特集

INTERVIEW 2022.08.14

北条泰時役・坂口健太郎さんインタビュー

~“つなぐ人”義時の背中を追って~

「鎌倉殿の13人」の放送や台本を見た感想はいかがですか。

もともと時代物が好きで大河ドラマもよく見ていましたが、正直もっとかたいイメージがあったんです。でも今回の放送や台本を見たら、大筋のストーリーはもちろん、その裏で起きている些細ささいな日常の出来事までとてもおもしろく描かれているなぁと感じました。実際、たわいもない会話をしているときが一番おもしろかったりするじゃないですか。そういうものが物語の随所にちりばめられているところが好きですね。

例えば僕の話でいうと、第29回でさんに「あなたの真面目なところが窮屈よ」と言われてしまって父上に相談したら、「お土産をたくさん持っていきなさい。女性はきのこが大好きなんだ」と言われて持っていくんですけど、結局全部突き返されてしまう。言葉があっているかわかりませんが、別になくても物語は成り立つシーンだと思うんですけど、そういう部分が描かれるからこそ泰時の人物像がよくわかるし、物語全体で見たときに彼の思考回路がとても映える気がして、本当に大事でおもしろいなと感じています。

ドラマ序盤では両親である義時と八重のめが描かれていましたが、見ていてどう感じましたか。

僕は八重さんと一緒にお芝居することはなかったので、「見ちゃいけないものを見た!」というような感覚はなく、いち視聴者としてドキドキしながら見ていました。それに今思うと、父・義時の女性には鈍感な部分が泰時にも引き継がれているのがおもしろいなと思っています。だから序盤の義時さんと八重さんのちょっとむずがゆくなるような関係性が泰時さんでも描かれることがあるのかなと思いますね。今はまだ「おもしろくない」と言われてしまっている状況ですけれど(笑)。でもそういう真面目で、いい奴すぎて周りが見えていない感じが泰時可愛かわいいところなので、楽しく撮影したいなと思います。

北条泰時はどのような人物だと思いますか。

年齢のわりにはちょっと達観している男の子だなと思います。だけど巻狩り万寿(頼家)に弓を渡されて、彼はできなかったのに泰時が1発で成功させてしまって、周りの人に「やめとけよ…」みたいな目で見られたり、そういう純粋さもあるのが魅力的ですよね。演じさせていただくにあたっていろんな資料を読みましたが、今回はそれも念頭に入れつつ、現場でのキャラクターづくりを大事にしようと考えているんです。やっぱり父である義時さんのニュアンスをちょっとマネてみる部分があっても息子としてはおもしろいだろうなと思うので、義時さんとの芝居で感じることがあれば拾っていこうとしている感じですね。個人的にミステリアスというか先の見えにくい人物が好きで、「鎌倉殿の13人」だと三浦義村さんが今後どうなっていくのかとても気になっているのですが、泰時はまだまだ若くて未熟で演じていてわからない部分もあるので、これからどんどん知るのが楽しくなる役だなと思っています。

泰時から見て父・義時はどんな存在ですか。

義時さんはやっぱり“つなぐ人”ですよね。例えばすごく戦上手で武功を立てたりとか、そういう派手な部分があれば目に止まりやすいんでしょうけど、義時さんがやっていることは意外と地味じゃないですか。だからなかなか評価もされない。父上は僕に対してもあまり語る人ではありませんが、息子から見ても「しんどいだろうな」と同情してしまいます。だけど、円グラフがあったとしたら真ん中にいる人がいないとすべてが瓦解がかいしていくわけですから、ある種、全権を担っているんだろうなとも思いますね。

幼いころからよく顔を合わせて育ち、若くして鎌倉殿となった頼家のことはどう思っていますか。

頼家とは幼なじみのように育ってきたけど、たぶん子どもながらに周りの人たちの対応の差というのはすごく感じていたような気がしています。そして泰時はそういうものを敏感に感じ取って成長している人だからこそ、頼家鎌倉殿として少しずつズレた方向に行ってしまうのをいさめられるのは自分しかいないと思っている部分があるのかなと。御家人たちが「頼家様は全然ダメだ」と言っている声を聞いても簡単に「そうですね」とは言えないし、源頼朝という絶対的な父がいる息子の苦労も泰時はわかっていると思うんですよね。ずっと一緒に育ってきた時間の積み重ねがあるので、もし頼家が道を踏み外しても、彼の悲しみや重圧を理解できる泰時で居続けたいと思います。それができるのは僕しかいないと思うので。

これまでの中で印象に残っているシーンはありますか。

第27回で義時さんと比奈さんと3人で話していて、何をしても頼朝様と比べられてしまうことに悩む義時さんに対して比奈さんが「私も八重さんと比べられましたよ」と言う場面があったんですね。そのとき、義時さんが気まずそうに僕のほうをチラっと見るんですよ。その目を見て僕は、「まぁまぁ」みたいな微妙な表情を返すんですが、そういう表では影響力を持っている義時さんが家ではちょっと諌められて「どうしたらいい」と言うように泰時を見る、というだけで家庭内の構図がちょっとわかる気がして、やっていてすごくおもしろかったです。僕からしたら比奈さんは血のつながりがある人ではないけど、義時さんの今の奥さんで、その人に諌められているふだんは見ない父上の姿を見た瞬間にちょっとクスっとしてしまうような、良いシーンだったなと。ああいう些細な会話から家族の空気感が伝わっていればいいなと思っています。

特集

新着の特集をご紹介します