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INTERVIEW 2022.08.14

道役・堀内敬子さんインタビュー

~母としての強い決断~

大河ドラマ初出演でしたが、オファーを受けたときのお気持ちはいかがでしたか。

こんなに和風の顔なのになんで今まで時代劇にも大河ドラマにも出演していないんだろうって自分で思っているのですが(笑)、ご縁がなかったんですよね。なのでお話をいただいたときは「やった~!」という感じでしたし、親戚一同、そして近所の方まで喜んでくれて、「おめでとう」と言ってもらいました。それだけでも本当にうれしくて、やりがいがあるなぁと感じます。

「鎌倉殿の13人」における道はどのような人物だと思いましたか。

夫婦にはいろんなタイプがあると思いますが、三谷さんからは「比企能員は一緒に頑張るタイプの夫婦」とお聞きしました。あとは、「可愛かわいいほうがいい」と言われたんですけど…可愛くできたのでしょうか(笑)。とにかく、三谷さんに言われたことを念頭に置きつつ、周りのみんなとのバランスを見ながら演じようと思っていました。

私自身はのように積極的に発言をするというよりは、どちらかと言えば周りを観察して多数の意見に合わせがちなのですが、以前出演していた舞台を三谷さんが見に来てくださって、そのときがすごく強い母親の役だったんですよ。その印象から今回、強い母としてを描いてくださったのかなという気がしています。ありがたいですね。

政治の一翼を担うことで少しずつ野心を見せ始めた夫・能員のことはどのような存在でしたか。演じた佐藤二朗さんの印象も教えてください。

二朗さんは最初のころから「母上(比企尼)と妻()の間に挟まれたマスオさん的な人物にはしたくない」とおっしゃっていました。なので、表面では何を考えているか見えにくいけど、本当はなかなかのたくらみを持っている人のように感じておもしろかったですね。なので私としては、「そのたくらみに対して何かヒントを与え、表に出てやってくれるのはあの人」みたいな感じで、ついていこうと思っていました。
二朗さんは本番ギリギリまで芝居を固めない方といいますか、こちらの言い方が少し変わるだけでどんどん変化されるので、すごいなと思います。普通はやっぱり安心したいから、どうしても演技プランを固めて挑んでしまうと思うんですけど、二朗さんはギリギリでプランを変えることのできる役者さんなんですよね。私がそもそもアドリブが得意なほうではないのでよりビックリしてしまったのかもしれませんが、とても珍しい方だなと思いました。

比企家はとても結束力のある一族という印象があるのですが、家族でのシーンはいかがでしたか。

二朗さんと草笛(光子)さんがいらっしゃるから、私が何もしなくても何か起こるんですよ。それを見ているだけでもすごく刺激的だったし、楽しかったですね。特に草笛さんとご一緒していてすごいなと思ったのは、比企尼が北条への怒りを抑えきれずにひじ掛けを投げるというシーンがありましたが、あれ、テストで投げたら壊れて、スタッフさんから「投げちゃうと壊れてしまいますので…」と言われたのに、最後までやりきられたんですよね(笑)。計り知れないパワーと長年の経験からくる役の感情のつくり方を間近に見ることができた瞬間でした。もし私がスタッフさんに言われたら「すみません、やめます」ってすぐ別のアプローチを探してしまうと思うんですけど、いいシーンをつくるために時には突き進むというのがすてきだなと。確かに、少しご迷惑はおかけしますが、小道具は直していただくこともできますからね。ああいう勢いは持たないといけないなとすごく勉強になりました(笑)。

愛情深く育ててきた頼家の印象はいかがですか。

彼は若くして鎌倉殿になってしまって、なんだかはかない人ですよね。昔から体が弱かったので、寝たきりの状態になってもはそこまで驚かなかった気がして、それも切ないなぁと思います。大きくなってからあんまり同じシーンでの共演はなかったですが、演じる金子大地さんはすごく目の力が強い俳優さんという感じで、頼もしかったですね。

三谷脚本のおもしろさはどのようなところに感じますか。

私ね、歴史が全然わからないんですよ。どこまでが史実で、どこを三谷さんがお考えになっているのかわからないので、台本を読んで「本当にこんなふうに亡くなったの?」と思って調べて「本当だ!」みたいなことをずっとやっていました。歴史に詳しい方はきっともっとおもしろいでしょうね。だから「三谷さんの脚本おもしろいですよね」と言われるとなんだか私がうれしくて。身内みたいな気分になって、「三谷さんおもしろいって!」と言いたくなります(笑)。

比企家の滅亡が描かれた第31回の台本を読んだときの感想はいかがでしたか。また、道が選んだ最期についてどう思いますか。

正直、「いつ滅亡するんだろう」とずっと思っていて、「やっときた! こうなるんだ」という答え合わせができた気がしておもしろかったですね。ほかの方がどう思っていらっしゃるかはわかりませんが、個人的には「思っていたより長くいたなぁ」と思っています(笑)。満足です。

は、そもそも能員が死んだってことがわかった時点で「もうおしまいだ」と思っただろうし、そうなったら自分よりも子どもたちに生きてほしいと願ったのかなと。お母さんだったらみんなそうするんじゃないかなって思うから、まったくなんの疑問もなく、すがすがしく演じることができました。

道として生きた時間はどのようなものになりましたか。

大河ドラマに出るってなかなかない経験ですし、次はいつになるかもわからないので、とにかくいろんな人をよく見て勉強しようと思っていました。とても充実した撮影期間だったと思います。序盤はコメディーっぽい要素も多かったですが、あっという間にシリアスになってしまい比企家は滅亡する形になりました。我が家だけでなくどんどん亡くなっていくじゃないですか。(シーン順通りに撮影していくわけではないので)現場でメイクしながら「いつ死んだの?」なんて悲しい会話も多かったんですよ。「あ、先週ですか。私きょうです…」みたいな。それがなんとも独特でしたね(笑)。周りを見渡しても、オンエアを見ていても本当にすごい人ばかり出ているので、そんな中にいることのできた経験が今後何かの役に立てばいいなと思いますし、時代劇もチャンスがあればもっと挑戦したいなと思っています。

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