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INTERVIEW 2022.06.12

曽我十郎役・田邊和也さん×曽我五郎役・田中俊介さんインタビュー

~2人にしかわからない絆~

大河ドラマ初出演ですが、現場の印象はいかがでしたか。

田邊:
思っていたよりも穏やかな印象を受けました。もちろん緊張感はありますが、ピリピリしているという感じではなく、みんなでこの壮大な物語を楽しんで一生懸命つくっているんだということが伝わってきたんです。とにかく感無量ですね。

田中:
美術をはじめとした世界観づくりがすごくて圧倒されました。着ている衣装にも歴史を感じるんですよ。これまでたくさんの方がいろんな作品をやってこられたっていう重みみたいなものをすごく感じましたね。

「鎌倉殿の13人」で描かれた曽我十郎・五郎の兄弟はどのような人物だと思いましたか。

田邊:
十郎は“我慢と忍耐の人”だと思いました。今回の台本では、父のあだ討ちとして頼朝を討つことに人生の希望を見いだしていて、そのためには感情も押し殺せるし、うまく立ち回ることができる。ある種、策士のような一面もあれば、自分の信念に愚直にまっすぐ生きているようにも思えるというか。そして、その根底にあるのは幼少期に負った怒りや悲しみであって、それをすごく強い糧にして懸命に生きた青年だと僕は思っています。実際に僕自身も長男なので弟がいまして、十郎の思いというのは理解できるんですよね。自分の父親が暗殺されたのなら、自分たちの血を守るために戦い、生きるということは、時代は違えどイメージして理解できるところではあります。

田中:
曽我兄弟は、映画やさまざまな書物で「仇討ち」が美談のように語り継がれている印象があったので、出演が決まってから僕もいろいろな勉強をして、台本が届くのをワクワクしながら待っていました。ですが実際に台本を開いたら、イメージしていた「仇討ち」という感じよりも「謀反を起こす」というふうに描かれていたので、「その解釈でいくんだ! おもしろいなぁ」って思いました。

仁田忠常との対峙たいじでは、とても激しい殺陣たてが繰り広げられましたが、撮影はいかがでしたか。

田邊:
高岸さん、大きいですね(笑)。僕も身長が高く、これまで自分より大きい人と殺陣をしたことがなかったので、「相手が大きいとこんなに怖いんだ」と思いました。迫力もありますし、演技ではありますが、本当に防御して、逃げて、必死に討ちに行って…という感覚でした。なのですごくいい経験になりましたし、「また大きい人とやってみたいな」とも思ったし、迫力のあるになっていたのではないかと思います。

五郎としては兄と別れ、どのような思いで頼朝を討ちに行ったのでしょうか。

田中:
頼朝のもとで新しい世は来ない」っていう思いでしょうね。最初の打ち合わせのときに監督から聞いて印象的だったのが、「学生運動」というワードでした。「自分の信念を持っていて、とにかくまっすぐ突き進む。そういった姿勢を見せてほしい」と。なのでとにかく、「このままではダメなんだ」「この世を変えるんだ」という思いで頼朝を討ちに行きました。首を取ったときは心から「やってやったぞ!」という思いを一番に意識して演じていましたね。

頼朝を討ち取ったつもりが相手は工藤祐経だと知ってどう思いましたか。

田中:
もうパニックですよね、本当に(笑)。「頼朝を討ち取ってやったぞ!」という興奮状態でいたんですけど、頼朝が現れますからね。「え、どういうこと? 何が起きているんだ」って、本当にパニック状態でした。だからあのあとに斬首だって言われても、「いやそんなことより、どういうことなんだ」と。それで結局、狙ったのは頼朝なのに、「美談として末代まで語り継ごう」なんて言われてしまって、「いやいやそんなの求めてない」と、五郎の気持ちとしてはやるせないというか、納得いかないまま死んでいったのだと思います。

結局計画は失敗に終わってしまいましたが、兄弟にとってお互いはどのような存在だったと思いますか。

田邊:
血のつながった弟というだけじゃなくて、運命共同体というか。同じ志を持った戦友であると同時に、かわいい弟でもあるという感じがします。当時は血がつながっている者同士が争う時代ではありますが、その中でも十郎にとって五郎は本当に信頼できる相手で、最初にもお話ししましたが、実際に僕も弟がいる長男で、弟がいてこそ兄になれるなと思うんですよ。長男とか兄っていう肩書を背負うことで出せる馬力が僕はあると思っているので、もし仮に十郎が一人っ子だったとしてもこの仇討ちはしたかもしれませんが、弟がいることによってより強固に意志を貫けたんじゃないかなと思っています。

田中:
あれほどの謀反を起こすには相当の覚悟が必要なので、兄弟間でしかわからない意志の強さがあると思いますし、仁田忠常さんと対峙することになったときに兄から「五郎が先に行け!」と告げられたので、その気持ちを背負ってなんとしてでも頼朝を討とうという思いになりました。実は頼朝を狙うということを一番の目的として生きてきた中で、「ようやくそれを果たすことができる。兄と僕でやるしかないんだ」という決意が固まったところに兄弟の絆が見えるというか、彼らの目的意識というのはすごく大きいものだったと思いますね。だからこそ、失敗に終わってしまったことは本当に悔しいです。

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