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INTERVIEW 2022.06.19

三浦義村役・山本耕史さんインタビュー

~義村の“本心”はどこにあるのか~

物語も後半にさしかかってきましたが、これまでで印象的だったシーンはありますか。

かなり前になってしまいますが、第9回で伊東のを守ったシーンですかね。あれ実は現場でいろいろあったんですよ。台本には“両手を広げて立ちはだかる”と書いてあったんですが、監督が、「これさ、立ちはだかったところでほぼ丸腰だから、相手に刀抜かれたら斬られるよね?」って。じゃあどうするかということになって、「身内なんでね」って言ったあとに向こうが襲ってきたら、僕は後ろに下がって扉を閉めることになったんです。でもそうしたら今度は、「かっこいいことを言ったあとに結構アナログに逃げるなぁ」ということになり…。結局は、“両手を広げて立ちはだかる”のが義村っぽいってことに落ち着いたんですよね。そのあとどうなったのかは視聴者の方におまかせするくらいがかっこいいんじゃないかって。本当は刀を抜けばいいけど、そうしない義村のその感じが三谷さんの思っている義村のような気もしたんです。僕的にも、「新選組!」(2004年)で土方歳三さんを演じたときの「待たせたな!」っていう決めゼリフくらい印象的なシーンになったような気もしています。そうやって現場でのやりとりで生まれているシーンって結構あるんですよ。

三浦義村は“少し謎めいた人”というイメージですが、現段階でもその様子は続いていますか。

そうですね。徐々に変な動きをし始めている感じはします。それがどうなるかはハッキリしませんが、「あれ、本筋と違うところで何かやりだしてないか?」っていう描写が出始めているような。
例えば家を飛び出してきた大姫を励ますシーンで「ニヤリ」と笑うとかも、なんの「ニヤリ」なのかがいまいちわからなくて。でもたぶんそれでいいんですよ。その本心が見えないところが彼の怖さでもあると思うので、まだまだ謎めいている状態ですね。

そんな義村は、源頼朝に出会って変化していく義時をどう見ているのですか。

いろんな捉え方があるけど、今のところ義村は「頼朝を利用するために義時を利用する」みたいな策士として描かれていると思います。「最初は頼朝が邪魔だったけど、様子を見ていたら案外、人が集まってくるな」と。「だったら頼朝についていくほうが得策だけど、一番近くには寄らないようにしよう」みたいな。基本的には義時に探らせて、今どういう状況にあるのかっていうのを自らを蚊帳かやの外に置いて見ているというか、自分が言うと角が立つようなことを義時を使ってうまく言ってもらってる感じもするんですよ。ちょっと違う角度から意見をくれる人として、義時義村に絶大な信頼を置くというのもわかるんですけどね。僕も義村が何を考えているのかいまだにわからない部分は多いです。

義時に言った「隠居しようと思ってる」という発言も彼をたきつけようとしたのでしょうか。

なんか気分で言っているような気もしますけどね。本心ではないと思います。でも、義時をうらやましいと思っているところはあるし、義時義村は、お互いが違う部分を持っているからかれ合っている関係ではあるのかなと。
たぶんですけど、「隠居する」って話して「そうしろよ」って言われたら、おそらく「そんなわけないだろ」ってセリフで終わっていたと思うんですよ。でも向こうが「本気じゃないだろ」ってきたから、「わからんぜ」っていう返しになった。会話をわりと楽しんで、会話から相手の現状をうかがっているような、そういう感じですかね。

頼朝はどんな人だと思っていますか。

最初から「佐殿すけどのは疫病神」と言っていたくらいだから、相当大きな人物だってことはもちろんよくわかっているし、「力のない今のうちに首はねちまえ」とは言いつつも、「かくまった以上は様子を見よう」って思っていたんじゃないかな。正直、頼朝とのシーンはあるけど言葉を交わしたことはほとんどないんですよ。だから引いた目で見ているし、一度も近寄ったことはないですね。頼朝にすごい可能性を感じているとかではなくて、どこまでやれるのかということを見極めようとしている感じだと思います。

義村にも初という娘ができますが、金剛と結婚させようとしているのも、子どもを利用しようとしているのか…どうお考えですか。

突然のことで、誰との子なのかもハッキリ書かれていないし、急に金剛に詰め寄りだしたので、何かの伏線じゃないかとは思ってますけどね。誰のために利用しようとしているのか、自分か、鎌倉幕府か、義時か、娘か…。もしこれで「自分の娘をかわいく思わない親がいるか」みたいなことをいつか言った場合、それはそれで「義村ってそんなに優しいの」ってなるし、意外と人間っぽいところが見えたらすてきだなとは思いますけど、三谷さんがどうされるかですね。

改めて、「鎌倉殿の13人」のおもしろさはどこにあると思いますか。

三谷さんって、どんな血生臭い時代も、どこかおもしろおかしく表現してしまう脚本家さんだと思うんですよね。だけどその中にものすごく残酷なシーンもつくるし、あっけないシーンもつくる。その緩急がすごいなと思います。ここまで見てくるとわりと登場人物に感情移入してくると思いますが、そういうときにすごいことやってくるみたいな印象もあるので、人々の生きざまを通して「鎌倉時代だぞ」っていうところをきっとこれからもうまく描いてくるんじゃないかなと思います。

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