フランスで9月8日に開幕するラグビーのワールドカップについて、大会の見どころや、楽しく試合を見るポイントなどを紹介します。
▼ラグビーワールドカップとは
ラグビーのワールドカップは1987年に第1回大会が行われ、今回で10回目とそれほど歴史は長くはないものの、オリンピックやサッカーワールドカップに次ぐ規模の世界大会とされています。前回2019年の大会はテレビの視聴者数が世界で8億5700万人にのぼり、過去最多となりました。それだけ注目の大会です。
日本は第1回大会から10大会連続で出場しています。
▼フランス大会は9月8日開幕
フランス大会は9月8日、日本時間の9日未明にフランスで開幕します。
20チームが参加し、1次リーグはプールと呼ばれる4つのグループに分かれて戦い、
上位2チームが決勝トーナメントに進みます。
優勝3回のニュージーランド、地元開催で初優勝を目指すフランスがプールA。
ニュージーランドと並んで優勝3回の南アフリカ、世界ランキング1位のアイルランドはプールB、優勝2回のオーストラリアはプールC。そして日本はプールDです。
▼日本の試合日程
1次リーグはおよそ1ヶ月かけて行われます。
世界ランキング14位の日本の初戦は9月10日。22位のチリと対戦します。
そして18日に8位のイングランド、
29日に12位のサモア。
そして10月8日には6位のアルゼンチンと対戦します。
日本が対戦する4チームのうち3チームが日本よりランキングが上と、厳しい戦いが続きますが、2大会連続の決勝トーナメント進出に向け、最初のポイントとなるのが第2戦のイングランドとの試合になると思われます。イングランドはラグビー発祥の地で、北半球のチームで唯一優勝経験のある強豪で、前回大会では準優勝しています。
▼日本は過去にも歴史的勝利
しかし過去に日本はワールドカップ本番でそうした強豪を破り、世界を驚かせる戦いを見せてきた実績があります。
前々回2015年の大会では初戦では、当時世界ランキング3位で優勝候補の南アフリカと対戦。日本は粘り強い戦いを見せ、試合終了間際に逆転。歴史的勝利を挙げました。それまでのワールドカップ7大会で、わずか1勝しかしていない日本の大金星は「世紀の番狂わせ」。また開催地の名前をとって「ブライトンの奇跡」と言われました。
そして日本で開かれた前回2019年大会では、第2戦で優勝候補の一角で当時世界ランキング2位の強豪アイルランドを破っています。この時、実況のアナウンサーが「もうこれは奇跡とは言わせない」とコメントして話題となりました。その言葉の通りの実力を見せ、日本は1次リーグ4戦全勝で史上初の決勝トーナメント進出を果たし、ベストエイトの成績を残しました。
これまでも世界を驚かせてきた日本ですから、まずは初戦のチリに勝って、勢いに乗ってイングランド戦に臨む。そうすれば今回も何かを起こしてくれるのではないかと期待しています。第3戦で対戦するサモアとは7月に試合をして2点差で敗れていますが、ワールドカップ本番では前々回、前回と対戦し、日本が勝っています。
そして第4戦のアルゼンチン戦。ここで決勝トーナメントに進出できるかどうかが決まる可能性が大きいと思います。
▼多様なルーツで構成する日本代表
日本代表は、今回も様々な出身地や国籍の選手で構成されていまます。
これはラグビー特有の代表資格の条件があるからです。
国際統括団体のワールドラグビーが定めた代表資格の主な条件です。
ラグビーは国籍に限らず、その国に5年間住んでいるなど、一定期間継続して居住していることが代表資格となっています。「所属している協会がどこか」ということから「協会主義」と呼ばれる基準がなぜできたのか。その背景についてラグビーの歴史を研究している立命館大学の松島准教授に聞きました。
立命館大学 松島剛史准教授
「1890年代くらいにイングランド、スコットランド、ウェールズ、(独立前の)アイルランドの間で国際試合が行われる時に作られたルールなんです。アイルランドの民族問題はあったが、(当時は)どこもイギリスの一部、オリンピックやサッカーは国籍が基準になっているが、(ラグビーは)どこで生まれたのとか、どこに住んでいるのかというのが重要になった」
その後、イギリスの植民地などを中心にラグビーが普及していく中で、この「どこに住んでいるのか」というのが代表資格に含まれるようになっていったということです。
前回大会では、多様なルーツを持つ選手たちが日本代表の誇りを持ち「ワンチーム」となって戦う姿が私たちに感動を与えてくれました。
松島准教授は「19世紀に作られたルールが、今、多様なルーツを持つ人たちが、その国のために集まってみんなでがんばろうという姿につながりダイバーシティと評価されることになった。ラグビーが生んだ偶発的なレガシーだ」と話していました。
▼ルールがわからなくても楽しめる
ラグビーはルールがよくわからないと声をよくききます。
ラグビーは「ボールより前でプレーしてはいけない」というのが大原則です。
前にキックすることはできますが、
ボールを前にパスする「スローフォワード」はできません。
そして、前に落とす「ノックオン」もダメで、こうしたプレーをすると相手のボールになってしまいます。
また、ボールの前にいる選手がプレーに参加すると、反則になってしまいます。
ルールがよくわからなくても日本の試合を楽しむポイントについ長くラグビー解説を務めている砂村光信さんに教えてもらいました。
▼3秒数えよう!
キーワードは「3秒数えよう」です。
ボールを持っている選手は、タックルされて倒されたらボールを離さなければいけません。砂村さんはタックルされてからのボールの動きに注目してほしいと話しています。
タックルされて3秒以内でボールが動いて次の攻撃が始まっていたら、日本のペースで攻撃できている。スピードと、ボールを大きく展開するのが持ち味の日本のラグビーができているということがわかるそうです。是非、観戦する際は、3秒数えてみてください。
▼ニュージーランド代表のハカなど見どころたくさん
試合のほかにも、ラグビーワールドカップならではの見どころがあります。
ニュージーランド代表・オールブラックスの選手たちが試合前に披露する先住民族、マオリの伝統の踊り「ハカ」なども楽しんでほしいポイントの一つです。
日本とプールDで対戦するサモア「シバタウ」という踊りを披露するので、是非、踊りもそうですが、それを受けて立つ日本代表の選手たちにも注目して見てほしいと思います。
NHKでは日本の試合や注目の試合について放送する予定なので、是非ご覧ください。
是非、ごらんください。
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