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INTERVIEW 2022.02.27

和田義盛役・横田栄司さんインタビュー

~自分と義盛は真逆の人間。だからこそおもしろい~

和田義盛役をオファーされたときの感想をお聞かせください。

ほぼ1年間出続けると聞いて、本当にびっくりしました。役者業をきのうきょう始めたわけではないので、1年間出続けることがいかに大変なことかは何となくわかっていましたが、まさかそれが自分に降って湧くとは思っていなかったものですから。お話をいただいたときはとにかく驚いたこととうれしかったこと、そして、そのあとすぐに大きな恐怖といいますか、背筋の凍るような思いをしたのを覚えております。
義時役の小栗旬さんと初めて共演したのは彼が20歳くらいで、僕が30歳すぎくらいのときで、それから月日がたって、彼が主演の作品に自分も出演するというのはすごく不思議な気持ちです。うれしいし、ありがたいし、なんとも言えないいい気分ですね。

三谷さんから、「気は優しくて力持ち、みんなから愛される西郷さんみたいなまっすぐな男。抜けているところがあるいじられキャラ」というヒントをいただいたと出演者発表のコメントでおっしゃっていましたが、それを聞いてどのような和田義盛像をつくっていこうと思われましたか。

台本を読んだら、三谷さんにいただいたお言葉通りの雰囲気で描かれていたので、ニヤニヤしながら、「なるほど、こういう人物か」と。台本をいただくまでの間にいろいろな文献を見たり、小説を読んだりしてイメージを膨らませていたのですが、三谷さんが描く義盛は、“生き生きとした歴史上の人物”というよりも“身近にいそうな人間”という気がしたので、僕は書かれていることを過不足なくやりたいという思いで演じています。とはいえ僕の中に和田義盛らしさはあまりない気がして。共通点を探しながらやっているのですが、どうしてこの役をくださったのかは不思議なんですよね。僕は義盛よりも言葉を選んで話しますし、直接的に何かを訴えたり、物事をお願いしたり、何かを否定したり、自分一人で先走ったりするタイプの人間ではないので…。でも、真逆の人が演じるからこそおもしろいと思ってくださったのかな。

主人公の北条義時はどのような人物だと感じていますか。

最初の印象では優柔不断というか、わりと調整役として描かれているなと思いました。八重さんのことを三浦義村さんにいじられたり、どこか頼りないというか、はっきりしないというか。なので、そんな義時が自分でいろんな決断をするようになって、どういうふうに成長していくのかが今はすごく気になっています。
彼が優柔不断になってしまっている原因として、周りがあまりにもひどいっていうのはあると思うんですけどね。父上はムチャクチャだし、兄貴はイケイケだし、友人の義村さんは何を考えているかわからないし、義盛みたいに勢いで乗り切ろうとする武将もいたりして、彼は相当苦労している人間として描かれているなと思います。

義時を演じる小栗さん自身は一見、「俺についてこい」みたいなタイプですが、実はいろいろと準備したり、ちゃんと論理的に筋道を立てて物事を考えたりしている方なんです。そして、人間同士をつなぐプロデュースがうまい人でもあります。そういうことも今回の台本の中で描かれていますし、三谷さんっていつの間にそういう個性みたいなものを分析されているんでしょうね。

義盛は、三浦義村や畠山重忠とやんちゃグループのように一緒にいるシーンも多いですが、2人についてはどんな印象をお持ちですか。

義村さんは山本耕史さんそのものみたいで、とにかくカッコいいですよね。耕史さんは何でもできますし、立ち回りもカッコいいし、乗馬もすてきで。「義村さんって実際こういう人だったんじゃないかな」って思うくらい、耕史さんと義村さんの一体感がすごいなと思います。豆粒ひとつ口に放り込むしぐさだけでもほれぼれするんですよ。みんなが飲んでいる中で、一人そっぽ向いて豆を放り込む三浦義村さんというか、山本耕史さんに。
中川大志さんは重忠さんとして、あっちに行ったりこっちに行ったり、それぞれで存在のしかたを切り替えているんですよね。「どっちに行ってもアウェイな気分で、撮影現場にいるのが緊張する」と言っていました(笑)。「みんなが怖い顔で俺を見るんだ」って。現場にいながら常に、畠山重忠としての気分を味わっているんでしょうね。

よろいを着てお芝居をするときに、工夫されていることはありますか。

基本的にお芝居するときは、立つ・座るということが結構難しいんです。洋物でも、イスから立つとか座るとか、その刹那みたいなことが難しいので、今回は小栗さんや中村獅童さんにアドバイスをいただきました。特に鎧を着てあぐらをかいた状態から立ち上がるのがなかなか難しくて。彼らほどうまくはできませんが、とにかく撮影に支障をきたさないように努力しています。

衣装ではありますが、リアルに重いんですよ。当時の人たちはあんなに重いものを着て戦ったり、馬に乗って弓を放ったり、薙刀なぎなたを振り回したりしていたのかと思うと、本当にすごい時代だなと思います。当時は命がけで自分たちの名を揚げるとか、大事な人を守るとか、とにかく必死だったんでしょうね。現代を生きる者としては、当時の戦場でのエネルギーというのはクレイジーだなと感じますが、当時の人たちに負けないエネルギーを持ってどうにか当たっていかないと弾かれてしまうくらいの大作に出演しているんだとロケ現場で思いました。

横田さんは舞台にも多く出演されていますが、舞台と大河ドラマでお芝居のしかたや声の出し方など変えていることはありますか。

それは本当に難しいですよね、どのぐらい声を出せばいいのかいまだにわからなくて。カットがかかってからみんなでモニターを見てチェックをするのですが、なんだか自分の声だけ大きい気がして…。だからといってみんなのまねもできないので、音声さんに「うるさいな」って思われているんじゃないかなって心配しています。
でも、義盛は登場シーンで義時に「声が大きい」と言われていたので、もしかしたら三谷さんがわかって書いてくださったのかなと。なので、あまり縮こまらずにやりたいです。あえて舞台の表現と変えないというのかな? それでいいんじゃないかなと思うんですよ。大河ドラマだし、激しい人たちだし、いまだに悩むことも多いですが、このやり方が大河ドラマには合っているはずだと信じて演じています。
ドラマの撮影というのは舞台と違って、毎回違うシーンがくるわけじゃないですか。「きょうできなかった部分をあした修正しよう」というのが効かないスリル感はたまらないです。そのヒリヒリした感じが1年間続くと思うと、ゾクゾクしますね。

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