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「F35墜落から2か月 大量購入計画の行方は」(キャッチ!ワールドアイ)

増田 剛  解説委員

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自衛隊の最新鋭ステルス戦闘機F35。
日本は、アメリカから大量購入する計画で、総額は1兆5000億円を優に超えます。
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4月上旬、このF35が墜落した事故は、世界に衝撃を与えました。
懸命の捜索が続けられてきましたが、防衛省は、事故からまもなく
2か月になるのにあわせて、事故原因を究明するための捜索を打ち切りました。
それでも日本政府は、大量購入する計画を変更する考えはないとしています。F35が、トランプ大統領が求める米国製品の購入拡大に応える「政治色の強い機体」だからです。
「日本は最近、105機のF35ステルス戦闘機の購入を発表した。日本は、同盟国の中で最大規模のF35保有国になる」。
今回の事故は、F35の購入計画にどのような影響を与えるのか。
背後に透けて見える、貿易交渉をめぐる日米両国の思惑とは何か。
深層に迫ります。

Q1)
スタジオには、外交・安全保障担当の増田解説委員が来ています。
増田さん、F35の墜落事故について、きのう、防衛省は、原因を究明するための捜索を打ち切ったと発表しましたね。
A1)
そうなんです。
青森県三沢市の東135キロの太平洋上で、訓練中だったF35A1機が墜落したのは、4月9日の夜7時半ごろでした。パイロットは「ノック・イット・オフ=訓練中止」と無線で伝えたのを最後に連絡が途絶え、レーダーからは、機影が消えました。
以来、自衛隊とアメリカ軍による懸命の捜索が続けられましたが、現場海域の水深は1500メートルもあり、捜索は難航しました。残念ながら、パイロットは見つかっていませんし、エンジンや主翼の一部は発見されましたが、事故原因を究明するためのカギとされたフライトデータレコーダーのメモリーは見つかっていません。こうした状況をふまえ、事故からまもなく2か月になるのを前に、防衛省としては、区切りをつけたかったのでしょう。

岩屋防衛大臣は、きのう、「これ以上、事故原因の究明につながる材料は出てこないと判断した」と述べ、事故原因を究明するための捜索を打ち切ったと発表しました。ただ、すべての捜索作業を打ち切るわけではなく、軍事的な機密を保持する観点から、範囲を広げて確認作業は継続するとしています。
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Q2)
軍事的な機密を保持する観点とは、どういうことでしょうか。
A2)
はい。それを説明する前提として、F35がどういう戦闘機なのかを説明したいと思います。
F35は、アメリカを中心に9か国が共同開発した最新鋭戦闘機で、敵のレーダーに探知されにくいステルス性と、戦闘に関するデータを瞬時に統合・共有する情報ネットワーク機能の高さが特徴です。ステルス性と情報機能に優れ、敵の防空網をすり抜けて侵入できるF35は、従来の戦闘のあり方を根底から変える「ゲームチェンジャー」と呼ばれています。つまり、最先端の技術が凝縮されるF35は、いわば「軍事機密の塊」なんです。

こうした中、世界で初めて起きたF35Aの墜落事故。しかも、機体が墜落した海域は、公海・公の海ですので、他国の艦船も、自由に航行できます。このため、自衛隊とアメリカ軍は、機体の一部が、万が一にも、ロシアや中国の手に渡ることがないよう、軍事的な機密を保持するため、現場周辺海域の確認作業は継続することにしたんです。
高性能の戦闘機開発をアメリカと競うロシアや中国は、F35の情報を、それこそ、機体の破片や付着した塗料といった類であっても、のどから手が出るほど、ほしいだろうと思います。
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Q3)
一方、事故原因の究明は、どの程度、進んでいるのでしょうか。
A3)
岩屋防衛大臣は「事故原因の分析、調査は、進展している」と述べています。航空自衛隊は、事故機と一緒に訓練していたF35の機体同士の通信データや、地上の基地から捉えたレーダー情報などを分析し、一緒に訓練していた隊員から聞き取りも行って、原因究明を進めています。今のところ、パイロットが平衡感覚を失った状態になった可能性が高いとみているようです。

Q4)
日本政府は、F35の導入を積極的に進める計画でした。今回の事故は、この計画に影響を与えることはないのでしょうか。
A4)
今回の事故の原因が、パイロットの体調の異変ではなく、機体そのものの不具合だったという結論になれば、計画に影響することは避けられないとみられていました。こちらをご覧ください。
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F35は、任務の特性にあわせて、A型、B型、C型の3つのタイプが開発され、このうち、F35Aは、地上の滑走路を離着陸するタイプ、F35Bは、艦船での発着ができるよう、短距離での離陸と垂直での着陸ができるようにしたタイプです。
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日本は今後10年間で、F35Aを105機、F35Bを42機、あわせて147機導入する計画で、これまでにF35A13機が三沢基地に配備されました。このうちの1機が墜落したんです。
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ただ、岩屋防衛大臣は、事故が起きた後も、「計画を変更する考えはない」と強調してきました。岩屋大臣は、きのう、アメリカのシャナハン国防長官代行と会談しましたが、この席でも、こうした方針を伝えたものとみられます。
この背景にあるのが、F35が帯びている「強い政治色」です。

Q5)
どういうことでしょうか。
A5)
F35は現在、米英豪など13か国が調達計画を進めています。今回の事故の調査で、仮に、F35に機体の不具合があり、それが事故原因に関係しているという結論になれば、そして、日本が調達計画を変更するようなことがあれば、それこそ、世界中に影響を与えることになります。しかも、F35は、米国製品購入拡大を求めるトランプ大統領がトップセールスをかける主力商品です。ある政府関係者は、「対米関係を考えれば、日本に、F35の購入計画を変更する選択肢はない」と話していました。

Q6)
先週、トランプ大統領が自衛隊の護衛艦に乗り込んで、F35について力説した姿は、インパクトがありました。
A6)
そうですよね。先月28日、トランプ大統領は、神奈川県の横須賀基地に寄港した海上自衛隊最大の護衛艦「かが」に乗り込み、安倍総理とともに、自衛隊員とアメリカ軍兵士に訓示しました。トランプ大統領のF35についての力説ぶりは際立っていて、「日本は、アメリカの同盟国の中で、最大規模のF35戦闘機群を保有することになる。この護衛艦も、F35を搭載できるように改修され、地域を越えて、様々な脅威を抑止できるようになる」といった具合でした。
Q7)
トランプ大統領が、対日関係の文脈で、いかにF35を重視しているかが、よく表れた場面でしたよね。
A7)
先ほども説明しましたが、日本はアメリカから、今後10年間でF35を147機導入する計画です。1機あたりの価格は100億円以上、総額で1兆5000億円を超えるビッグビジネスです。つまり、F35は、トランプ大統領が提唱する「バイ・アメリカン」の主力商品であり、日本にとっては、その要求に応える外交メッセージになっているんです。
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日米貿易交渉で、対日赤字の削減を求めるアメリカは、自動車への追加関税をちらつかせながら、農産物の関税引き下げを求めています。トランプ大統領は来日中、貿易交渉の「8月決着」に言及し、参議院選挙後の早期妥結を求める姿勢を鮮明にしました。ただ日本は、農産物の関税をTPP水準までしか引き下げる考えはありません。
そこで、期待しているのがF35です。F35の大量購入は、同盟強化の象徴として内外にアピールできるだけでなく、対米黒字を減らし、貿易不均衡を緩和する効果もあります。日本にとっては、農産物での妥協を抑えるカードになっている感すらあります。
ただ、こうした両国の思惑、特に、日本のF35購入が対日赤字削減につながるかのように公言するトランプ大統領の姿勢には、「安全保障を貿易に絡めて良いのか」という批判も聞かれます。外交と通商をめぐるパワーゲームの中で、強い政治性を帯びるに至ったF35の購入計画。その姿は、安全保障と貿易の狭間で揺れる今の日米関係そのものを象徴しているようにも映ります。
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(増田 剛 解説委員)

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