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INTERVIEW 2022.03.06

武田信義役・八嶋智人さんインタビュー

~いつもとは違う雰囲気の自分に~

武田信義役をオファーされたときの感想をお聞かせください。

うれしかったですね。大河ドラマは主演の方の負担がとても大きい印象があるので、助けになれるかはわからないけど、小栗くんが1年間タイトルを背負うこの作品に「なんとしてでも参加したい!」と思っていました。脚本も「新選組!」(2004年)でお世話になった三谷幸喜さんですからね。なので、お話をいただいたときは本当にうれしかったです。

出演者発表の際に「メガネを捨て、捨て身で挑みます」というコメントをいただき、かなりの意気込みを感じました。

以前とある占い番組で「メガネを取るとオーラがゼロになる」と言われたので、ちょっと不安ではありますけどね(笑)。「新選組!」のときは三谷さんから「メガネ、どうする?」と聞かれて、僕は「お任せします」と答えたんですが、スタッフさんが「八嶋さんといえばメガネでしょ!」と言ってくださって、演じた武田観柳斎はメガネのキャラクターになったんですよ。時代考証的にもなくはないということで。まあそういう経緯があったので、今回も三谷さんから冗談で「メガネ、どうする?」と聞かれました。「かけていいんだったらそうしますけど、そうなると“日本の歴史上初めてメガネをかけた男”ってことになりますね」ってお話ししましたけどね(笑)。

実は、僕はコンタクトレンズがちょっと苦手で、メガネを取ると何も見えていない状態になってしまうんですよ。だから、本番ギリギリまでメガネをして共演者の皆さんのお芝居を脳裏に焼き付けて、撮影に臨んでいます。いつも以上によく見ようとしているので、新たな発見もあってとても新鮮ですね。なので、これまでの作品で僕が演じてきたキャラクターとはちょっと違う雰囲気を、「鎌倉殿の13人」では出せるのではないかなと思います。

武田信義を演じるおもしろさはどのようなところにありますか。

武田信義源頼朝と同格の源氏の棟梁とうりょうの一角で、頼朝が勝ち残っていくうえで加担もし、史実でも結構活躍していた方なんですよね。裏ではきっとライバル心があっただろうし、運命のいたずらでとてもさみしい思いもしますが、信義のさまざまな決断があったからこそ甲斐国は成熟し、いずれ武田信玄という英傑につながります。ドラマでは一部しか描かれませんが、信義の選択が何かひとつでも違っていたら、あの有名な戦国武将・武田信玄は生まれてこなかったかもしれない。歴史好きとしては、そういうふうに思いを巡らせて演じられることがおもしろいなとは思いますね。

“源氏の棟梁”といえば源頼朝の存在が大きいと思います。「鎌倉殿の13人」における頼朝の印象はいかがですか。

頼朝は幼いころから、流されたり、だまされたり、いろいろなことが身に起きている人なんですよね。だから基本的にあまり他人を信用していないところがあるし、ゆがんでしまっている部分もある。それを全部調整しながら支えているのが北条家で、中でも義時の苦労がすごく出やすいキャラクターになっているなと思います。よく見る肖像画の頼朝とはイメージが少し違うかもしれないけど、演じているのが大泉さんなので、単なるひどい人ではなくチャーミングな部分もあって、バランスが良いなと思いますね。

三谷さんは演じる俳優さんに役を当てて書くというイメージがありますが、演じていて「似ている」と思った部分はありますか。

あまり自覚はないんですけど、小栗くんに「八嶋さんと大泉さん、本当にお互いを意識してますよね?」って言われました(笑)。「普通に話してるし、そんなことはないけどなぁ」と思っているけれども、僕も大泉さんも劇団出身だし、年齢も近い。そういう部分で無意識のうちに意識していたりするのかもしれないですね。それは小栗くんに言われて初めて気がついたことでした。

もしかしたら、三谷さんもそれを感じているのかもしれません。第9回で信義頼朝が対面するシーンがありましたが、台本のト書きに“信義が手を握ったら頼朝がそっと離す”って書いてあったんですよ。なので、リハーサルでいろんな握り方をしました。「これなら頼朝はどう返す?」とたくさん仕掛けたくなるようなト書きなんですよね。役柄も相まって、何かと頼朝に仕掛けてみたくなる。そうすると、すぐさま頼朝も反応してくれる。それが楽しくなってきちゃって(笑)。大泉さんにはご迷惑をおかけしているかもしれません。

よろいを着ている場面も多いですが、撮影中の印象的なエピソードは何かありますか。

信義は源氏の棟梁の一人ということで、「八嶋さんには特別な白い鎧を用意しました!」ってスタッフさんが言ってくださったんですよ。白は当時かなり上級の色だったんですって。それをしっかり使っているのは僕の鎧だけだと聞いてうれしくなったんですけど、実際に着てみたら地獄のように重くて! ロケに行ったときは雨が降ったあとで地面がちょっとヌメッとしていたんですけど、立ったまま土の中にめり込んでいくんじゃないかなって思ったくらい(笑)。もちろんその重みは棟梁としての風格を表すものだし、スタッフさんの意気込みも背負わないといけないと思ったので、とにかくめり込まないようにするのに必死でしたね。
あとは今回、背の高い出演者の方が多い中で僕だけ小さいので、僕の烏帽子えぼしが異常に高いんですよ。烏帽子をつけた状態で並ぶと同じくらいの身長ってことだと思うんですけど、なかなか自分の高さがつかめなくて、難しいなとは思っています。でもきっと信義の気持ちとしては、「烏帽子は頼朝より長くしたい」っていうのがあったりするんじゃないかな。

時代劇の魅力はどのようなところに感じていますか。

時代劇って、本当はどうだったかというのはわからないじゃないですか。もちろん時代考証の先生方がいらして、いろんな文献も残ってはいるけれども、ドラマとしてどう描くかという点においては現代劇よりもファンタジーだと思うんですよね。だからこそ現代的な問題も盛り込むことができるし、すごく柔軟に表現ができる懐の深さがあると思っていて、三谷さんはそういう点を巧みに操って作品をおつくりになっているなと感じます。ひとつの形式美として老若男女を問わず見ることができる、とてもすばらしいコンテンツだなと思いますね。

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