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INTERVIEW 2022.04.24

巴御前役・秋元才加さんインタビュー

~共に戦うのも、逃げさせるのも、愛情~

巴御前役をオファーされたときの感想をお聞かせください。

2年ほど前に三谷さんから電話をいただいて、「馬上で戦う女性の役があるので、もしかしたら秋元さんにオファーがいくかもしれません。馬には乗れますか?」と言われたんです。当時は乗馬の経験はほぼありませんでしたが、以前『あさイチ』で乗馬体験をしたときの写真を三谷さんに送って、「できます」って言い張りまして…(笑)。「女性で戦う役って誰ですかね?」と周りの人に聞いてみたら、「巴御前じゃないですか?」って言われたんですけど、まさかそんなすばらしい役が私にいただけるとは思っていなかったので、正式にお話をいただいた際にはびっくりしました。いいチャンスをいただけたと思っています。

ただそのあと、三谷さんから「巴御前をこういうふうにしたい」って眉毛のつながった女性の写真が送られてきて「どういうことですか?」とはなったんですけれど(笑)。でも、「脚本家さんの意図があるなら私はそれに沿って演じます」という感じです。いろんな文献を読むと「強くて美しい」と書いてありますが、今も昔も何が美しいかという基準は決まってないじゃないですか。だから、“新しい美の提言”として演じるのもすてきなことなのかなと感じています。

キャスト発表の際に、「三谷さんは自分でも知らなかった自分に出会わせてくれる」というようなコメントをいただきましたが、今回も新たな発見は多いですか。

そうですね。当て書きをしてくださったり、何気なく話したことが台本に組み込まれていたりして、私のパーソナルな部分を描いてくださっているのかなと毎回感じています。今回も、「秋元才加ってこういう人なのかな」っていうのを、巴御前を演じながら知っていく感覚になります。
巴御前は「義仲殿と一生添い遂げたい」「この人のためなら戦場で命を落としても構わない」という強い思いのあった人。私も巴御前ほどではないですが、自分が思ったらその気持ちを貫くタイプですし、今回、合戦のシーンではすごく生き生きしていたと思うんですよね(笑)。武者震いがしたというか、強い志を持って自立した女性に個人的に憧れているので、合戦シーンにワクワクしている自分に気がついたとき、「もしかしたら巴御前とまったくリンクしないわけではないのかも」と思ったりしました。

巴御前は、木曽義仲のどこを敬愛していたと思いますか。演じた青木崇高さんの印象も教えてください。

今まで木曽義仲は“山猿”とか“傍若無人”というイメージがあったと思いますが、今回の義仲殿はすごくピュアで人間らしくて魅力的なんですよね。ただ素直に「平家を倒したい!」と思っていたのに、いろんな思惑に巻き込まれてしまって、葛藤している面もたくさん隣で見ていました。そういうまっすぐさに巴御前かれていたのだと思います。今回は特に義仲殿と巴御前がとても平等に、人間として尊敬しあっている関係として描かれているのもすてきですし、今までとはまた違う、青木さんと私だからこその木曽義仲巴御前として、見る方に「よかったね」と思っていただけていたらうれしいです。
青木さんはふだんからとても紳士的で、自然と「この人についていこう」と思わせてくださるかっこいい方です。今回の撮影のために木曽に巡礼されたみたいで、私にもお守りや御朱印をくださって、実はそれを衣装のふところに入れて合戦に出たりしていました。

合戦の場面では勇ましく薙刀なぎなたで戦う姿を見せていただきましたが、かなり練習をされたのでしょうか。

練習は何回かさせていただいたのですが、それでも足りないと思ったので、夜にとある神社で自主練をしていました。通る方に不思議な目で見られていましたが(笑)。体を動かすことは好きですし、合戦は巴御前としてのひとつの見せ場だと思ったので、頑張らないとなと。
とにかく動きの硬さを取るのには時間がかかりましたが、第1回で義仲殿と殺陣たての手合わせをしているという短いシーンがあって、そのときに扱っていたのが、とてつもなく重い木の棒だったんですね。それで図らずも肩を鍛える形になったので(笑)、薙刀は「軽いな」という感じにもなりました。

義仲に終生を尽くすと決めていた巴御前にとって、最後の別れ際は何を感じていたと思いますか。

共に戦うのも愛情だし、逃げさせるのも愛情だし、たぶん、2人の深い愛情がぶつかった瞬間だと思うんですよね。だからあのシーンのとき、「巴御前だったら最後まで義仲殿の前では涙を見せないのではないか」とぼんやり自分の中で思っていたんですけど、いざ青木さんとお芝居をしたら、生きるか死ぬかの毎日でずっと抑え込んでいた巴御前の弱い部分が出てしまったというか。「1人で生きていける」って思っていたし、「男なんて私が倒してやる」という気持ちで生きてきたけど、「愛する男との別れなんだ」と思ったら女としての感情が急に出てきてしまって、それは自分でもすごく予想外でした。しかもその撮影、カメラテストで感情が爆発しすぎて調整がきかなくなってしまってすごく焦って…。そうしたら本番のときに青木さんが、テストとは違うアドリブをして、私のいい表情を引き出してくださったんです。もう本当に「ついていきます!」と心から思いました。

義仲と別れ、敵兵たちと戦う巴御前は“生き延びること”と“死ぬこと”どちらを考えていたのでしょうか。

私は、「義仲殿に恥ずかしくない戦いをして死んだら死んだで構わない。それも本望」だと感じました。だからどちらかというと、和田義盛さんに捕らえられて生きていくほうが不本意だったんじゃないかなって、最初は思っていましたね。華々しく義仲殿のために戦って散ったほうがプライドが守られるというか、勝とうが負けようがそれを望んでいたのかなという感覚はあって、個人的には「え、和田さんのところに行くんだ」みたいな。それもまた女の強さなのかなと思う部分もありますけどね。

これまでの撮影は秋元さんにとってどのような時間になっていますか。

義仲殿や今井兼平さんとお別れして、第二の人生を送っているような、不思議な感覚で撮影に臨んでいます。でも撮影後にモニターを見ると、戦場にいたときと離れたあとで自分の顔つきが違うなと感じて、「人って変わっていくものなんだろうな」ということにも気がついたんですよね。そしてその秋元才加としての変化と巴御前の変化をうまくリンクさせていけたらいいなとも思うので、まだこの先もいろんな表情を見せながら、今までの巴御前像とはまた違う面をたくさんお見せできるんじゃないかなと思っています。

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