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冬の節電要請 今なぜ節電なのか そして節電のコツをわかりやすく解説します

水野 倫之  解説委員

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今回のテーマは冬の節電。
政府は、1日から全国の家庭や企業に再び節電を要請した。期間は来年3月まで。
なぜまた節電なのか、どう節電すればよいのか、水野倫之解説委員の解説。

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夏に続いてまたも節電、これは電力不足の構造的な課題が解決できていないから。
電力の安定供給には需要に対する供給の余力が最低限3%必要、政府が5月段階で示していたこの冬の余力は、東電管内は1月2月がマイナスと、即停電という危機的な状況。
これは再エネが思うように増えず原発の稼働も進まない中、脱炭素や自由化で大手電力が採算の悪い火力発電を毎年数基休止や廃止して、電力の供給力が大幅に低下したことが背景。
そこで政府は、廃止予定の老朽火力の再稼働を呼びかけたり、点検でとめる時期もずらしてもらうなどした結果。
東電東北電力管内の余力は4.1%と、必ず停電という最悪の事態は避けられる見通しとなってはいるが、綱渡り状態に変わりはない。

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最低限必要な3%を上回ったのであれば節電必要ないと思うかもしれないが、最近は3%を上回っても安心できない事情が。
まず、老朽火力頼みの急場しのぎなのでトラブルで発電所が止まるリスクがあること。
2つ目は、コロナ下のおうち時間で電力使用が増え、最大需要の予測を上回るケースがある事。
そして3つ目にウクライナ危機で、ロシアの出方次第で火力発電の燃料となるLNGの供給不安も。

こうした状況の中、供給力の上積みに向けて稼働の準備が進む火力発電所を取材。
千葉県にある、電力会社JERAが運営する姉崎火力発電所。
老朽化で6基廃止する計画だったが、政府の要請で夏に5号機を再稼働。
そして冬に向けて追加の要請を受け6号機も稼働させる計画。
「こちらタービン送る蒸気を作る設備です」
老朽化でさびが目立つ機器の点検などを急いでいる。
ただこの2基が動いても東電管内の電力需給は依然として厳しいため、JERAでは同じ敷地に新設した新1号機の運転の準備も急ぐ。
新1号機は蒸気だけでなく、燃焼させたガスで直接発電機を回すことで発電効率を世界最高水準に高めた発電所で8月から試運転。
取材したこの日は社員に加えてメーカーの担当者ら30人が制御室に集まり、試運転の項目を全員で共有した上で、タービンなどの機器が設計通り動いているかどうか確認していた。
ただこの日もあらたに確認すべき項目が見つかって運転をいったん止めるなど、安定的な稼働にはまだ時間がかかるということで、本格運転は需給が最も厳しい1月には間に合わず、2月を目指すとのこと。

というわけで、様々対応してはいるものの発電所側だけの取り組みでは十分ではなく、利用者側の対策も必要だとして、政府はこの冬の節電要請を決めたわけ。

冬の節電、家庭でのポイントだが、冬の一般家庭の電力の使用状況は地域によって異なる。
今回は、需給が厳しい東電と東北電力がある本州を中心にみていきたい。

まず時間帯、冬は朝夕だけでなく日中も一定の電力需要があり、政府は数値目標は定めず、1日を通して無理のない範囲での節電を求めている。

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冬場、何に電気を使っているの、やはり暖房が30%以上と最も多く、次いで冷蔵庫、など。
暖房の中でも最も多いのがやはりエアコンで17%。
その節電のポイントは設定温度と時間。

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夏場は室温28度が目安と言われたが、冬は政府は室温20度を推奨。
エアコンの設定温度を例えば21度から20度へ1度下げると、ひと冬で53kWhの節電。
例えば東電管内の標準家庭のひと月の電力使用量は260kWhなので、ひと冬1度下げ続ければひと月に使う電力の5分の1を節電できることになるが、もう少し実感がわくように電気代がどれだけ節約できるかも示す。

ウクライナ危機や円安の影響で家庭向け電気料金はこの1年で2割上上昇。
政府は電気代の支援を予定しているが、大手電力の中には来年春にさらに3割程度の値上げを申請したところもあるので、少しでも抑えたいところ。

エアコンの設定1度下げるとどうなるかというと、ひと冬で1650円の電気代の節約に。
▽また利用時間を1日1時間短くすると、ひと冬で41kWh、1260円の節約に。
▽さらにフィルターを月に1回か2回掃除するだけでも年間32kWh、990円の節約。
ほかの暖房器具で電気こたつの場合、設定を強から中に下げればひと冬で49kWh、1520円の節約。

ほかにも電気カーペットの場合、設定を強から中にした場合、ひと冬で186kWh、5770円の節約。

さらに暖房効率を上げるためには、カーテンに注目。
日中はあけて太陽光を入れるが、日が陰ってくれば早めにしめて、外の冷気が入ってこないように、また中の暖気が逃げないにする。そして断熱効果を高めるためにはより厚手のもので、床までつくくらい長いカーテンを推奨。

でも20度だと少し肌寒いと感じる場合は、一枚多く羽織る。
またネックウォーマーやレッグウォーマーで首回りや足下を温める。
さらに湿度も40~60%に上げれば体感温度が上がる。
ただもちろん寒いと感じたら無理をせず設定温度上げて暖まること。
健康を害しては意味がないので。

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暖房器具以外の節電では電力使用が比較的多い冷蔵庫の場合、設定を強から中にすれば年間で62kWh、1910円の節約に。
またトイレの温水便座も使わないときにふたを閉じれば熱が逃げず、ひと冬で35kWh、1080円の節約。

このほか政府は、電力会社が行っている節電へのポイントサービスと連携して、電力使用量を前年より3%減らした家庭にポイントを追加で付与する計画なので、こうした制度に参加するのも一つの方法。

これまで紹介したことを参考に無理のない範囲で節電に取り組んでいきたいが、同時に政府は万が一にも停電とならないよう、電源や燃料の確保に万全を期すのと同時に、電力不足の心配がない電力システムの構築を急がなければならない。


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