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INTERVIEW 2022.05.01

北条義時役・小栗旬さんインタビュー<前編>

~次々と起こる悲しみにふたをして~

現時点で、北条義時という人の変化はどのように感じていますか。

劇的に変化した感覚はそんなにありませんが、ちりも積もればと言いますか、目の前で起きる出来事に対して「自分ならどういう選択をするのか」ということを考えてきた結果、徐々に今の人物形成になってきたのかなと。まだ、当初人物紹介で言っていた“ダークヒーロー”みたいなところにたどりついてはいなくて、すべての行動はあくまで彼の中の最善策であり、そうせざるを得なかったものなんですよね。たぶんこの先もその連続なのですが、その決断のスピードが上がっていく感じが冷徹に見えるようになっていくのかなと感じています。

たぶん、彼の中でひとつの大きなターニングポイントとなったのは、第15回の上総広常の死。このあとも転換期はいろいろありますが、自分が演じさせていただいている義時という人は、そういう出来事に対して、深い悲しみと挫折で傷ついていくようなところがあるので、今はまだガラッと変わったということはないかなと思っています。

映像を拝見して、義時は思ったことが素直に表情に出るタイプなのかなと感じたのですが、小栗さんの中で意識している部分はありますか。

そうですね。感情が全部表に出ちゃうみたいなことは、義時が若いうちは大事にしておこうと思っていました。やっぱり、目がすごく動いたり、表情に思いが出まくっていた人が途中からそれをしなくなるというのは大きな変化だし、それをある意味“義時が大人の階段を上っている瞬間”として受け取ってもらえたらいいなと思って。年齢を重ねるにつれて素直な感じの義時ではなくなりますが、家族に会うとときどき戻っちゃう瞬間があったりとか、そういう感じを楽しみつつ、撮影をしながら色付けしていっている感じですね。

ちなみに映像を見た三谷さんからは、「期待以上の義時になっていると思います」なんて言っていただいて少しホッとしました。周りの人たちからも楽しんでくれているような感想をもらったりしてうれしいですし、「やっぱり大河ドラマってすごいんだな」と思っているところです。

これからは戦のシーンもかなり増えてくると思いますが、義時の戦いぶりも変化のひとつになってくるのでしょうか。

第5回で堤信遠の館を襲撃したのが義時初陣ういじんで、たぶん、本当の意味で目の前で人が斬られて死んでいくさまを見たのも、ほぼ初めてだったんですよね。なので、“今まで鍛錬してきたはずなのに結局あまり発揮できない”という状況を丁寧にやっていこうと、チーフ演出の吉田照幸さんと話していたんです。義時は、命からがら助かったり、誰かに助けてもらったりすることが多く、その悔しさもあると思うので、源平合戦が本格化していくときには今まで見せられなかった勇姿を見せられるようになるのではないかと。彼がステップアップしていることを丁寧に表現できているんじゃないかなと思います。

どうやら史実によると、義時ってあまり戦場で活躍したタイプではないみたいなので、そこのバランスが難しいところではあるのですが、小栗旬個人としては、結構いろんな稽古をしてきたので、「ワンカットくらいカッコいいシーンを撮ってほしいな」と思って、お願いしてやらせてもらいました(笑)。義時は武功はあげていないのに戦場には行っていて、「じゃあ彼は何をしていたんだろう」みたいな謎な部分があったんです。戦ベタだったみたいな話もあるくらいなのですが、今回は、「その陰で実は意外と戦ってました」みたいなものを見せてもいいのかなと思っています。

多くの人がいなくなっていくという状況を、義時はどの程度受け止めていたと思いますか。

第10回あたりから結構毎回、人が亡くなっていくんですよね。でもそれに対して少し慣れすら生じていくっていうのが人間の怖い部分だなぁと。最初のころよりもだんだん悲しみにふたをしていくような感覚が義時にはあって、その作業が機械的にできるようになってきてしまっているのかなと思います。それは褒められた能力ではないけれども、この先に起きる悲しみを真っ向から全部受け止めてしまうと壊れてしまうから、壊れないように無意識にそうし始めていっているんだろうなぁと。それが人間の怖い部分だっていうことが、義時を通して伝わっていったらいいなぁと思っています。

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