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INTERVIEW 2022.04.24

木曽義仲役・青木崇高さんインタビュー

~一族を守るという熱い思い~

「鎌倉殿の13人」における木曽義仲はどのような人物だと思われましたか。

これまでの木曽義仲は、「粗野で横暴で、力だけで周りをねじ伏せた人」というような伝わり方が多かったと思うんですよね。でも、当時だって武力だけで土地を平定することは無理だっただろうし、やっぱり知にもたけていないとダメだったと思うんです。「鎌倉殿の13人」の義仲はそこに勇気も加わり、そして何より、源氏一族や木曽の仲間たちに対する熱い思いがあって、端的に言うと“カッコいい男”だなと台本を読んで思いました。結構男前な人物として三谷さんが描いてくださったのもうれしかったですし、「これだけいいものを用意していただいたんだから、しっかり演じなければ」と思いましたね。

義仲としては、望んでいなかった源氏同士での争いが起こってしまったことをどう感じていたと思いますか。

戦う気がなかったかどうかはあくまでも「鎌倉殿の13人」における解釈ですが、すごいことが起きたと思いました。当時の通信手段は文くらいしかなく、会いに行くこともあるけど、会ったところでその人が本人であるかどうかの確証って実はないわけじゃないですか。そんな中で義仲が信じていたものは、血のつながりだったと思うんですよね。不確かかもしれないけれど、源氏の一族であると聞けば、より思いが強くなる。義仲が平家と戦ったのも、一族を守るためですから。
だから、同族の九郎(義経)が攻めてくると聞かされたときは、「いやいや何かの勘違いだろう」としか受け取れなかったと思います。都や鎌倉の価値観に戸惑うこともあったでしょうし。まさか源氏同士で殺し合うことになるなんて、義仲からしたら考えてもみなかったことだったと思います。

息子・義高を頼朝に渡してまで意思表示をしたはずなのに…。

本当ですよ。でも現代を生きる我々は、息子を差し出すなんて「とんでもない」と思うかもしれませんが、当時は結構当たり前だったりするんですよね。だから義高頼朝側に渡したときは、そこまで重い意味はなかったような気がします。「自分の血筋を守る」というのを最優先にするのが当時の価値観だったと思うので、同族に預けるのであればより強い信頼を置いたでしょう。義仲の細かい感情まではわかりませんが、妥当な手段を取ったのだと思いますし、義高もそれはわかっていたと思います。

義高は若手歌舞伎役者・市川染五郎さんが演じましたが、印象はいかがでしたか。

とても聡明で、「なんだ、この落ち着きようは!?」と思いました。ただ、共演シーンが少なかったんですよね。そんな中で、撮影の順番的に「北条に預けられた義高が父をおもうシーン」や「義仲が死んだあとに父を想うシーン」が挟まっていたので、やっぱり何かしらの穴埋めをしなければいけないと思って、自分の出番がないときも撮影現場をのぞきに行ったりしていました。僕が何もしなくても、彼は自身で穴埋めができる役者かもしれないけど、やらないよりはいいんじゃないかなと。当時の義仲義高親子の温度になるべく近づけたいというのもありましたね。そうしたら、撮影が終わったあとに手紙をいただいたんですよ。「父上へ」で始まって最後「義高」って。うれしかったですね。またいつか別の形でもお会いできたらいいなと思います。

義仲と巴御前の関係性についてはどんな印象でしょうか。巴役の秋元才加さんとの共演についても教えてください。

歴史的に本当にいくさの最前線まで一緒だったのかはわかりませんが、そういう伝わり方をしているということは、何かしらの要素はあったんでしょうね。巴御前は、薙刀なぎなたを習得するなど武芸に秀でていただけではなく、精神的にもとても強い人だったのかなと思います。
秋元さんは、たたずまいがまっすぐで強く、目線などもキリッとされているので、かっこいいですね。たとえ義仲がちょっと弱気になったとしても、ちゃんと奮い立たせてくれる凛々りりしさがありました。いろいろな資料を拝見していると、義仲巴御前の関係をラブストーリーのように表現されているものもあり、どこまでが史実かはわかりませんけれど、のちの人がそこに感情を入れ込みたくなるような2人なんだとは思うんですよね。幼なじみでもありますし、言葉数は少なくてもお互いのことがよくわかっている人と人としての絆の強さは、僕らもよく出せたのではないかと思います。

別れ際、巴御前は「地の果てまで、殿のおそばに」と言いますが、義仲は彼女に生きることをすすめました。どのような思いで演じられましたか。

義仲は、巴御前に「ここで離れろ」と言っても、「嫌です」と言われるってわかっているんですよね。その気持ちは受け止めてあげないといけない。でも、いよいよ自分の死が迫っているのを感じたときに、うまい言葉が見つかりませんが、やっぱり愛するものを道連れにはできなかったんだと思います。
別れの場面は、感情的にかなりキツかったですね。義仲の受け止めているものの大きさに追いつけなくて、カットがかかってから裏でちょっと泣いてしまいました。ふるさとへの思いをせるというか、ちょっとアドリブを入れて一度感情をフラットにさせてから、「お前はここで落ち延びよ」という厳しい言葉を巴御前に発したんです。そうしたら、秋元さんもすごく素直に反応してくださって、僕もグッとくるものがあり、とてもいいシーンになったと思っています。

木曽義仲として生きた時間は、青木さんの中でどのようなものになりましたか。

一言で表すのは難しいのですけれど、楽しかったですね。すごく深く義仲のキャラクターが描かれていましたし。せっかくここまでつくり上げて、お芝居がおもしろくなってきたところだったので、終わっちゃうのはちょっと「もったいない」と思ったりはします。巴御前兼平とのいろんな関係をもっとやりたかったです。

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