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INTERVIEW 2022.07.24

大江広元役・栗原英雄さんインタビュー

~幕府を守るため、物事を冷静に見つめる~

「鎌倉殿の13人」における大江広元はどのような人物だと思いますか。

政治が移り変わっていく激動の時代を生き抜き、幕府のいしずえとなった人だと思います。自分の知識や朝廷とのつながりをフル活用して鎌倉殿に仕え、「どうすれば物事が一番うまくいくのか」「立ち向かうためにはどういう手を使えばいいのか」ということを考えたり、とにかくすごくアンテナを張って周りを見ている人物だと思いますね。僕自身も似ているといいますか、ふだんから人を結構見ているタイプで、今回の撮影現場でも、「この人はこういうキャラクターなんだな」とか「この2人が話し出すと止まらないし、この人がツッコミで入るんだな」とか(笑)。いろいろ観察するのがおもしろいですし、ある程度できあがった人間関係を見て「これは利用したほうがいいな」とか思いながら撮影に臨んでいます。

都から来た広元にとって、坂東武者たちはどう見えていますか。

「荒い!」という感じですよね(笑)。そして、それぞれが何を信じて、何を大切に思っているのか、例えば土地とか家族なんでしょうけど、違う土地から来た自分からしたらまずそれをどう理解するかが難しくて。北条、比企、梶原、和田、三浦など、みんなの違う生き方を細かく見ないといけないなと思っていました。鎌倉殿からしたら手駒が減っては困るわけじゃないですか。でも僕が鎌倉に呼ばれたときには、「この人は使えないから切る」という整理をやっている余裕がなかったんですよね。だから広元としては、「まずこの荒々しい人たちとどう力を合わせて鎌倉殿を盛り上げて、幕府を大きくするか」ということをどこの派閥にも属さずに、ひたすら考えていたと思います。

その中でも義時のことは早くから評価していたように思います。彼のどこに魅力を感じたのでしょうか。また、演じる小栗旬さんの印象も教えてください。

たぶん素直さと、どこにも偏っていないところと、若さですよね。彼より上の世代になると、頼朝のことを素直な目で見られない人が多いかもしれませんが、義時はまだどうにでも染められると思ったんだと思います。忠誠心も持っているし、自分の家族のことも冷静に見ることができるし、ちょっと人生にサバサバした雰囲気を広元は感じ取っていたような気がしますね。
小栗旬さんはリアクションがすばらしいですよね。しゃべっていないときの彼を見るとおもしろいんですよ。困っている顔が、「どうする小四郎」という感じで(笑)。あとはとにかく現場をリラックスさせてくださる方なんですよ。僕が撮影に入ったときに小栗さんのマスクに「広元」って書いてあったり、あるとき「何が好きですか?」って聞かれたので「そばが好きです」って答えたら、「広元公はそばが好き」っていうマスクになっていたりとか(笑)。彼が真ん中にいるからギスギスせずに撮影が進んでいるんだなと感じます。

頼朝の命運が尽きるときも広元は一人冷静でしたが、何を考えていたのでしょうか。

本心はすごく焦っていたと思いますよ。今まで重石おもしとなっていた人がいなくなったときに御家人たちがどう行動するのか、先が読めない状態ですよね。でも広元の中で大切なのは、“幕府を残すこと”であって、決して自分がトップに立つことではない。場を収めて、一番清らかな道に行く方法を一歩引いて考えている感じです。だから13人の宿老による政治の中にも、知識人として入るという感じで。頼朝がいなくなったことでなかなか荒れるので困ったものなんですけどね。二代鎌倉殿になる頼家さんにどう導いてもらえばいいのかが一番の難題で、そこがうまくいけば比企も北条もうまくいくけど、梶原が台頭することで和田が不快に思ってまた荒れて…。頼朝が生きているうちは抑えられていたものが一気に出はじめてしまう混乱期に入りますから、広元はちょっと俯瞰ふかんしてその様子を見ている感じです。

二代鎌倉殿、頼家のことはどう思っていますか。

やはり若くして鎌倉殿を継いでしまいましたから、彼は頼朝のような経験が少ないわけですよ。頼朝が流浪るろうの身からいろんな苦悩を乗り越えて立ち上げた幕府を急に渡されてしまったから我慢もきかないだろうし、与えられた教養だけで動いているんですよね。だからこそ、あの方に何をどうあてていくのがベストなのかっていうのを考えたいところですけど、結局は、「頼家が信じているのは誰か」になってしまうので難しいですね。少し遠くから、「今はこういうパワーバランスが働いているんだな」と察知して、「それを新しい鎌倉殿にわかっていただくにはどうしたらいいだろう」という策を考えながら見ています。

三谷さんの大河ドラマへの出演は「真田丸」(2016年)以来ですが、改めて三谷大河のおもしろさをどのようなところに感じていますか。

人間を細かく描くということですよね。主役もそれ以外も、各シーンでその人間がどういう生き方をしてきたのかが想像できるように書いてあって、登場人物全員への愛情を感じます。人間の機微がたくさんちりばめられていて、「見どころが多すぎる!」と毎回思いますね。特に今回は人の善や悪が、本当に善なのか悪なのかを細かく描いているところが見どころなのではないでしょうか。

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