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INTERVIEW 2022.07.24

和田義盛役・横田栄司さんインタビュー

~自分でも義盛の言動にハラハラします~

改めて「鎌倉殿の13人」における和田義盛はどのような人物だと思って演じていますか。

あまり複雑な人物にしないようにと考えています。台本を読んで笑ってしまうようなことがわりとある人物なので、書かれていることをそのままやっているような感じです。問題あるなと思う行動もたくさんあるので、そういうところが運命を左右していくんだろうなとか、自分でも義盛の言動にハラハラしながらやっているというか(笑)、「これは先行き不安だな…」と思うこともありますが、楽しいですね。どうやら視聴者の方には「脳みそ筋肉」とか言われているみたいですし、それゆえの“迷”場面が結構多いのかなと思います。あとは、僕が肖像画で残っている義盛像に似ているみたいで、「話題になっているよ」というお声も聞いております。それはスタッフの皆さんに本当に感謝しているところですし、そういう総合力をしっかりお見せしたいですね。

一ノ谷の戦いでは馬上で勇猛果敢に戦う姿が印象的でしたが、撮影はいかがでしたか。

おととしの夏くらいから乗馬の練習に一生懸命通っていました。でもやっぱり、よろいをつけて乗るのは大変でしたね。本当に冗談抜きで、「和田も横田も命がけ」みたいな。お馬さんがなかなか言うことを聞いてくれなかったんですよ。いつもは義時が乗っている本当にいい馬なんですけど、乗って馬に合図を出して向きを変えて駆け出す、っていうことになかなか苦労しました。おかげさまでなんとなくはうまくいったので、気持ちはよかったですけどね。
映像を見ると小栗さんとかはとても上手に馬に乗るので、「さすがだなぁ」と思いますし、「自分ももっと早くから練習しておけばよかった」と思います。これを読んでいる若い俳優の方がいたら、お金のかかることではあるけれども、一日でも早く始めるといいんじゃないかな。先輩顔して言うとそんなことを感じたりしました。

壇ノ浦の戦いで、平家が滅亡していくのを見て拝む姿は、義盛の優しさがよく出ている場面だと感じました。

あれは、台本に書かれていないのに僕がつくってしまったお芝居のひとつなんです。「義盛だったら相手が平家でも拝むんじゃないかな」と海を見ていたら思って。そう思った根拠があるわけではないのですけれど、今までの義盛との付き合いの中で、そんな気がしたんですよね。ちょっと偽善的かなとも思ったんですけど、テストでやってみたら演出が「いいですね」と言ってくださったので、やらせていただきました。

源頼朝のことはどのように思っていたのでしょうか。また、頼朝の死は義盛にとってどんな出来事だったと思いますか。

源氏の嫡流で、どれだけすごい人物なのかはわかっていたけれども、別にそれが最重要事項ではなかったように思うんですよね。坂東武者のプライドと自分たちの所領を守るほうに重きを置いているというか。頼朝はなかなか調子のいい人だってことにはなんとなく気づいていたような気がします。それを憎たらしく思うこともあれば、「やっぱりこの人がいないとどうにもならない」という、社会情勢の中での頼朝の存在意義もわかっていたと思います。自分が申し上げた願いを聞き入れてくれたりもしたし、そういうことには素直に恩義を感じる人物だと思うんですよ。それでいて、おなかが減ると嫌になっちゃうっていう(笑)、義盛はそんなアンビバレントな人なのかなと思います。
つまり義盛にとって“頼朝は自分の立場をつくってくれた人”で、“頼朝は運がいい人”っていうのは、当時のみんなが思っていたことだと思うので、亡くなるなんて考えてもみなかったような気がします。第25回で頼朝が落馬したとき、みんながそれぞれ虫のしらせを感じる場面がありましたが、個人的には義盛だけ、「おなかすいたな」とか(笑)、何か違うことを考えていたりするかもしれないなと思ったりしました。それくらい、思ってもみなかったことだったと思いますね。

頼朝から授かった「侍所別当」という立場は、やはりひとつの誇りだったのでしょうか。

間違いなくそうだと思います。ある意味佐殿の形見とも言えるものですから、大事なものだったはずなんですけど、それを梶原景時さんに貸しちゃうっていうのが、また義盛っぽいというか…(笑)。あんな腹黒そうな人に貸して返ってくるわけがないと僕は思いますけど、「とても大切なものを簡単に人に貸したらいけないよ」っていう教訓ですよね。

物語が進むにつれて感じる、義時の変化はありますか。

だいぶ前のインタビューで脚本の三谷さんが言っていたことですが、小栗旬=北条義時にいつの間にかなっているというか、わりと早い段階から一体化していたんですよね。この作品は義時の成長物語だと思うんです。頼朝に仕えることでだんだん彼に似てきたり、いろいろと物事を二段構えで考えて、何事も裏の裏があることを理解しながら成長していくという。それが彼の善となるか悪になるかはわかりませんが、そういう変化は一種の見どころかなと思っています。それを小栗さん自身が完全にわかっていて、だんだん男っぽくなってきますし、人に厳しい部分も出てきますし、あとこれは本人が半分冗談で言っていたことですが、周りが周りなんで、「芝居じゃなくてもイライラできるし、泣けって言われたらいつでも泣ける」らしいです(笑)。義時としても小栗さんとしても辛抱する時間が長くなって、2人同時に黒いものを中に抱えながら生きているような感じがします。僕は迷惑をかけているほうですけど、シーンが終わってカットがかかったあとに「ほんとムカつく!」「もう嫌だこの人!」とか言われたりするんですよ(笑)。おもしろいです。

義盛としては巴御前との出会いが大きな変化だと思いますが、巴御前のどんなところにかれたと思いますか。演じる秋元才加さんの印象も教えてください。

当時には珍しく勇ましい女性だったんでしょうね。そして腕も立つし、力もあるし、戦にも強いというところにたぶん惹かれたのだと思いますが、義盛的にはおそらく“強い女性に左右される自分”みたいなものがすごく新鮮で、「こういうのいいなぁ。好きだなぁ」と思ったんだと思います。見た目とは違う草食な一面があるように感じました。
秋元さんは、すごくすてきな方で、お芝居していて楽しいです。最初の出会いでは敵兵に囲まれて薙刀なぎなたを振り回していたんですが、僕を含めて周りにいたスタッフさんたちもみんなファンになったくらい本当にかっこよかったです。本当にぴったりな配役だなと感じますね。最初に出会ったときは眉毛がつながっていたんですけど、我が家に来たときにはもうつながっていなかったので、それはちょっとさみしいです。僕の個人的な感想ですけど、つながっている眉毛込みで好きだったので(笑)。

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