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INTERVIEW 2022.01.09

北条義時役・小栗旬さんインタビュー<後編>

~義時の人生が、生活の一部に~

現段階で、北条義時はどのような人物だと思っていますか。

難しいですね…。自発的に行動することがかなり少ないキャラクターなので。北条宗時という兄が存在する限りは、その補佐として生きていくのだろうと自分の中で人生を決めていたはずなんですよね。兄の宗時はいろいろな野心を持っている人だし、行動派なので、彼についていく中で自分なりの幸せを見つけながら生きていくんだろうなって。そう思っていた義時が、なぜか源頼朝の右腕のようになっていくという…。歴史上どうだったのかは闇の中で、いろいろな資料を読んでも北条義時が歴史に顔を出すのは二代執権になったころからなんです。だけど二代執権として登場するってことは、その前にそれなりのものを獲得していなかったらなかなか難しいということで。その手前の話は、きっと三谷さんが『吾妻鏡』を基にして、今、創作しているんだと思うんですけど。でも基本的には我慢と、常に自分の発言が頼朝の発言であるみたいな状況でいなければいけない環境なので、そこは官房長官みたいな気分です。

とりあえず、頼朝が生きている間はきっと戸惑いの連続なんじゃないかなと。やっぱり理解のできない頼朝の行動っていうのはいくつかあって。その頼朝のスタイルはいつになっても理解できないと思うけど、歴史が進んで義時が二代執権になったときには、たぶん自分もそれをする人間になるんですよね。そこが本当に不思議だなというか、人間のおもしろいところだなと思うんですけど。ただ今現在は、そういうことはとにかく否定したいし、認めたくないっていう気持ちなのに、頼朝に頼りにされているっていう状況なので、ものすごく難しいです。

演じていて共感できる部分はありますか。

共感するところはそんなに多くはないかもしれないですね。行動として理解はできるし、すごくわかるなってところはあるんですけど…。どう考えても、きのうまで普通にしゃべっていた人間を次の日殺そうとする時代に、なかなか自分の感情をさかのぼらせることはできないので。そこが基準にある状況で人生における判断みたいなものをするのは、なかなか「自分だったらこうだよな」ってところには置き換えにくいと思っていて。そういう意味で、なかなか共感できない部分があるんです。でも「自分が義時だ」っていう気分でいるときは、彼のとる行動がすごくわかるなってところもあって。事なかれ主義って言ったら語弊があるのかもしれないですけど、彼の中にあるうまくみんなを段取りしたいという気持ちはすごくわかるし、どこかで自分もそう思っている部分があったりするので、そういうときの義時の行動は理解できます。

北条家の皆さんとのシーンはとてもユーモアのあるやり取りが多く、姉・政子や妹・実衣にも振り回されているように感じますが、お芝居をされていていかがですか。

姉上とのシーンはおもしろいものになっているんじゃないですかね。やっぱり小池栄子さんがドシッと構えて受け止めてくださる方なので、そこは楽しいものになっていると思います。義時は姉上には結構いつも強く言われるんですけど、逆に妹の実衣には妙に強くあたったりなんかもするので、そのへんはおもしろいなと思います(笑)。客観的に見て「お前、そこにしか強く出られないんだな」みたいな(笑)。今は、義時は年齢的にすごく若いポジションでやらせてもらっているので、僕としてはいつも自由に演じさせてもらっている感じです。

三浦義村とは仲が良く、彼にだけ見せる弱さや本音があるように感じます。義村について、また、共演経験も多い山本耕史さんと大河ドラマで共演することについてどう感じていらっしゃいますか。

三浦義村は、山本耕史さんにぴったりなんじゃないかなと思うところがあって。僕は義村という人をあまり知らないけど、そこを耕史さんが演じていく中でつくっていっている感じなので「なるほどな、こういう人なんだ」って、おもしろくやらせてもらっています。つかみどころのない男なので、いつも義時は彼に転がされちゃっているイメージなんですけどね。
耕史さんは、基本的にずっと筋トレしているんですよ。変わっていておもしろいです(笑)。2017年に舞台で共演して一緒に過ごした期間を経て、今回は盟友みたいな間柄でいさせてもらえるのはすごく居心地がいいです。自分のこともすごく気遣ってくれる方なので、頼らせてもらっています。

大河ドラマは若いころから晩年までが描かれる作品ですが、演じるうえで声やしぐさなど意識して変えていることはありますか。

第1回は10代から始まって、今撮影している部分は25歳くらい。でも僕はもう39歳だし、変に若作りするとちょっと恥ずかしいなと思ったので、あまり意識はしていないです。はつらつさとか、若さゆえの失言とか、そういう部分で若さが見えればいいかなと思っているので。思いっきり声やしぐさで若さを表現するみたいなことはやっていないですね。結局、兄を演じている愛之助さんや頼朝役の大泉さんなど、皆さんとの関係性の中で自分が若く見えればいいということだと思うので、そこのバランスを取りながらという感じですね。だから独自に「僕は若いです」みたいな感じでやっているのはあまりないかもしれないです。逆に年を重ねていくという雰囲気だけは、徐々につくっていかなければいけないかなとは思っていますけど。

主演として大河ドラマに挑戦してみて、今の心境はいかがですか。

ふだんと変わらないことのほうが多いですけど、やっぱり道のりが長いので、なかなか大変だなと思うことは多いですね。まだまだ全然ゴールも見えないのに、もう撮影が始まってから半年が過ぎている。ほぼ毎日のように撮影をしているので、すごく不思議な感覚ですね。いつもは“仕事に行っている”という感覚なんですけど、それとはまたちょっと変わってきているというか。本当に“生活の一部”みたいになってきて、「なるほど、こういうことをライフワークというのかな」みたいな感じです。

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