特集

INTERVIEW 2022.01.15

語り・長澤まさみさんインタビュー

~出演者のひとりであるという気持ちで~

語りとしてオファーされたときのお気持ちをお聞かせください。

大河ドラマといえば、その語りは「誰がやるんだろう」と話題になっていましたし、憧れがあったのでうれしかったです。「いつか、もっと年齢を重ねたらやれるかな?」なんて思っていたら、意外と早くお話をいただけて、「ラッキー!」って感じでした。
声のお仕事は苦手なんですけど、わりと褒めていただけることの多いお仕事の一つでもあるので、それがうれしくて苦手だけど頑張りたいと思いました。

脚本の三谷さんや演出からはどのようなリクエストを受けていますか。

三谷さんからは「毎シーンその場にいるような感覚で、ちゃんと寄り添って話せていたらいいよね」とイメージを聞いていて、監督からは「登場人物の気持ちに寄り添ってほしい」「先の展開を予想するような、盛り上がるような言い方をしてほしい」「シリアスな雰囲気を醸し出すような話し方をしたほうがいい」というような、その場その場の演出をしてもらっているという感じですね。
私は撮影がどれだけ大変なものかをよくわかっているので、そういう意味でも出演者のひとりであるという気持ちで取り組むようにはしています。責任重大だなと思ってやっています。

三谷さんの書く脚本のおもしろさは、どのようなところにあると思いますか。

今回の出演者の方々は、これまで共演したことがあったり面識がある方がたくさんいらっしゃるので、脚本を読んでいると「この方ってこういう雰囲気あるよなぁ」って、人柄を知っているからこそ役とリンクする感じがおもしろいですね。もちろん書かれているのは「この人がこういう行動を取ったらおもしろいだろう」っていう想像の世界ではあると思うんですけど、「三谷さんってやっぱりさすがだな、よくわかっているな」って思います(笑)。特に主演の小栗旬さんは、本当に義時にぴったりで。私が若いときからお世話になっている本当に尊敬している方なんですけど、小栗さんって仲良くなれない人がいないんですよね。誰とでも仲良くなっちゃって、人と人をくっつけたり、人との間に入るのが上手なところが義時にぴったりで。あくまで三谷さんの想像だと思うんですけど、そういった人を見透かしちゃう三谷さんのすごさを感じながら脚本を読んでいます。

あとは言葉がとても砕けているので、若い人も楽しんで見られるんじゃないかと思います。かといって史実と全然違うのかといったらそんなことはなくて、時代考証の先生方が「僕たちも三谷さんの発想から気づかされることが多いんだ」とおっしゃっていて。硬い言葉でつづられたことが実際にそのとおりかはわからないですし、もっと庶民的で私たちとなんら変わらなかったかもしれない。そうやって歴史物語を見やすい教科書のようにつくってくれるところが、三谷大河のおもしろさじゃないですかね。

脚本を読んで気になるキャラクターはいますか。

三谷さんの描く女性はかわいらしい人が多かったけれど、今回はどちらかというと“大人の女性”という印象が強いです。また、役者さんたちにもぴったりだなと思って脚本を読んでいます。例えば、三谷さんは新垣結衣さんと初めてお仕事をされるであろうに「八重さんのこの感じ、新垣さんっぽい」みたいな。

りく役の宮沢りえさんも、きっとそんな人ではないのに「こういうこと言いそう」と、こちらの勝手なイメージをうまく使って魅力的な女性像に変えちゃうみたいな。政子役の小池栄子さんは強気な感じがぴったりな反面、柔らかくておちゃめな印象もある方なので、「真田丸」(2016年)のときよりもっと魅力的な女性が増えた気がします。男性陣がぐうの音も出ないような、肝っ玉系の人たちが多いなって。でもそれが逆に大人の女性感があって、魅力的で見ていて楽しいなと思います。

語りとして、ご自身の中でキャラクター設定のようなものはあるのでしょうか。

なんとなく「真田丸」で演じた“きり”感があるんじゃないかなって。いや、ないとは思うんですけど(笑)。ちょっとあってほしいですよね。出てこないとは思うんですけど、三谷さんの世界観でどこかつながっているような感じが少しするので、以前やった役の魂が残ったまま「鎌倉殿の13人」に自分がいるような感じはあります。

今回は出演者としてではなく語りとして参加されていますが、いつも以上に「ドラマ全体のことを考えよう」と思うことはありますか。

それはありますね。物語の時代背景などを理解していなきゃいけないと思っていたので、時代考証の先生に勉強会を開いてもらいました。あとは語りが持つ“指揮をとる力”がどれだけ物語に影響してくるのかを私も多少は理解しているつもりなので、“音がもたらす効果”がすごく重要だと思うんです。だからこそ「難しいな」と思っているんですけど、責任感を持ちながら今回のお仕事と向き合っている感じです。

勉強会では、どのようなことが印象に残っていますか。

人間らしさを感じられたことですね。それぞれの人物たちの“実はこうだったかもしれない論”ですけど、先生たちがずっと研究していく中で新しい人物像がどんどん出てくるらしくて。「昔はこう思われていたけど、実は…」みたいなこととか、そういう余談みたいなものの中から登場人物たちの人間らしさが見えてきて、物語をよりくみ取りやすくなったような気がします。

特集

新着の特集をご紹介します