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熱中症対策と節電の両立!~エアコンの上手な使い方

牛田 正史  解説委員

連日、命の危険を感じるほどの暑さが続いています。
この暑さを凌ぐには、エアコンなどの冷房器具が欠かせませんが、一方で、電力の供給がひっ迫するおそれがあり、「節電」も求められています。
「いったいどうすれば良いの?」と思う方も多いのではないでしょうか。
そこで、熱中症対策と節電を両立していくための「エアコンの上手な使い方」について、お伝えします。

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節電が求められるとはいえ、無理にエアコンの使用を控えると、熱中症になる恐れもあります。なので、最初に熱中症を防ぐための注意点をお伝えし、後半から、具体的な節電の方法をご紹介します。

【猛暑でのエアコンの使い方と注意点】
まず猛暑での注意点。その1つは設定温度です。

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この温度について、国はクールビズを推進する中で、「室温を28度に保つ」という目安を示していて、ご存じの方も多いと思います。
ただし、これは必ずしも、エアコンの設定温度を28度にするというわけではありません。これは誤解している人も少なくないと思います。
エアコンの設定を28度にしても、猛暑の時や部屋の構造によっては、室温がそれより高くなってしまうことがあります。
国も、目安を示す中で、「室温」を28度にすることと、「設定温度」を28度にすることは違うと、明記しています。
ですから、室内が暑いと感じた場合などは、設定を28度から下げることも考えなければなりません。

そしてもう1つ、知ってもらいたいポイントがあります。
それは「湿度」です。

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日本の夏は「高温多湿」が大きな特徴です。特にこの時期は湿度が上がりやすくなります。
じつは温度が同じでも、湿度が変わると、体が感じる暑さが全然違うんです。
画面の写真をご覧ください。
どちらも部屋の温度は28度ですが、左側は湿度が60%、そして右側は湿度が85%と高い場合です。
体の表面温度を色で示していますが、顔や手のひらなどに差があるのが分かります。
調査を行ったエアコンメーカーの話では、湿度が20%違うと、体感温度が4度ほど変わるというデータもあるそうです。
これは湿度が高いと汗が蒸発しにくいからです。
この体感温度が上がると、それだけ熱中症のリスクも高まります。
ちなみに、熱中症を予防するための目安として、環境省が毎日発表している「暑さ指数」というデータがあります。
この値というのは、屋内の場合、「輻射熱(ふくしゃねつ)」と呼ばれる、建物などから出ている熱の影響は3割で、湿度の影響が7割を占めているんです。
なので、たとえ温度を28度に保てていても、湿度が高い時は注意が必要です。

では、湿度はどのように下げればよいのか。

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1つの方法が「除湿運転」です、機種によっては「ドライ運転」とも呼ばれます。
この除湿運転とは文字通り、湿度を下げるためのものです。
ただ1つ注意点もありまして、エアコンの種類によっては、除湿運転だと部屋の温度が十分下がらない場合もあります。
なので、暑さを感じる場合は、冷房運転に戻してください。
そして除湿機がもしあれば、それを併用するのも良いそうです。

この湿度、一般的に「40%~60%」が、室内で快適に過ごす目安と言われています。
「それってどんな状況なの?」と思う人もいると思います。
具体的な体感の目安をお伝えできれば分かりやすいのですが、実は、体感に頼りすぎるのもあまり良くないんです。
特に高齢の方は、暑さや湿度を感じる機能が衰えている場合もあります。
自分では大丈夫と思っていても、実際、温度や湿度が高くなっていることがあります。
ですから出来れば、温度計や湿度計などの客観的なデータで確認してください。
少なくとも、外の温度や湿度、それに暑さ指数は、毎日公表されていますので、こうしたデータを参考にして、いつもより高い日は特に注意することも大切です。
また、お伝えした「室温28度」や「湿度40%~60%」というのは、あくまで目安であって、個人によって差があるということにも注意してください。

【エアコンの具体的な節電方法】
ここまで猛暑でエアコンを使用する際の注意点をお伝えしましたが、ここからは具体的な節電の方法についてご紹介します。
エアコンメーカーの担当者は次のように話しています。

(ダイキン工業 広報グループ 重政周之さん)
「まずは、フィルターを掃除することと、室外機の周りの空気の通りを良くすることの2つの点があります。
フィルターがほこりで詰まってしまうと、一度に冷やせる空気の量が減ってしまいますし、室外機の風通しが悪いと効率よく熱を逃がすことができなくなります。
さらに、エアコンのスイッチを頻繁にオンオフしない方が良いという点もあります。
スイッチを頻繁にオンオフしてしまうと、空気の温度を下げなければならないタイミングが何度も出てきてしまいますので、その分、消費電力が増加してしまうということがあります」

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この具体的な節電方法を詳しく見ていきます。まずフィルターの掃除です。
エアコンの蓋を開けると、イラストのようなフィルターが入っています。
そこにほこりがたまると、エアコンの効きが弱まります。
1年間掃除しないと、約25%、電気代が増える場合もあるそうです。
出来れば2週間に一度、掃除機でほこりを取るなどの手入れをすると良いそうです。

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そして室外機の周りの風通しです。
室外機というのは熱い空気が出てきますが、これは部屋の中で集めた熱を、外に出しているんです。
その風通しが悪いと効率よく熱を逃がすことが出来なくなり、無駄な電力の消費に繋がりますので、周りに大きな物を置かず、空気の流れをスムーズにする必要があります。

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そして、「オンとオフ」つまり頻繁につけたり消したりしないという点です。
節電しようと思うあまり、付けたり消したりする時もあるかもしれませんが、それがかえって、消費電力を増やす場合があるんです。
具体的な目安としては、夏の日中なら、約30分以内の外出であれば、エアコンをつけたままの方が良いということです。

さらに他にも節電の方法はあります。

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自宅に帰ってエアコンをすぐに付けるのではなく、換気をして、部屋にこもった熱を逃がしてから、稼働させること。

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また部屋が暑いと感じた時、設定温度を下げる前に、風量や風速、つまり風を強くしてみることも、節電には有効だそうです。
そして、エアコンの風向きを出来るだけ水平にすること。
温かい空気は天井の方に上がっていきますので、下向きだと床の近くだけが冷え、「温度のムラ」ができてしまいます。
そうすると天井近くにあるエアコンが「まだ部屋が暑い」と判断して、必要以上に冷やそうとしてしまいます。

節電というのは暑いのを無理に我慢することではありません。
これは日中だけでなく、夜間にも同じことが言え、寝ている間に熱中症にかかる人もいるんです。
節電の工夫をしながらも、必要な時は躊躇なく使う。これが大切です。

(牛田 正史 解説委員)

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