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INTERVIEW 2022.03.13

山内首藤経俊役・山口馬木也さんインタビュー

~本人なりに一生懸命だったのです~

たくさん時代劇に出演されていますが、坂東武者を演じるにあたって意識されたことはありますか?

時代劇をやらせていただく際にいつも意識しているのは、“時間の進み方が今とはちょっと違う”ということです。それは「鎌倉殿の13人」でも同じですね。「時計がない」時代ですし。自宅で台本を読みながら、その役柄についていろいろ調べたり、想像を膨らませたりはしますが、結局は現場で共演者の皆さんと一緒にやって出てくるものが正解なのではないかと思いますね。時代劇を長く続けて来たので、ちょっとしたことなら体に染み付いていると自分に言い聞かせている部分もありますが、衣装を着させていただきカツラをのせてもらうことでその役柄に入り込むことができるので、僕ひとりの力ではどうしようもできない部分は丸投げさせていただいています(笑)。

「鎌倉殿の13人」における山内首藤経俊はどんな人物だと思われましたか。

たぶん、責任が取れない人なんだろうなと思います。だからひとつのところに定まらず、いろんな方向に行ってしまうのかなって。なぜそんなふうに感じたのかを具体的に説明することはできませんが、なんとなく人のせいにしがちというか、人のあとを歩く癖があるように感じるんですよね。現代を生きていても「責任の取り方って難しいな」と感じますが、そのうまい方法に気がつかずにそのまま進んでしまう人と、なんとかもがいて努力する人では、徐々に差が開いていくと思うんです。そしてきっと経俊は、たぶんまだそこまで考えられていなかった人だったのではないでしょうか。

経俊は源頼朝ではなく、大庭景親についていく選択をしますが、彼のどこに魅力を感じたのでしょうか。また、國村隼さんとのお芝居はいかがでしたか。

個人的には、経俊大庭景親さんには魅力を感じていない気がするんですよね。それよりも彼の後ろで動いている大きな政治というものを重視して、そちらにつくほうが当たり前だと思ったのかなと。このドラマにおける山内首藤経俊みたいな人って、本当のところでは誰のことも尊敬なんてしていないんだと思います。かと言って、別に嫌いとかいうわけでもない気がします。そういうあやふやな感じが経俊の弱点ですよね。

國村さんとは昔、舞台でご一緒させていただいたことがあるのですが、とても色っぽい方だなと思います。当然のことではありますが、ほかに似た人がいないってすごいなと感じるんですよ。なのでいつも、「盗めるところないかなぁ」と思いながら拝見しています。例えば、國村さんがたまに見せるクシャッとした笑顔がステキで、「こういうところか! そうやるんだな」って思ったりとか。そんな魅力的な方に、あのような暴言を吐くことになるなんて(笑)。

経俊のラストシーンは泣きながらの命乞いでしたが、どのような演技プランを考えていましたか。

一切ノープランで現場に入りました。もちろんセリフは覚えますが、考えて演じてしまうとろくなことがないなと思ったので、基本的には現場で出るものを信じようと思って。たぶん三谷さんは、ずっと坂東武者もどきのようなことをやってきた経俊が崩壊していくギャップをおもしろく書かれたのだと思いますが、それを僕が狙うとおかしなことになってしまうかもしれないので、とにかく現場の雰囲気に任せるしかないなと思ったんです。現場に入るまで顔にあざをつけられることも知らなかったし、どういう状態で大庭さんと一緒に縄をかけられることになるのかもわかっていなかったので、本当に現場のさまざまなものに助けてもらいました。周りをよく見ながら、いろんな発見をしながら撮影ができたので、とても楽しかったですね。ご覧くださった皆さまからしたら経俊は情けない去り方をしたと思いますが、本人は本人なりに一生懸命だったんですよ。選択肢は間違ってるけど(笑)。

僕が立ち去ったあとの大庭さんが亡くなるシーンですが、台本を読んでいたときには「経俊は命が助かったことを無条件に喜んでいそうだな」と思っていたんです。しかし、いざその場にいると、自分がすごくみすぼらしく思えたといいますか、後悔の念を感じました。生きていて良かったと思うのは、たぶんもっとあとのこと。こんなにさみしい気持ちになるんだということを現場で知ることができて、おもしろかったですね。

時代劇のどのようなところにおもしろさを感じられますか?

今の世界では到底味わえない世界観を具現化しているところですかね。撮影している場所は現代でも、映像を通して見るとすごく昔の場所のように見えたりするじゃないですか。その一瞬、時間がゆがむ感じは時代劇ならではだなと思います。「昔はこんなふうに水が流れていたのかもしれない」とか、実際は違うかもしれないけれども、そう思えるくらい入り込めるので好きです。
あとは、役者さんが当時の人らしい細やかな配慮をされていることがわかった瞬間に感動します。例えば、刀を納刀するときに、刃がさやに当たって刃こぼれすることをふせぐために少し下げた状態でおさめるとか。逆に抜くときもそうですけど、そういう役者さんの気遣いを見るとドキッとします。

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