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INTERVIEW 2022.05.22

源義経役・菅田将暉さんインタビュー

~純粋な青年が“悲劇の武将”になるまで~

源義経役をオファーされたときの感想をお聞かせください。

びっくりしました。大役だなと思いましたし、小栗旬さんが大河ドラマで主演をされるということでいち視聴者としても「きっとワクワクするような作品になるだろうな」と感じていたので、その中に参加できることが本当にうれしかったです。それで、そのあとに「義経か…どうしよう」と。あまりにも人気があっていろいろなイメージがある人物ですから、「僕にそんなカッコいい役ができるのかな」と思ってしまって。でも三谷さんの脚本では彼が英雄になるちょっと前のところから描かれていたので、「自分は英雄なんだ」とは思わず、丁寧に演じていければなと思って撮影に臨みました。

「鎌倉殿の13人」における義経はどのような人物だと感じられましたか。

愚直で、まっすぐで、自分の意志がちゃんとあり、それでいて打算的で、クレバーでもあり、目的のためであればどんな犠牲を払ってでも突き進む。それが彼の色気なんでしょうね。「なぜ義経はこんなに戦略的な発想の天才なのか?」と思い、今回僕なりに出したひとつの結論は、【義経は幼いころから頭を使う特訓を自然としていた】です。

まず、義経身体からだが大きくありません。そして、幼くして父・義朝を殺され、かたきの存在を考えざるを得ないという状況にずっとありました。兄弟の誰もが動き出せない中、自分も戦いたいけれど力では勝てないと直感的にわかっていたんだと思うんです。だから、弁慶という相棒と出会ったときもそうですけど、頭を使って解決するということを自然と身に付けていて、それがこの戦略の天才に結びついているのかなと。ただ、だとしても「八艘はっそう飛び」なんて常軌を逸しているので、その才は生まれつきすごかったんでしょうね。「鎌倉殿の13人」で義経を演じさせていただいて、ちゃんとした家柄の貴族なんだけれど野山で育っているところが、民衆の味方でありヒーローとなった義経の起源なのかなと思いました。だから、「八艘飛び」や「鵯越ひよどりごえの逆落とし」もそうせざるを得なかったという感じです。意表を突くしかない人生って思うと、さみしい人なのかなとも思いますね。

義経にはいろいろなイメージがありますが、三谷さんの脚本で描かれているような、憎たらしかったり、せこかったり、人に迷惑をかけたりする義経って、あんまり見たことがない気がするんですよね。最終的にはかっこよさもある“悲劇の武将”になっていきましたが、その道中ではかっこ悪い寄り道みたいなものをたくさんしました。そんな人間味のあふれるところを含めて、今回の義経が魅力的な人物に見えていたらいいなと思います。

愛してくれた2人の女性、里と静御前はどのような存在でしたか。

現代の夫婦とはまた違う関係ですね。そもそも一夫多妻だし、側女そばめだけど純粋な愛情で言えば静御前のほうが愛情深く最後まで一緒にいた気はするけど、でははどうでもいいのかと言ったらそんなことはない。静御前は登場する資料や作品も多くてイメージはあったのですが、についてはわかってないことも多くて。

演じてみて思ったのは、義経にとって大切なよりどころだったのだと思います。義経の人生のほとんどが移動なんですよ。若いころも平泉に落ち着くまではいろいろ移動していて、兄上が挙兵すると平泉から鎌倉までまた移動。で、そこから京へ攻め上って壇ノ浦に行く。壇ノ浦、鎌倉、平泉ってすごい距離じゃないですか。だからどう言葉にしていいかわからないけど、そのむさ苦しい日々の中で静御前にしか癒やしてもらえない何かがきっとあった気がしますね。

長く行動を共にし、支えてくれた弁慶はどのような存在でしたか。

義経弁慶は誰もが知るバディであり、戦友として語り継がれていると思いますが、今回はそのコンビ感みたいなものは、それほどは描かれていなかったんですよね。でも、僕らよりもはるかに詳しくて大好きな方がいっぱいいると思うので、弁慶とのシーンの中に2人の絆を感じていただき、グッときていただけたらうれしいなと思います。弁慶役の佳久くんもすごくすてきな人だし、できれば牛若丸のころからもっと弁慶とのシーンをやりたかったなっていう心残りは、ちょっとあります。でも幸いにも昔、神木(隆之介)くんがやっていたのを見ていたから、牛若丸時代は神木くんのイメージでした。まっすぐ聡明で爽やかだけど、いろんな能力に秀でていてちょっと変っていう。“異端児”という印象は当時からあったので、その辺は今回もベースにしていました。大河ドラマのいいところだと思うんですけど、歴史だけじゃなく誰かが演じてくれていたりするイメージの上で構築できる感じがありましたね。

義経の最期、また、頼朝との悲しい兄弟愛についてはどう感じましたか。

その悲しい兄弟愛が人気の理由のひとつでもあるとは思うんですけど、やっぱり切ないですよね。でもどの説を見ても、兄上のために義経は頑張っているということはあまり変わらなくて、プロセスは違っても、義経に他意はなさそうだなって。だからこそ邪気はなくやっているんですけど、そんな義経の行動が頼朝目線ではどう見えていたんだろうというのは、僕自身楽しみなところでもあります。
最期はもう感情含めいろいろぐちゃぐちゃでしたが、演じていて思ったのは、義経としては壇ノ浦で平家を滅ぼした瞬間からどこか心にポッカリと穴があいていて、そこからは「生きているけどのめり込む目標はない」という感じだったのかなと。だから、ちょっとホッとした感覚もあったし、今回は最期、「これで兄上とのいざこざが終わる」という気持ちにもなったんです。頼朝義経兄弟の仲違なかたがいはこれまでいろんな描き方をされてきましたが、義経が純粋に兄上のことを信じ尊敬しているという思いは結構共通しているので、そこは今回も最期まで貫き通せてよかったかなと思っています。

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