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どうなった?成人式

清永 聡  解説委員

1月8日は「成人の日」。成人年齢の引き下げもあり、成人式などの記念行事も多様化しているようです。どのように変わってきたのでしょう。

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【今年の成人の日の式典とイベント】
Q:8日が成人の日でした。新成人の方々おめでとうございます。
A:総務省の人口推計によると、平成17年・2005年生まれの18歳の新成人は106万人です。前の年より6万人減って、過去最も少ない成人だそうです。
今年は能登半島地震の被災地の中には、成人の日の前後の記念行事を中止や延期するところも出ています。
全国的にも以前は、新型コロナのため中止するところもありましたが、ことしは各地で様々な式典やイベントが行われました。

【各地の成人の日の催し】
今年度20歳になるおよそ60人が、大阪の高層ビル「あべのハルカス」を地上60階まで登るイベントです。
参加したおよそ60人は、地下一階から地上300メートルにある最上階の60階を目指しました。参加者はあわせて1637もある階段を、息を切らしながらもおよそ45分かけて最上階まで登り切りました。
また、新型コロナの感染拡大で3年前の成人式が中止になった函館市では、改めて当時の成人の門出を祝おうと式典が開かれました。
この「23歳の集い」市内のホールにはおよそ200人の若者が集まりました。

【成人式は18歳?20歳?】
Q:最初に新成人は18歳と言いました。成人式はやっぱり20歳なんでしょうか。それとも18歳のところも多いのでしょうか。

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A:これが大きな課題でした。成人年齢・成年年齢ともいいますが2022年4月から18歳に引き下げられました。では、成人式はどうするか。
法務省は関係省庁と成人式のあり方に関する分科会を作って、検討したほどなのです。
18歳だと高校3年生。1月のこの時期はちょうど大学入学共通テストの直前です。関係する業界団体などのヒアリングでは、20歳のままを求める声が多く上がりました。

Q:受験直前で成人式どころではない高校生も少なくないでしょう。
A:実際に成人式を行うのは市町村などですから、最終的には各自治体の判断になりました。
結局、法務省がおととしまとめた調査結果だと、成人式の対象年齢は、20歳がおよそ95%。18歳と答えたのは0.2%しかありませんでした。つまり圧倒的にいままで通り20歳です。
多くの自治体が、若者の参加しやすさを理由にあげていました。多くの若者に参加してほしいと、年齢を維持している自治体が圧倒的に多いようです。

【式典は名前が変化も】
Q:では成人年齢引き下げで成人式にはどういう変化があったのでしょう。
A:1つは名前です。「成人式」という言葉が減っています。

Q:「成人式」とは言わなくなっているのですか。

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A:これは成人だと18歳なので、誤解を与えないようにしようということで名前を変えたところもあるようです。
全国統計はないので一例ですが、埼玉県が県内63市町村に調査したところ、数字や漢字の表記は異なるものの「二十歳の集い」が34。「二十歳を祝う会」が8。これに対して「成人式」単独の表記は6つの市と町にとどまっています。

【成人の日にこだわらない自治体も】
Q:ほかにはありますか。
A:以前から傾向があったのですが、記念行事を「成人の日」にこだわらないところも多くあります。
法務省の調査では、成人の日を含む3連休で開くのが、75.7%でしたが、それ以外の1月、8月のお盆の時期や4月や5月の大型連休もありました。分散している印象です。
地域によっては、若者が帰省する正月やお盆の時期に開く方が集まりやすいということがあるとみられます。

このように名称にこだわらず、時期も成人の日に限らないことで、「厳格な儀式」から「同窓会的な雰囲気」へと変化もみられるようです。

【“発祥の地”埼玉県蕨市の「成年式」】
Q:成人式の役割も、柔軟に変化してきたということでしょうか。
A:そのとおりです。今回、私1か所、今年の式典を訪ねてきました。

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埼玉県蕨市です。こちらは「成年式」という名称です。ここも20歳を対象に式典を開いていてことしは660人。多くの若者が記念写真を撮ったり、同級生と再会を喜び合ったりしていました。
ところが、会場の市民会館の裏側。ここにも新成人が集まっています。

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Q:あれ、なんでしょうか。
A:じつはここに「成年式発祥の地の記念碑」があるんです。

Q:え、ここが発祥の地なのですか。
A:現代の成人式は、昭和21年にここで自治体と地元の青年団が開いたことが始まりとされています。
第1回の写真です。「青年祭」というお祭りの中に「成年式」として開催され、全国に広がったそうです。

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Q:埼玉県蕨市が初めてなんですか。
A:成人の儀式は古くからありますが、現代の成人式の発祥の地と言われています。会場では地元の若者が抽選会を開いていました。また、地元の女性によるお茶会などもあって、地域で応援しようという雰囲気がありました。

【理念を忘れないで】

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こちらは昭和21年の第1回のパンフレットです。
成年式の後には地元の青年による懇親会も開かれて、おでんや焼き芋、お汁粉などの店が出ています。こちら「芸能大会」も開かれています。楽しそうですね。
敗戦で不自由な生活を強いられる中でも、大人の仲間入りをともに祝い、応援しようという気持ちが伝わります。今の蕨市の成年式も、この理念を大事にしているのだと感じました。

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現在は式典を成人自身による実行委員が行うところも増えています。蕨市も歴史を踏まえて、長年成人が自ら式典を企画運営しています。
参加者も、同級生が企画していることや成人式発祥の地ということを知っているため、協力的で暖かい式典でした。

Q:これから社会で、いろいろなことがあると思いますが、どうか、頑張ってほしいですし、周りも応援してほしいですね。
A:「国民の祝日に関する法律」には、成人の日の説明がこう書かれています。
「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」。
成人式は今後も時代に応じて変化していくのだと思いますが、地域で若者の新たな門出を応援するという当初からの理念は、変わらないでほしいですね。


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清永 聡  解説委員

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