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INTERVIEW 2022.05.08

源範頼役・迫田孝也さんインタビュー

~源範頼の存在を多くの人に知ってほしい~

修善寺にある源範頼のお墓を参拝されたと伺ったのですが、訪れてみてどのようなことを感じましたか。

とても眺めのいいところでした。お墓の前で「源範頼を演じさせていただきます。迫田孝也です。この作品で源範頼さんをもっと多くの人に知ってもらえるように頑張りたいと思います!」などいっぱいご報告させていただいたんですけど…何も聞こえてこなかったですね(笑)。でも振り返って修善寺の風景を見たときに、範頼さんに背中を押してもらえたようなそんな気はしました。

「鎌倉殿の13人」における源範頼はどんな人物だと思っていますか。

武士としての向上心は持っているのだけれど、そのベクトルがほかの坂東武者とか兄弟たちとはまた違った生き方をまっとうしようとするほうに向いている人物だと思います。だからこそ、周りに流されずに、自分に与えられた役割を淡々とこなせているのだと思います。人として大事なことをずっと持ち続けていられるっていうのが、一種のすごさではないかと。

範頼にとって、兄弟たちはどのような存在だと感じていますか。また、兄弟たちの中でどんな役割を担っていると思いますか。

やはり“血のつながった本当の家族”ですね。源氏として上に立ってちゃんとしないといけないとか、いろんなしがらみの中でみんな生きているけれども、そういうことを取っ払うことができたなら、“大切な家族としてこれからも一緒に生きていきたい存在”です。そして範頼としては、なかなか個性の強い兄弟たちの中でのバランサー的役割というか、なるべく真ん中あたりにいる人というのを意識しています。
演じている人たちも、大泉さんも僕も天然パーマで、菅田将暉くんもクリックリした髪質の方、あとのお二人は坊主頭なのでわからないのですが、現場でその3人が並んでいるのを見たときに兄弟としてすごくしっくりきたのを覚えています(笑)。

今回の出演にむけて、武術など事前に準備されたことはありますか。

乗馬のシーンの練習をさせていただけるのは、すごく財産になることなんです。だから今回も「なんとかやらせてくれ」と言ったんですけど、周りからは「お前は総大将になるんだから、馬じゃなくて輿こしかもしれない」って止められたのが、悔しくて! 「いや、そこは乗馬でしょ!」と強く主張して練習させていただきました(笑)。ちなみに今回は、木曽義仲役の青木崇高さんとよく一緒に行かせていただきましたね、敵同士なのに(笑)。僕は大将としての乗り方を、義仲猛者もさとしての乗り方を、それぞれ違いを見ながら練習できたので、すごく楽しかったです。
ちなみに源平合戦本番では、3歩ほど歩いてカットでした(笑)。大将としての威厳ある乗り方は役に立ちましたが、僕としてはもっと乗らせてほしかったですね~。みんなが「ワー!」って動いているのを見ながら、「僕も行きたいなぁ」って思っていました。まぁ、それはそれでなかなかない経験だったとは思いますけどね(笑)。

源平合戦での総大将について、範頼自身は、自分はその器だと思っていたのでしょうか。

九郎(義経)が総大将で、自分は補佐くらいだと思っていたと思います。当時、年功序列みたいなことが当たり前だった時代かはわからないですけれど、自分の役割としては、「“九郎を支える2番手”的なところには任命されるかも」くらいに思っていたと思います。なので戦場では、みんながしっかり動けるように周りをどう動かすべきかを、総大将として一歩引いて考えていた気がします。

結果として成し遂げることのできた平家滅亡というのは、どう受け止めていましたか。

源氏一族としては、もちろん目標達成できたので喜ぶべきことだと思います。ただ、人間・範頼としては、女性や子ども含め入水じゅすいしていく姿を見るのはやっぱり耐えられなかったと思いますね。もちろん任務は大事なので忠実にこなしますが、本来範頼は、そういう殺し合いのようなところからは遠いところにいたんじゃないかなと思うんです。範頼の描写で、「壇ノ浦のあとも必死に宝剣を探している」っていうのがあったのですが、それは平氏に対する責任のひとつだったんじゃないかと思うんです。「自分たちはなんのためにこの戦いをしたのか」という答え探しみたいな気持ちもあって、「せめて三種の神器だけはちゃんと3つそろえてお返ししよう」と思っていたんじゃないかなと。

これまでの撮影の中で印象的だったり、範頼らしさを感じたりしたシーンはありますか。

範頼は源平合戦で総大将になるとはいえ、意外とそれらしいシーンは少なかったので、「自分は総大将だ!」ってずっと言い聞かせていた部分があったんです。そうしたらあるときロケで、義時さん、義村さん、義盛さんなどを引き連れるシーンがあって、そこで初めて「僕はこの人たちを従えている総大将なんだな」っていうのを実感できました。またロケーションもきれいな場所で。範頼としては平家の滅亡を見届けた悲しいシーンでしたが、迫田としてはグッと気持ちがあがったシーンではありましたね。

範頼の人間性が出ているなと思ったのは、おなかのすいた和田義盛さんをみんなでなだめるようなシーンで、義時さんに「どこへ」と聞かれて「魚を釣ってくるよ」と答えたところです。総大将なのに、自分からそういうことをやっちゃうところが範頼あいきょうなのではないかと感じます。
いずれにせよ今回は、源範頼という人の存在を多くの人に知っていただけるよう、記憶に残るお芝居ができるように頑張ろうと思っています。

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