特集

INTERVIEW 2022.05.15

平知康役・矢柴俊博さんインタビュー

~いろんな後白河さんの色に染まれるように~

三谷さんが手がける大河ドラマには「新選組!」(2004年)、「真田丸」(2016年)に続いて、3回目の出演になりますが、三谷大河のどのようなところに魅力を感じていますか。

やっぱり、史実はおさえながら視聴者の予想を裏切っていくところに驚きとトキメキがありますよね。そして、コミカルな場面は安定感があるし、シリアスなところはとことんシリアスに物語が進んでいく感じがしびれるなと思います。
実は、三谷幸喜さんには今回初めてお会いすることができたのですが、学生時代から憧れの方だったので、自分でもびっくりするくらい直立不動になってしまって(笑)。サインをいただくこともできて、最高の機会でした。そのときに「じゃあ、これからいろいろ活躍しますのでね、がんばってください」と三谷さんに言われて、「え、なんだろう!」とすごくうれしかったんですけど、僕の中で「このことかな」と思った場面を皆さんに見ていただけるのはもう少し先の話になります。大河史上ないのではないかと思うような、三谷作品らしい活躍が待っておりますので(笑)。

「鎌倉殿の13人」における平知康はどのような人物だと思いますか。

権力を笠に着ているような、ちょっと図に乗っているところがあるけど、人にちょっとでも強気に出られるとすぐにボロを出すという(笑)。第14回で木曽義仲さんにひっぱたかれたりしていましたが、今後の展開でもいろんな痛い目にあいますし。でも、世渡り上手な面もあったり、おもしろい人物だなとは思います。
演じるにあたっては、制作統括の清水さんから参考資料を教えていただき、「公家のような立場から武士に立ちはだかろうとした、ちょっと一筋縄ではいかない人物」とご紹介していただいたんですけど、資料を読んでも人柄まではあまり伝わってこなかったので、毎回台本を読んで「なるほど、こういう人なんだ」と理解を深めている感じです。あとは、法住寺ですとか後白河法皇のゆかりの地を訪れて、「後白河さんLOVE」という気持ちを高めてきました。

後白河法皇や丹後局はじめ、京チームでのお芝居はいかがですか。

皆さんご存じのとおり本当にすばらしい俳優さんたちなので、とても楽しいです。いつまでも西田さんがアドリブを続けられるので、ぜひ聞いていただきたいんですけどね(笑)。それに僕は一生懸命お応えする、というのがおもしろくて。番組が45分なのがもったいないくらい。とにかく、いろんな後白河さんの色に自分も染まれるように努めたいなと思っております。

西田さんは福島出身、京香さんは宮城出身なので、「方言とかどういう感じなんですか?」ってお聞きすると、2人で、「こちらはこういう気質で、お互いのことをこう思ってる」なんてことを方言で楽しく話してくださるんです。そして、そのあとの場面で必ずと言ってもいいほど京香さんのセリフがなまるという(笑)。それが毎回かわいいですし、みんなで訂正するのも含めて楽しいんです。

京の人間として、話し口調や所作など意識していることはありますか。

やはり役者なので立ち居振る舞いは常日頃考えていますが、本当に不思議なことに、衣装を着て、大河ドラマのセットの中に入ると自然とすました話し方になってしまうんですよね。もちろん所作指導の先生に足の組み方や手の置き方などを丁寧に教えていただいて、意識している部分もありますが、京の空気感の中にいると自然と品よく、高い声で話すようになっていくんですよ。まぁでも実際に公家の方がどういう話し方をしていたのかは知らないですし、イメージでやっているので、やりすぎてないか心配になったりもするんですけどね…(笑)。

知康は坂東武者たちのことをどう思っていると思いますか。

たぶんですけど、知康たちにとっては平家も源氏もあんまり変わらないんじゃないかなって思うんですよね。頼朝より清盛だとか、清盛より頼朝だとか、奥底ではあんまり変わらなくて、とにかく自分らに利権があるかどうか、京を脅かす存在か否か、利用できる存在なのか、そういう観点なのかなと。ただ、平家は関西に拠点があるので少し身近だけど、頼朝は関東に拠点を置いているところがミソのような気はしますね。距離的な部分でリアリティーが少ないといいますか、どこまで脅かされる存在なのかなかなか実感できずに時代が変えられていってしまうんだろうなって思います。

そんな中で、後白河法皇がとても気に入る源義経のことはどう見えているのでしょうか。

実際どうだったかはわかりませんが、今回菅田さんが演じている義経さんはとても無邪気で鋭い感性を持っているけど、向こう見ずでまっすぐな人ですよね。それゆえにこちらとしては、「この若者ならうまいこと取り込めるんじゃないか」と思って後白河さんも頼りにしているのではないかと。僕としては「この頼りにしている感じはほかでも見たぞ」と思っていますけど(笑)。でも、義経さんはすごい才能を持っていながら、人から認められることに飢えている若者なので、より取り込みやすいというか、こちら側のものになりやすそうかなっていう。承認欲求が強いからこそ認めてあげるとすごく純粋な顔を見せてくれるので、それをうまく受け止めている感じですね。

物語も中盤ですが、「鎌倉殿の13人」のおもしろさはどのようなところに感じますか。

僕らが習ってきた鎌倉幕府がどういうふうにできあがったのかということをすごく体感しています。前半では1人の流浪の身の男が、仲間を引き連れて時の権力者としてのぼり詰めていく様子がわかりやすくおもしろく描かれていて、後半に向かってどんどん人々が疑心暗鬼になったり、自分の信念を必死に守っていたり、ひとりひとりがいろんなことに翻弄されていく姿が、いい意味で複雑に絡み合った台本になっていて、かなり色合いが変わってきているのを感じています。今もなお変わらない人間の愚かさやいとおしさなどがあぶり出されるところも見どころだと思いますし、義時をはじめとする人々がのぼり詰めた先にあるパワーゲームが怖くもあり、おもしろいなと思っています。

特集

新着の特集をご紹介します