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暑い夏 ペットボトルの放置に注意!

今井 純子  解説委員

きょうは、夏の暑い季節。ペットボトルの注意点について、お伝えします。

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【暑い日には、ペットボトルの飲み物を重宝していますが、注意が必要なのですか?】
そうなのです。ペットボトル。特に、500ミリリットル程度の小型のボトルは、持ち歩きやすいですし、キャップを開け閉めして、少しずつ、飲むことができるので、便利ですよね。ただ、暑い場所に放ったままにしておくと、破裂したり、キャップが飛んだりして、けがをする危険があると、東京都が、今、注意を呼びかけているのです。

【破裂したり、キャップが飛んだりするのですか?】
はい。東京都が1000人を対象に行ったアンケートでは、「ペットボトルが破裂するなどの経験をしたことがある」と答えた人が12.7%。つまり、127人いました。そして、そのうち、「キャップが飛んでけがをした」人が16人。「容器が破裂してけがをした」という人が9人いました。けがはしなかったけれど、キャップが飛んだ、あるいは、破裂した経験があると答えた人も、それぞれ34人。そして、20人いました。

【結構、多いですね】
実際、どのような状況だったのか、記述を見てみると・・
▼ 真夏に、飲み残しのペットボトルを車の中にしばらく置いて、その後、中身を捨てようとしたら、キャップが飛んで指に強く当たり、あざができた。
▼ キャップがまぶたにあたり、腫れてしまった。
▼ 暑い部屋にペットボトルを置いておいた後、キャップを開けようとしたら、ボトルが破裂した。
▼ 破裂した破片で指や唇を切った。
▼ 中に入っていた液体があふれて、目に入った。このような声が寄せられました。

このほか、全国の消費生活センターにも
▼ キャップが飛んで、目に当たって角膜を損傷した。キャップが車の天井の内張りを突き破り、鉄の板が破損した。という相談も寄せられています。

【深刻な事故も起きているのですね】
東京都の調査では、事故が起きた季節は、およそ85%が「夏」。そして、事故が起きた場所は、最も多かったのが「車の中」、次いで「家や会社の室内」でした。

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【やはり、暑さが関係しているのですか】
そのようです。東京都は、アンケート調査を受け、お茶や水、それに乳性飲料、炭酸飲料など様々な種類の飲み物が入ったおよそ500ミリリットルのペットボトルを使って、2つの実験をしました。
一つ目は、夏の部屋の中を想定した30℃の環境に、飲み残した状態の、10種類・10本のペットボトルを、2週間、放置した実験です。
その結果、自然に破裂したものはありませんでしたが、乳性飲料とスポーツドリンク=つまり、糖分の入っている飲み物、あわせて3本について、このようにペットボトルが膨張しました。キャップが、持ち上がり、その下に、亀裂が生じたものもありました。

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【なぜ、そのような状態になるのですか?】
東京都によると、口をつけて飲んだ時に、口の中から細菌などの微生物が、ペットボトルの中に入ります。そして、その微生物が、30℃の環境で、糖分を分解します。その過程で、二酸化炭素が発生し、気体の部分が膨らんで、内側の圧力が増します。その結果、ボトルが膨張するという仕組みです。30℃前後というのは、菌が活発に活動しやすい温度だということです。また、飲み残しの量が多いほど、発生する二酸化炭素が多くなって、破裂の危険性が高くなるそうです。内側からの圧力をはかったところ、放置して1日とか、2日で、一般的な圧力なべと同じくらい、あるいは、それ以上の圧力がかかっていたものもありました。だから、当たったら深刻なけがをすることもあるということです。

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【飲み残しのペットボトルは、暑い部屋の中に、1日、2日、置きっぱなしにしただけで、危険なのですね。2つ目は、どのような実験ですか?】
2つ目は、真夏のクルマの中を想定した実験です。真夏の車の中は、60℃を超えることもあります。
その60℃の環境に、今度は、キャップを開けていない新品のペットボトルを10種類。加えて、飲み残しの状態の乳性飲料1本を、まる1日=24時間放置しました。すると、飲み残しのボトルを含めた、5つのペットボトルで、底の部分が膨れ上がって傾いたり、倒れたりし、中には、亀裂が入って中の飲み物が漏れ出したものもありました。

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【飲み残し以外は、キャップを開けていない。ということは、細菌が入ったわけではないですよね。なぜ、ボトルが膨らんだのですか?】
東京都によると、未開栓で大きく変形したのは、炭酸飲料のボトルでした。気温が上がり、60℃になったことで、水分に溶けていた二酸化炭素が、ボトルの上の部分に飛び出します。気体が増えて、ボトルの内側からの圧力が増した結果、膨張したり、亀裂が入ったりするということです。

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【炭酸の入った飲み物は、未開栓の状態でも、暑い車の中に置いておくと危険なのですね】
はい。2つの実験を、まとめると・・
▼ 飲み残しのペットボトル。特に、スポーツドリンクや乳性飲料、それから果物系など糖分が入っている飲み物を、30℃前後の暑い室内とか車の中に長時間放置しておくと、ボトルが破裂したり、キャップが飛んだりする危険があります。
▼ そして、未開栓の状態でも、炎天下の車の中に放置しておくと、特に、炭酸飲料の場合、破裂したり、キャップが飛んだり、あるいは中の飲み物が漏れたりする危険があります。

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【ボトルをもっと頑丈なものにできないのですか?】
飲料メーカー側でも、炭酸や糖分の入った飲み物には、耐圧性の高いボトルを使っている他、ボトルに「車の中に放置しないように」とか、「キャップを開けたら、早めに飲み切ってください」と表示をするなど、対策はとってきていますが、限界もあるということです。
さらに、飲み残しの場合、破裂などの他にも、危険なことがあります。

【なんでしょうか?】
衛生上の危険です。福岡市保健環境研究所が行った実験では、飲みかけのペットボトルの麦茶を30℃の温度の中に放置しておいたところ、細菌の数が半日でおよそ34倍、24時間で400倍に増えました。口の中の細菌がペットボトルに移って、増殖したからです。再び飲むと、おなかを壊したり、体調を崩したりするおそれがあるとしています。
一方、飲みかけの状態でも、4℃前後、つまり冷蔵庫に入れた状態だと、24時間たった時点でも、菌の増殖は、ある程度抑えられていました。

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【ペットボトルの扱いには、注意が必要ですね】
はい。東京都などは、ペットボトルの飲み物について、
▼ まず、一度、キャップを開けたら、早めに飲み切るよう呼び掛けています。ちなみに、口をつけていない場合でも、キャップを開けると空気中の細菌などがペットボトルに入って増殖するそうです。
▼ やむをえず飲み残す場合は、冷蔵庫に入れて、早めに飲むこと。
▼ 特に、夏の暑い時に、車の中にペットボトルを放置すると、未開栓の状態でも、特に、炭酸飲料の場合、破裂したり、キャップが飛んだりする危険があるので、放置しないこと。
▼ また、飲みかけで、後で中身を捨てようと思った場合でも、長期間放置すると、やはり破裂したり、キャップが飛んだりする危険があるので、長期間放置しないこと。 
こうしたことを呼びかけています。

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これからの夏本番。熱中症予防のためにも、水分の補給が本当に大事ですが、ペットボトルの場合、注意しながら利用するようにしていただきたいと思います。

(今井 純子 解説委員)

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