた第36回の台本を読んだ感想はいかがでしたか。

畠山重忠の乱」が自分のゴールになることは最初からわかっていたことではあっても、今回のドラマにおいてどのくらいのボリューム感で扱われるのかについては、僕も台本をいただくまでわかりませんでした。けれども第36回の台本を読んでみたら、三谷さんがこれまで僕が演じてきた重忠をしっかり受け止めてくださっているように感じましたし、「まさしく自分がやってきた道筋の先になんのズレもなく存在する重忠だ」と思いました。例えば和田義盛さんとの関係性など、今まで積み重ねてきたものをとてもすてきなラストとしてつくってくださり、本当にうれしかったです。

見た目や所作など、重忠が年を重ねたことを意識した点はありますか。

自分より年下のキャラクターが増えていき、重忠自身の身分が上がって幼なじみのような義時さん、義村さん、義盛さんとの距離感も少しずつ変化していったので、根本的に話し方や動き方を変えるというよりは、周りとの関わりによって自然と変わってきたところがあるのかなと思っています。あとは外見的なことでいうと着物も変わりましたし、途中からヒゲが生えたりもしたので、そういうビジュアル面からもらっているエッセンスが芝居に影響していたことはあったかもしれないですね。

家族ができたことも大きな変化だったと思いますが、妻・ちえ、息子・重保はどのような存在でしたか。

重保とのシーンは少しでしたが、一緒に撮影したときに周りの方々から、「登場してきたときの重忠に重なるね」という声をいただいたんです。重忠に通ずるものがあるというか、間違ったことを見逃せなかったり、正義感が強かったり、「重保は、重忠という父親の背中を見て育ってきたんだな」と感じる部分があってうれしくなりました。

ちえは、すごく複雑な立場にいますよね。畠山重忠の乱が勃発していくうえで、自分の父親と夫がいくさをするという構図はかなり苦しかっただろうなと…。だからこそ、僕が大切にしていたのは、「少しでも包み込んであげたい。安心させてあげたい」ということでした。ちえの前ではいつも強くいたいし、不安を感じさせないようにしたい。それが重忠の愛であり、優しさだと思ったので、意識して演じていたところですね。ちえとの別れも、“送り出す奥さんと戦にいく亭主”という関係性をすごく丁寧にカッコよく描いていただけて、良いシーンになったと思います。

正反対の性格でありながら共に行動することの多かった義盛のことを、重忠はどう思っていたと思いますか。

なんだかんだ好きだったと思います。第36回の中で僕が一番グッときたシーンが、義盛さんが重忠を説得しに来てくれる場面でした。やっぱり第1回の初登場から一緒にいましたから、「最後の最後、2人の関係性はこうなるのか」とすごく切なかったですね。別に仲違なかたがいをしたわけでもないし、「なんでこんなことになっちゃったんだろう」とお互いに思っているけれども、「もう引けないところまで来てしまっている」という思いも共有している感じがまた…。でもやっぱり武士だから、「最後まで俺の意地を通させてくれよ」と思っていて、それを話せたのは相手が義盛さんだからだと思うんです。僕はあの戦は、勝って何かを手に入れるとか、負けて何かを失うとかじゃないと思っていて、「戦うことに意味がある」という重忠の生きざまなのかなと感じました。だからこそ義盛さんとの対峙たいじには熱いものがありましたね。しかも、重忠義盛さんのことをすごくよくわかっているじゃないですか。それがまたニクいというか(笑)、「言葉なんて交わさなくてもあなたのことなら全部わかってますよ」というのが、演じていてうれしい部分でもあり、切ないなとも思いました。

そして義時とは、お互いを信頼しあう間柄だったと思いますが、北条方と戦う中で重忠は何を感じていたのでしょうか。

重忠が戦う意味はおそらく、義時さんへ向けてのメッセージだったと思います。彼の苦しんでいる姿をずっと見てきたからこそ、言葉にはしないけれども、「こうなってしまった状況の根源は時政さんであり、そこを変えられるのは義時さんしかいない」と重忠が一番わかっていた。「あなたは今のままではダメなんじゃないの」「本当はわかっているでしょ、心の中では」という二人のやりとりが第35回のラストにありましたが、それでも戦になってしまったときに重忠が成し遂げようとしたのは、義時さんをコテンパンにして目を覚まさせることだったのではないでしょうか。

もちろん息子を殺されたことへの怒りや憎しみはあるのですけれど、その根源はゆがんでしまった政治体制や権力争いです。だから、「俺は死んでいくけど、こんな戦を二度と起こさないでくれよ」と伝えたかった。正直、自分のことはあまり考えていなかったと思います。それが重忠義時さんへの愛情であり、矛盾しているかもしれないけれど、本気で殺しにいった、それこそが、重忠があの戦に挑んだ意味なのではないかと僕は思っています。

出演者発表の際に「ようやく戦えるのかとワクワクしている」とおっしゃっていて、最期は特に激しい戦いになりましたが、感想はいかがでしたか。

そうですね。頼朝さんの時代からいろんな戦に参加してきましたが、畠山重忠の乱が僕の集大成ですし、こんなにしっかりと重忠の戦い方にフォーカスしてもらったのは最初で最後かなと思います。これまでやってきた馬の稽古や殺陣たての稽古の成果を存分に出せる内容になっていたので、楽しく戦うことができました。撮影の時期も、実際の畠山重忠の乱と同じような季節だったので、当時どんな状態で戦っていたのかという想像をしながら挑めました。

畠山重忠として生きた時間は、どのようなものになりましたか。

最初に大河ドラマに出演させていただいたのは、中学1年生のときでした。そこから数えて今回が4回目となり、今までの作品の中で一番長く関わらせていただきました。だからこそ新しい課題がたくさん見つかった一年でしたが、畠山重忠のまっすぐさやカッコいい生きざまに自分自身何度も奮い立たせてもらったなと思っています。とにかく楽しかったです。
だから、死にたくない!(笑) 「鎌倉殿の13人」の現場には本当に撮影開始の日から参加させていただき、今までは卒業していく仲間を見送る立場でしたが、ついに自分の番がきてしまいました。1年以上携わらせていただき、本当の家族のようなすてきなチームワークの中で過ごさせていただいていたので、「もうちょっとこの世界で生きていたかったな」と思います。とても濃密な時間でしたので、去るのはとても寂しいです。

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