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気になる頭痛・めまい 天気が影響?対処法は?

矢島 ゆき子  解説委員

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◆頭痛・めまい 天気の影響ではなく病気が原因の場合も

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こんなアンケート調査があります。「天気の影響でおこる頭痛・めまいなどの体の不調がある」かかどうか聞いたところ、「ある」もしくは「ある気がする」と答えた人が男性は47%、女性は78%いました。また天気の影響で体に不調のある人は、国内で1、000万人以上いるという推定もあるんです。この天気の影響というのは、気温、湿度、太陽の光、気圧などが考えられます。もちろん、頭痛・めまいのある方、すべてに天気が影響しているわけではありません。実は天気は関係なく、病気が原因の場合もありますし、あるいは、天気が引き金になり、病気の症状が起こる場合もあるんです。

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例えば、気温・湿度が高い、つまり暑くて、じめじめした湿度が高い天気は、「熱中症」につながります。気温が高い環境に長くいると体の中の体温があがり、私たちの体は、汗をかくことで、体温を下げます。しかし、湿度が高いと、汗が蒸発しにくくなり、体温がうまく下げられなくなるのです。また汗をかくことで、脱水状態になることもあります。すると血流低下などが起こり、熱中症になり、頭痛・めまいなどの様々な症状が出るのです。熱中症はときに命に関わります。炎天下や室内も含めて、暑い環境に長くいた場合は、まず熱中症を疑い、体を冷やす・こまめな水分補給、そして状況によっては、医療機関の受診が大切です。
そして、知っておきたいこととしては、頭痛・めまいは、熱中症のためとは限らず、例えば、暑さ・湿気が引き金になり、片頭痛という病気での頭痛・めまいが起こることもあるんです。また夏の太陽の光は、まぶしく、脳に刺激を与えるため、特に片頭痛がある人は、頭が痛くなる症状がでてしまうこともあるのです。

◆気圧の影響は?

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気温・湿度以外にも、気圧が、体調の悪化や、ときに病気の引き金になることもあります。ある台風が日本に上陸したときの気圧変動のグラフをみてみると、台風が最接近したとき、気圧が大きく下がっていることがわかります。この気圧の大きな低下が、頭痛やめまいの症状を引き起こす不調や病気の引き金になることがわかっています。ただ、天気の体への影響を研究している愛知医科大学佐藤客員教授にお話ししを伺ったところ、「台風最接近の前、つまり、気圧が大きく低下する前に、頭が痛いなど体調が悪くなる人は多い」ということです。

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これはどういうことなのでしょうか?天気で体調が悪くなるという人の体調と気圧の関係を調べた共同研究で、例えば、2018年の台風24号が日本に最接近したときは、48%の人が、頭痛などがあり、体調が不調、やや不調でしたが、2日前でも32%もの人が不調だったんです。台風が最接近する2日前の衛星画像をみてみると、台風がまだ本州からだいぶ離れ、本州には雲はほとんどかかっていませんでした。佐藤客員教授曰く、「実は、微気圧変動など、短時間のうちにたくさん連続して起こる小さな気圧変化が、頭痛などに影響している可能性も」あるということでした。

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この「微気圧変動」というのはどういうものなのでしょうか?先ほど紹介した台風が最接近する前の気圧の変化をみてみると、最接近したときほど気圧の大きな変化はありませんが、ある部分をさらに細かくみてみると、気圧が変動しています。これが「微気圧変動」です。

◆気圧にかかわる内耳

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普段、気圧を意識することはあまりないかもしれませんが、例えば、飛行機で離陸するときに、耳が痛くなるのは気圧の変化を耳が感じとっているからです。私たちの体は、いつも耳の奥にある内耳にあると言われている気圧センサーで、気圧の変化を調整しています。内耳が敏感な人は、わずかな気圧の変化で過剰に反応し、脳にその情報を伝えるので、脳がストレスを感じ、体のバランスを整える自律神経が乱れ、血管が収縮したり、筋肉が緊張するなどして、その結果、頭痛・めまいなどの体に様々な不調につながっているのです。

◆対処法は?

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でも天気は自分ではどうしようもありません。自分の頭痛・めまいに、天気が影響している場合、どうしたらよいのでしょうか?
まず体調の変化や天気、気温・湿度・気圧などの日記をつけ、本当に天気が影響しているのか、どういうときに不調になるのかパターンを把握すると役立ちます。佐藤客員教授によると、「自分の症状がでるパターンが把握できると、予定を調整できたり、明日には大丈夫になるとわかるだけで心理的な不安が減り、症状が軽減されたという人もいる」とのことです。そして、「自律神経が整っていると、天気から受ける影響は小さくなる」とのことでした。

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では、自律神経を整えるために、自分でできることとしては、どんなことがあるのでしょうか?自律神経を整えるためには、日中はアクティブに、夜はリラックスして過ごすメリハリのある生活が大切です。具体的には、朝起きたら太陽の光を浴びる。毎日朝食を食べる。朝など、涼しい時間帯などにウォーキングなど運動し活動的に過ごす。39~40℃のぬるめの湯で入浴。起床と就寝の時間を一定にして、質の良い睡眠をとる。そして、冷房は適切な温度に設定、のどの渇きを感じる前のこまめな水分補給も自律神経を整えます。
また、片頭痛という病気がある場合、人によっては、強くまぶしい光が目に入らないように、日傘やサングラスをすることが、頭痛を防ぐことにつながります。
さらに、頭の痛みがひどいときは、我慢せずに頭痛薬、つまり痛み止めを早めに服用する。ただ月10日以上服用している場合、片頭痛などの病気の可能性もあるので、頭痛の専門医の受診が大切です。めまいも同様に、天気の影響ではなく、実は病気が原因ということもあるので、時に耳鼻科の専門医の受診が大切になります。
頭痛・めまい以外にも、気分の落ち込み・腰痛・肩の痛みなどにも天気が影響することがあります。今後も天気が不安定になったり、ますます暑くなるかと思います。是非、体調を整え、この夏を乗り越えていただけたらと思います。

(矢島 ゆき子 解説委員)

◆「コロナ禍の今注意したい頭痛と対処法」(みみより!くらし解説)はこちら

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