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INTERVIEW 2022.08.21

仁田忠常役・高岸宏行さんインタビュー

~すべての時間が宝物です~

大河ドラマ初出演でしたが、オファーを受けたときのお気持ちはいかがでしたか。

どんな仕事でも、それを通じてどう応援していけるかを考えていますし、僕もドラマを見て元気をもらったり感動をもらったりした経験があるので、お話をいただいた以上は応援人としてベストを尽くそうと。そういう覚悟というか、気持ちの高まりを感じたのを覚えています!
ドラマに出演すること自体初めてでしたが、所作の先生などに「ひとつひとつの動きに人の性格が出る」と教わったので、別の仕事をしているときも、もちろんそちらにも集中しつつ、空き時間にバットやゴルフクラブを使って立ち回りを確認してみたり、日頃から歩き方を意識してみたり、そういう訓練をするように心掛けながら撮影に挑みました。

今回関わるにあたって、事前に歴史は調べましたか。それとも共に歩んでいこうと思っていましたか。

僕はやりながら学ぶようにしました。というのも、僕は不器用なので、先をわかってしまうと気持ちのコントロールが難しいかなと…。そのとき本当に思ったことを表現することしかできないので、その都度新鮮な気持ちでやるのが僕のやり方かなと思います。誰がいつ討たれるとか、そういうのを知ってしまうと自分の中で何かが変わってしまうんですよね。なので、その時その時の仁田さんの気持ちを大切に演じることを意識していました。

「鎌倉殿の13人」における仁田忠常はどのような人物だと思いましたか。

当初は、「勇猛果敢で、いつも楽しそう」というイメージをお聞きしていたんですが、演じるにつれて、情の熱さや信念の強さが彼の勇猛さにつながっているんだなとか、仁田さんのパーソナルの奥行きをすごく感じられたので、三谷さんの役への味付けはすごいなと思います。ストーリーはもちろん、すべての登場人物の輝かせ方、見ている人の脳裏に刻まれるワードの強さなど、五角形のグラフ全部がパンパンな、脚本界のイチローさんだなと感じているんです。そんな中で、仁田さんもただ一点、「勇猛果敢で、いつも楽しそう」だけではなくて、仲間への忠誠心が強く、すごく愚直で真面目かつ情熱的な人だということが見えてくるんですよね。それが仁田さんらしい輝き方だったと思うし、彼の力強さも信念があったからなんだろうなと思います。

三谷さんは演じる役者に当て書きをする脚本家でもありますが、第22回では高岸さんのキャッチフレーズ「やればできる!」がまさかのセリフになりました。知ったときはどう思われましたか。

あれね(笑)。もちろん僕は高岸としてではなく、仁田さんとして「やればできる!」を放ったつもりです。いつも通り魂を込める感じで言いましたし、子どもたちに対するエールという意味では現実の高岸と一緒だったかもしれないですが、そのあとの「やっぱり無理です」という仁田さんの感情が僕にはあまり理解できなくて、難しかったですね。僕は、「挑戦することが大事」「挑戦すれば成長は約束されているよ」というメッセージを込めて「やればできる!」を言っているので、「仁田さん、できてるよ!」って思っちゃったんですけど、でも仁田さんとしては、不慣れなことをさせられてパニックになって逃げたかったんでしょうね。

僕は子どもが大好きなんですよ! なので撮影の合間はみんなで手遊びをしたり、まりを何回落とさずに投げられるかのチャレンジをしたりして過ごしていました。僕のことを知ってくれている子も多くて、それもすごくうれしかったし、楽しかったですね。

当初からご近所さんとしてお付き合いしていた北条義時のことはどんな人物だと思いましたか。演じる小栗旬さんとのエピソードもあれば教えてください。

義時さんは、純粋でまっすぐだからこそ吸収していく間口が広い人ですよね。器の広さが出ているなと思います。だからこそいろんな影響も受けやすくて、それを吸収することで今後の人格形成が変化していくんだろうなと。受け止め方がとても柔軟な人なんだろうなって思います。
小栗さんもとても器の大きい方で、誰にでも分け隔てなく愛情を与えてくださいますし、新参者で会ったこともなかった僕にも小栗さんから話しかけてくださったりして、ありがたかったです。お誕生日にはプレゼントをいただいたのですが、それ以外にも、オレンジのものがあると「これは高岸さんに似合うだろうと思って」と言って買ってきてくださるような方なんですよ! その優しさやまっすぐさが義時さんに出ているんじゃないかなと感じますし、ああいう人になりたいなって思いますね。

そんな義時に忠常は最後の最後まで頼ろうとしましたが、タイミング悪く話を聞いてもらえず、どんどん追い詰められてしまいました。忠常の選んだ最期をどう思われますか。

仁田さんはとても思い入れのある人になっているので、ショックでしたね。実際どうだったかはわかりませんが、あの時代に行って「大丈夫だよ。ひとりじゃないよ」と言ってあげたくなりました。だからこそ、義時さんは最後の頼みだったんですけどね…。
仁田さんがああいう最期を選んでしまったのは、自分の信念の矛盾だと思っています。一番のセールスポイントだった信念に対して矛盾が起こった時点でパニック状態になってしまって、自分の今までの軌跡もそうだし、今の自分の存在価値ってなんなんだろうなって思っちゃったんだろうなと解釈しています。

仁田忠常として生きた時間はどのようなものになりましたか。

僕は、キャスト・スタッフの方や視聴者の方を応援しよう、そして仁田さんの魅力をより知っていただけるようにベストを尽くそうという思いできょうまで演じてきました。でも、仁田さんの考えていることを自分なりに消化して気持ちを重ねた結果、自分も成長できたし、最終的に仁田さんに応援されたような気がしています。末裔まつえいの方だったり、仁田さんのファンの方に「高岸くんが演じてくれてよかった」と少しでも思っていただけたらいいなと思いますが、僕としては「全シーンに魂を込めてやりきった」と思えています。本当にすべての時間が宝物で、一生の思い出になりました。

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