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INTERVIEW 2022.04.17

上総広常役・佐藤浩市さんインタビュー

~はみだし者が物語を動かす~

「鎌倉殿の13人」の台本を読まれた感想はいかがでしたか。

さまざまな人間たちが誰かによって翻弄されたり救われたりしながら、うまく重なり合っている感じが三谷さんらしいですよね。結構アレンジメントもされているんですよ。例えば広常なら、幼いころから戦にばかり関わっていたので、けして文筆的にたけた人物ではなかったという設定になっていて、それを恥ずかしいと思っていることが義時との距離を近くさせるアイデアになっていたり。そういう「もしかしたら…」という想像を膨らませながらつくることも、歴史もののおもしろさであるということを理解して見ていただけたらなと思います。

三谷さんが手がけた大河ドラマには、「新選組!」(2004年)に続いて2回目の出演となりますが、三谷さんから何かメッセージのようなものはありましたか。

特に何も言われていません。ただ、前回「新選組!」で芹沢鴨をやらせていただいたときは、かつて父である三國(連太郎)が映画『新選組』(1969年)で芹沢鴨をやっていたので、それは非常に大事にしながらも新しく何かをやろうと臨み、三谷さんと一緒にひとつの芹沢鴨をつくれたかなぁと思ったんですね。なので今回も、「当然何か違うことをやってくれるよね」っていう三谷さんからの無言のメッセージはあるように感じました。広常には芹沢鴨に似たはみだし者感がありますが、同じことをしてもおもしろくないですからね。

上総広常を、どのようなアプローチで演じられましたか。

広常はたぶん、あまり知名度がない豪族ですよね。でも、彼のことを知らなくても、“人の名前は日本の地名から来ている”ということを知るだけでもおもしろいと思うんですよね。例えば千葉県にある上総広常の名前の由来となっているのであれば、下総っていう名前の人もいたのかなとか。そういう当たり前のことを当たり前じゃなく接してきた自分たちがいる中で、今回の広常のことをたどっていくのはおもしろいなぁって思いが僕の中にはありました。広常上総の地でどのように兵力を蓄えていたのか、そういうことは史実に書かれていないじゃないですか。なので、自分たちが改めてそういうことに思いをはせて、想像しながらやらせていただいていたというのが素直な感想ですね。

しぐさや話し口調など、上総広常のはみだし者感を表すために意識されたことはありますか。

御家人らしくない御家人に、というのはありますね。実際の広常がどうであったかは別として、今回は結構べらんめえ口調なんですよ。広常のはみだし方によって、物語にいろんなことが生じるわけですが、そのあたりは演出チームと話をしながらうまくやったつもりです。
あとは、義時との関係性も大事に演じました。義時がなぜ広常に対して距離をつめてくるのか。それは、広常が案外子どもっぽく、コンプレックスも他人にさらけ出してしまうような、見栄みえやてらいがない人間だからだと思います。そういう親近感を感じられるところも大切にしながらやらせてもらいました。

主人公の北条義時はどのような人物だと思いますか。また、小栗旬さんの座長ぶりについてはどのように感じていますか。

義時は物語の中でさまざまな人たちと出会い、常に自分の立ち位置を方向転換しながら、いろんなものを吸収していく人物ですよね。広常の死もひとつのきっかけになると思いますが、大きな変遷があると、やはり変わっていかざるを得ない。義時の変化、成長という部分にも、この作品のおもしろみがあるんじゃないかと思います。
小栗くんは若いときから主役をされているので、シーンの進め方であったり、スタッフや共演者たちに対する気配りがしっかり培われているので、座長として安心して見ていられましたね。

令和の時代に時代劇をやる意義というのはどのようにお考えでしょうか。

これは2通りあります。ひとつは、今回の三谷さんのように、ちょっと現代風の話し方にするなどのアレンジをしながら見やすくすること。そういうことが、時代劇の裾野を広げるためには大事だと思います。そして、もうひとつは、伝えられる所作や話し方をしっかりと忠実に見せるおもしろさ。現代に生きる私たちは誰も当時の現物を見たことはないわけだけど、時代劇によって体感することができます。この両方を今の人たちに楽しんでもらいたいなと思いますね。

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