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新型コロナウイルス RSウイルス 手足口病 夏の子どもの感染症に注意!

矢島 ゆき子  解説委員

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夏の今、いくつかの子どもの感染症が流行しています。私たちはどんなことに気をつけたらいいのでしょうか?

◆今、流行中の子どもの感染症とは?

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今、具体的にはどんな子ども感染症に注意が必要なのでしょうか?
まずは、新型コロナウイルス。例えば、10歳未満の子どもの感染者数を、厚生労働省のデータをもとに見てみると、7月26日までの1週間の感染者数は、7月上旬の週の5.5倍、およそ16万人と多くの子どもが感染していました。また、今、特に注意したいのが、RSウイルスと手足口病。新型コロナに比べると少ないのですが、RSウイルスの感染者は、7月上旬の週に比べ2.4倍、手足口病は2.2倍と、こちらも増えています。
医療関係者の人たちにお話しを伺ったところ、新型コロナウイルス、RSウイルスなどの感染拡大で、子どもの医療現場がひっ迫していることがよくわかりました。例えば、子どもをみている救急外来はいつも混み、新型コロナに感染したり、濃厚接触者になるスタッフが急増することで医療現場の余裕がなくなり、子どもの手術を延期しているところもありました。ある小児科医の先生は「心配だったらいつでも受診してくださいと言えない状況で心苦しいかぎりだ」と話されていました。
このように医療がひっ迫している状況では、流行している子どもの感染症がどういうものなのか、感染したときに、どう対処したらいいのか、知っておくことが大切だと思います。

◆新型コロナウイルスに感染したときの子どもの症状は?

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今、流行している新型コロナに感染した子どもの症状には、どんなものがあるのでしょうか?
発熱・せき・鼻水はありますが、味覚・嗅覚の異常はほぼなし。肺炎は少ないということです。「クループ症候群」になる子どももいます。クループ症候群になると、声がかすれたり、息を吸うときにヒューヒューという音がでたりすることがあります。これは新型コロナの感染で、のどの奥・声帯あたりが腫れ、空気の通りみちが狭くなるためです。
小児感染症が専門の新潟大学齋藤教授にお話しを伺ったところ、「新型コロナの子どもの感染者の多くは軽症。ただ感染者が多いので、入院の必要がある子どもたちは明らかに増えていて、特に基礎疾患のある子どもは注意」とのことでした。今、自宅待機しているお子さんもいるかもしれません。クループ症候群は治療がありますし、熱性けいれんの場合は、すぐに医療機関を受診することが大切です。

◆RSウイルスによる感染症・手足口病とは?

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RSウイルスは、2歳までにほぼ全ての子どもが感染すると言われています。感染すると発熱、せき、鼻水など、かぜに似た症状が出ます。また重症化すると、細気管支炎や肺炎になる危険性が高いので注意が必要です。特に6か月以下の子ども、あるいは、心臓・肺の病気があったり、免疫不全、ダウン症、早産児などリスクのある場合、RSウイルスに感染すると重症化することがあるそうで、新型コロナウイルス以上に、RSウイルスには注意が必要とのことです。
一方、手足口病は、手に赤い発疹や水ぶくれができたり、足、口の中、歯茎などにもでき、痛み・かゆみを伴うものです。夏風邪とも言われ、発熱・せき・鼻水の症状もあります。エンテロウイルスへの感染で起こりますが、今年、久しぶりに流行しています。

◆今、発熱した場合 新型コロナ?RSウイルス?手足口病?

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今、流行している新型コロナ、RSウイルス、手足口病は、どれも発熱することがあり、子どもが発熱した場合、新型コロナなのだろうかと心配するかと思います。発熱以外に、発疹があれば、手足口病の可能性が高いのですが、新型コロナとRSウイルスを見分けるのは難しいそうです。
ただ、家族や周囲の人で新型コロナの感染者や濃厚接触者がいれば、新型コロナの可能性を考え、かかりつけ医や発熱外来などの受診が必要になるかもしれません。
では、周囲に感染者・濃厚接触者がいない場合は、どうしたらよいのでしょうか?もちろん新型コロナの可能性が全くないわけではありません。ともかく、まず大切なのは、生後3か月未満の子どもで38℃以上の発熱がある場合は、新型コロナ以外にも、様々なことが考えられるので、夜間・休日関係なく、すぐに医療機関を受診することです。また、今、流行しているRSウイルス、手足口病の場合は、根本的に治す薬はなく、自然に治るのを待ち、必要に応じて、症状をやわらげる対症療法が基本になります。齋藤教授曰く、「子どもが発熱は本当に心配だと思いますが、混雑する医療機関で長く待つより、自宅でゆっくり寝て水分や食事をとった方が回復する」「熱があっても機嫌がよく、ふだんと変わりなければ、基本的には心配ないので、まずは様子をみてほしい」とのことでした。

◆自宅で過ごすときの注意点は?

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では自宅で過ごすとき、どんなことに注意したらいいのでしょうか?
発熱しても、元気な時は無理に熱を下げる必要はありません。ただ、エアコンなどを使ったり、保冷剤などを利用して「体を冷やす」ことが大切です。それでもつらそうな場合は、「解熱剤」を使います。アセトアミノフェンが子どもには安全と考えられていて、子ども用の市販薬でも大丈夫です。またプリン、ゼリーなど「食べられるものを食べる」。手足口病で、口の中やのどに水ぶくれができ、痛い場合は、無理に食べさせない。痛みが強い場合は、解熱剤は痛みをとる効果もあるので服用するとよいとのことです。そして、「水分補給は十分に」。脱水が起こらないように少しずつこまめに水分を補給します。水分以外に、経口補水液・母乳やミルクでかまいません。解熱剤で熱を少し下げると飲めるようになる場合もあるそうです。さらに「脱水のサインに注意」が必要です。手足がいつもより冷たい、爪を押して色が白からピンクに戻るまで2秒以上かかる、目がくぼんで元気がない、くちびるや目の粘膜が乾いているなど注意しましょう。RSウイルス、手足口病ともに大人でも感染することがあります。感染を広げないために、「手洗い」おもちゃなどの「消毒」、特に手足口病の場合、オムツ交換などで感染することあり、「排便後の適切な処理」が重要です。これらは、もし、新型コロナで自宅待機している場合も大切だそうなので、参考にしていただけたらと思います。

◆どんな場合には、医療機関を受診する?

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自宅で様子をみつつ、どんな場合には、医療機関を受診した方がよいのでしょうか?
小さい子どもは自分の症状を言葉できないので、普段と違う様子がないかどうかを周囲の大人がチェックすることが大切で、普段と明らかに様子が違う場合は、医療機関の受診が必要になります。具体的には、意識がはっきりしない、機嫌が悪い、顔色が悪い、食欲が低下、水分がとれない、呼吸がつらそう、せきで眠れない、おう吐を繰り返す、激しくぐずったり、全く話さないなどです。そして「熱性けいれん」がある場合は、すぐに救急車を呼びましょう。
新型コロナウイルスで自宅待機しているお子さんの場合も同様で、様子をチェックし、何かあれば医療機関の受診が大切です。

そして、新型コロナに関連して、齋藤教授は「新型コロナに感染した子どもは、ワクチンを接種している方が重症化するリスクが低い。ぜひ5歳以上のお子さんは、積極的に接種の検討をしてほしい」と話していました。
子どもが発熱すると本当に心配だと思います。ただ発熱だけで、すぐに病院にいく必要は基本ありません。まずはお子さんの様子が普段と同じなのか違うのか様子を確認していただけたらと思います。

(矢島 ゆき子 解説委員)

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