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INTERVIEW 2022.06.26

りく役・宮沢りえさんインタビュー

~北条のために何をすべきか~

改めて「鎌倉殿の13人」におけるりくはどのような人物だと思いますか。

感情を胸のうちに秘めるタイプではなくて、湧き上がってきたものをそのままストレートに言ったりするところが魅力的だなと思っています。旦那さんをもり立てていく野心がすごくあって、そこは私と違うので難しく思うこともありますけど、とても気持ちがいい性格だなとも感じますね。「北条のために何をすべきか」を一番に考えていて、その思いの強さがまったくブレないので、やっていておもしろいです。今のところは自分が政治に入っていくというよりは、旦那さんを介して政治に対するいろんな考えを持ち始めている段階なので、ここからもっと前のめりになっていくんだろうなと思っています。

りくが言う「北条のため」という言葉の真意はどのようなものなのでしょうか。

生まれ育った京都はみやびではあるけれど、権力というものにまみれた場所でもあったと思うんですよ。そこから伊豆というとてものんびりしたところにお嫁に来て、京都で培った“世の中を見る目”みたいなものにコンプレックスを感じてしまったせいで、最初のころは「京に帰りたい」っていう思いがあったのではないかと。でも時政さんのそばで彼の魅力に気がついたり、どんどん出世して大きな力を持っていくのを見たりすることで、りくの中にあった野心が増していくのかなと思っています。以前登場した兄の宗親さんとのやりとりを見ても、ただのんびりとみやびな世界にいたんじゃないような気がしたんですよね。そういうことをヒントにしながら演じています。

夫・時政の存在はどう変わってきていますか。また、演じる坂東彌十郎さんの魅力はどのように感じていますか。

時政さんはとてもおだやかで、できることなら平和でいたいっていう考えの方なので、もちろん彼なりの野心はあるでしょうけど、その1歩も2歩も先を行っているのがりくなのかなと。言動はおおらかですし、威厳は…私がお尻をたたかないとなかなか出ませんが(笑)、そういうところがチャーミングだなとも思います。
彌十郎さんは歌舞伎の舞台でたくさんの役を演じられていて時代物のノウハウはたくさんお持ちなのに、とてもニュートラルなんですよね。とてもおおらかで、時政さんと被るところがあるというか、とてもピッタリなキャスティングだなと感じています。でも、彌十郎さんがいろんなところで、ラブシーンで困ったときに私が「どっからでもかかってらっしゃい」って言ったと話されていますが、あれ、言ってないです(笑)。たぶん、彌十郎さんが映像のお仕事に対して初心者マークをご自分で貼って現場にいらっしゃるので、私が「大丈夫ですよ。好きなようにおやりになってください」というふうに言ったのが、そう聞こえさせてしまったのかもしれません(笑)。

私たち夫婦はほかの役者のみなさんと違ってコメディーに対するスキルが高いわけではないので、ただひたすら真面目に誠実に演じることでユーモアにつながっていくのではないかと思っています。お互い全然計算をしていない感じがして、一緒にやっていて楽しいです。

りくは、源頼朝をどう思っていたと思いますか。

第25回に「京で生まれ育った私たちは似た者同士」と私が話して頼朝もそれを認めるというシーンがありましたが、あの言葉を台本で読む前と後でだいぶ印象は変わったと思っています。少し心が通った気がしましたし、「本当に心から強い人っていないのかな」ってちょっと思ったりしたんですよね。立場を守るために強さを見せなければいけなかった人だけど、でも実は内にもっと柔らかいものを秘めているなっていうのを感じて。これまで頼朝りくが言葉を交わすシーンってほとんどなかったですし、同じ場にはいても心の内を話し合うシーンはなかったので、あまり2人の関係をつかめていないところがあったんです。でもあのシーンで、今までいろいろと指摘したいことはあったけれど、りくは彼を尊敬していたんだと思いました。だからこそ、彼の命が危ないってなったときには本当に危機感を持つし、「頼朝がいれば北条は安泰」と時政さんが言うほどの存在を失うかもしれないとなったときにはより偉大さを知るのではないでしょうか。

りくの欲望が強くなるにつれて政子との関係性も変わってくるのでしょうか。

りくの中には権力を持った者の妻としての理想の姿があって、それを政子と共有しようとしている感じがします。「政子政子なりにやればいい」というより、「あなた自身も強くならないといけないし、頼朝についてきてくれている人たちに対しても威厳を示すべきだ」っていう思いがりくは強いのかなと。優しく見守るというよりは、「争いで人が亡くなることは当たり前だし、そこはもう耐えていくしかないんだよ」っていうとても現実的な視点で、「あなたは時代の犠牲になっていった人たちに対してとても悲しむけど、残されたものはそこで悲しんではいけないんだよ」っていう強さを政子に説いているように感じますね。りくのどこからあんな強さが出てくるのか、まだ自分でも演じながら模索している最中です。
関係性が変わっていくのは時代や立場の変化によるものもあると思いますが、でも、三谷さんが描く人物は今まで歴代描かれてきた歴史上の人物にまるきりはめ込まれていない感じがすごくするんですよね。りくも、今のところただの“悪女”じゃないし、また違う人物像が描かれるのではないかなと思っているんです。だから、政子との関係もただの敵対心じゃないような気がします。そうありたいといいますか、そうだといいなと私は思っています。

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