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INTERVIEW 2022.01.23

りく役・宮沢りえさんインタビュー

~誰よりも、りくに寄り添って演じたい~

りく役としてオファーされたときのお気持ちをお聞かせください。

脚本が三谷さんということですし、小栗さんとは『人間失格 太宰治と3人の女たち』という映画で夫婦役をさせていただいて、とても頼もしくて懐の深い、ウソのない役者さんだと思っていたので、その方が主役だと聞いて、お話をいただけたことを光栄に思いました。
牧の方(りく)は、今までいろいろな方がとても個性の強い悪女として演じられているので「自分では物足りないんじゃないかな」という不安もありましたけれど、三谷さんが「ぜひ!」とおっしゃってくださっていると聞いて、「三谷さんがおっしゃるなら、やりたい」と思いましたね。

三谷さんからは「今まであったような“悪女・牧の方”というふうには描きたくない」とお言葉をいただきましたので、時を経た今、どうして彼女が“悪女”といわれる生き方をしてきたのかということが、脚本の中にすごく詰まっているんじゃないかと思っています。

戦のシーンとそれを待つ女性たちとのシーンには結構温度差があって、女性たちの時間は意外と穏やかです。戦の多い時代ではあっても、戦に関係のない人たちは意外と平和に生きているという部分が描かれているので、まだ“悪女”の気持ちはちっとも湧いていません。これから時代に翻弄されて、彼女自身も変わっていくんじゃないかなって。
そういう彼女の変化や生き方が序盤から描かれているのは見ている方にも新鮮でしょうし、私も脚本の流れに身を任せていれば、あまり役作りをしなくても、りくという人物が浮き彫りになっていくんじゃないかなと思いながら演じています。

演じていて共感できる部分はありますか。

三谷さんがお書きになっているから、ホームコメディー的要素が多くて。私はコメディーが苦手なので、いつも小池栄子さんに「このセリフっておもしろいの?」「どうやったらおもしろくなるの?」って聞いて「そのままやったらおもしろくなるから」ってよく言われているんですよ。なので、共感できる部分は正直まだなくて。手探りでやっている中で、なんとか自分自身と役との鎖をつないでいる感覚はありますね。
りくには、今まで一緒にいた人間が権力を持って上がっていくことで「置いていかれないようにしないと」という焦りもあるし、もともと名誉や権力に対して憧れみたいなものを持っている人間だとは思うので、そういうものが積み重なっていくんだろうなと思います。本当に平安時代から鎌倉時代は激動の時代だなと思うんですけど、今も激動だから(笑)。時代というのは、いつも激動しているんだなっていうのを改めて感じますね。

夫・北条時政の魅力はどのようなところにありますか。

今回の脚本に描かれている時政さんは、とてもおおらかだけど、戦に出ると打って変わってものすごく剣の達人で、息子たちが驚くような姿を見せる。そのギャップはすごく魅力だなと思いますね。あとは源頼朝の計画に対してもどこか欲のないところが当時としては珍しい感じで描かれているので、この先どうなるかはわかりませんけど、そういうところが魅力じゃないかと思います。そして無償の愛を注いでくださるので、りくはとても幸せだなと感じています。
坂東彌十郎さん自身も本当に優しくて仏のような方なので、何の不安もなく、そばでお芝居をさせていただいています。一つ一つのシーンにとても誠実に取り組んでいらっしゃるので、一緒に作品を作っているという感じがします。

主人公・北条義時はどのような人物だと感じていますか。

戦や権力に対して積極的ではない人間が、頼朝という人に出会って影響を受けたり、環境が変わっていくことでどんどん変化していったりするところがとてもおもしろいなと思います。小栗さんはすごくオーラのある方だけど、最初は一歩下がった居方をあえてされているんだと思います。頼朝を立てることに徹している感じで、第1回から「俺が主役だ」という感じが本当にないんですよね。それは小栗さんが、時間が流れて立場も状況も変わることで義時自身も変化していくということをプランとして持っていらっしゃるからだと思うんだけど、その影の薄い感じが新鮮です。
脚本を読んでいても「これ誰が主役だっけ…?」と思うくらい、話によって中心になる人が変わるんです。それを義時が見つめ続けて感じたことによって変化していくという本になっているから、すごくおもしろいし、毎回脚本が届くのが楽しみです。

大河ドラマに出演される楽しみはどんなところにありますか。

「江~姫たちの戦国~」(2011年)に出演したときですが、長くその人の人生を演じていくと、後半になるにつれて「どういう演技をしよう」とか「どういうセリフの言い方をしよう」とか考えなくても役が染みついていくという不思議な感覚が何回かありましたね。それは時間を重ねた分だけ自分の中にその役の軸ができているというか。1年間関わらせていただくのは大変といえば大変ですが、そういう意味では短期間で撮影する作品にはない良さを感じます。
今回演じる牧の方も1年間付き合う役になるので、誰よりも彼女に寄り添って演じていきたいと思います。

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