COLUMN 2022.06.12
教えて! 風俗考証・佐多芳彦さん

頼朝が初めにいたこの場所は、どのようなものでしょうか?

獲物を追いかけて走っている人たちは勢子ですか?

たいまつを持って追いかける勢子もいるんですね。

獲物が火を見て驚いたり、煙を嫌ったりするので追い込みやすくなりますからね。実は、狩場の風下から火引き縄という火をつけた網のようなものを馬で引き回し、頼朝の前に獲物が集まるように追い込んでいく様子も再現しようと準備を進めていたのですが、撮影場所を視察したらやぶが茂っていて、火事になる危険性があったので断念しました。火のほかには、おそらく鳴り物を持って獲物を追い込んだ人もいたと思います。
鳴り物というのはこれですか?

そうです。例えば、金属で作られた鈴のような道具もあったと思うのですが、もっと激しく音が出る道具も…という話になり、美術スタッフと一緒に知恵を出し合ったんです。獲物となる動物にとって竹がぶつかる音はかなりきつく聞こえるでしょうから、追い立てる道具として使用していた可能性はあると思います。これは推測になりますけどね。
何人でチームを組んで追い込んでいたのでしょうか?
史料には、そこまで詳しくは書いていないんですよね。ただ、「巻狩り」は軍事演習という側面もありますから、小隊、中隊、大隊というような戦闘単位で編成されていたのだろうと思います。


獲物は血抜きをして運んでいたのでしょうか?
狩場が汚れてしまうので、運んでからバックヤードで血抜きをしたと思いますよ。
なるほど。ちなみに「巻狩り」は開始するにあたって、開幕宣言のようなものはあったのでしょうか?
おそらくあったと思いますが、残念ながら記録に残っていないのでわかりません(笑)。「かかれー!」という掛け声などで始まったんだろうなとは思いますけどね。
